目が覚めたら異世界でした②
ありがとうございます。
お姫様が戻ってきた。その後ろには見知らぬ人物が袋を持って立っている。
「こちらがご希望の品ですわ。」
そう言うと、後ろの人が持っていた袋を差し出してきた。
「ありがとう。」
礼を言って袋を受け取る。
中に入っているものを確認してみると、シャツ×2、上着、ズボン×2、マント、ベルト、靴が入っていた。
意外と親切だな。替えのシャツとズボンもある。・・・あれ?お金がない・・・・・。
お金について聞こうとしたら、小さな巾着袋を差し出された。
「これがこの世界のお金ですわ。どうぞお受け取りください。」
「ありがとう。」
これも礼を言って受け取る。結構重いな。
「全部で50,000ソルご用意いたしましたわ。」
この世界の紙幣価値を知らないから、多いのか少ないのかよく分からないな。
とりあえず中を見てみると銀色の硬貨の上に、金色の硬貨が3枚ある。
「この世界のお金について教えてくれないか?」
「ではそれについては、私がお教えいたしましょう。」
神官長が教えてくれるらしい。
「この世界のお金は全ての国で共通して使用されており、小銅貨、銅貨、小銀貨、銀貨、小金貨、金貨、白金貨の7種類あります。そしてそれぞれの価値ですが、
小銅貨 1ソル
銅 貨 10ソル
小銀貨 100ソル
銀 貨 1,000ソル
小金貨 10,000ソル
金 貨 100,000ソル
白金貨 1,000,000ソル
となっております。」
そうなると、この巾着に入っている金貨は小金貨ってことか。流石にここで数えるのも疑ってるみたいで悪いしな。後でゆっくり数えてみよう。あとは服だな。ここで着替えてもいいだろうか?
「ありがとう。」
神官長にお礼をいうと、お姫様に着替えについて聞いてみる。
「ここで貰った服に着替えてもいいか?」
「はい。大丈夫ですわ。今から着替えられますか?」
「ああ。」
「では、私は外でお待ちしておりますわ。」
そう言って、部屋の外に出て行った。
ドアが閉まるのを待って、俺は着替え始めた。着替えはシンプルな服だったので特に問題なく済んだ。
着替えが済んだので、お姫様に声を掛けると部屋に入って俺を見た。
「とてもよくお似合いですわ。」
笑みを浮かべながら褒めてくれる。髪と目がこの世界じゃ普通らしいから特に違和感もないんだろうがな。でも、これで準備は出来た。後はここから出て行くだけだな。
「ありがとう。これで準備も終わったし、出て行くよ。」
「・・・・・・そうですか。本当に申し訳ありません。」
お姫様が辛そうに謝ってくる。
「もういいよ。失敗したものはしょうがないし、絶対に帰れないって決まったわけじゃないしな。
それじゃもう行くから、外まで案内してくれ。」
「分かりましたわ。」
お姫様が後ろの人を振り返る。
「ニヒト、異世界の方を外までご案内してください。」
「かしこまりました。では、異世界の方こちらへどうぞ。」
ニヒトに促されて俺は部屋の外へ出て、室内を振り返る。
「いろいろありがとうな。」
お姫様と神官長にそう告げて、俺は少し先で待っているニヒトのところに急いだ。
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「愚かで低俗な異世界人で助かりましたわ。」
「放逐などしてよろしかったのですか?」
「所詮は勇者ではない、ただの下等で汚らわしい異世界の者よ。いずれ勝手に死ぬでしょう。」
「それもそうですね。」
「それよりも、勇者召喚が失敗してしまったのは困りましたわね。」
「申し訳ございません。」
「もうあまり猶予もないわ。次が最後の機会となるでしょう。」
「次はもっと供物を増やして召喚の儀を執り行います。」
「供物はこちらでも質の良い物を準備しましょう。」
「ありがとうございます。次こそは必ず成功させてご覧にいれます。」
「期待しているわ。」
その場の思いつきと勢いで書いています。
寛大な御心で読んで頂けるとうれしいです。
ありがとうございました。