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太陽の勇者と月の巫女  作者: 涙花
勇者召喚されたけど人違いでした。
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自白させられました。

一気に血の気が引いていく。どうして?思わずアンドリューさんを見上げると、苦虫を噛み潰したような顔で俺を見ていた。


「声に出てたぞ。」


そして告げられた一言で、謎は解けた。


「おい、質問に答えろ。どういうことだ?」


ギルド長は、それはそれは恐ろしい笑顔で俺を見ていた。視線を逸らそうとしたら、頭を掴まれた。


「言いたくないなら言わなくてもいい。だがな、頭、砕かれたくないだろう?」


言わなくてもいいと言ってるのに、言わなかったら頭を砕くってひどい。


「ルーカス、諦めろ。ギルド長も他言しないと約束してください。」

「約束しよう。他の者には言わん。」


即答で他言しない事を約束してくれた。素早い決断である。俺も諦めた。頭は砕かれたくない。

勇者召喚されたこと、人違いだった事、帰れない事、腕輪の事も全て話した。


「噂は本当だったのか。それにしても異世界とはな…。強制的に異世界から連れてこられたのに、人違い。元の世界には帰せないと言われ、殺されはしなかったけど、50,000ソルと僅かな服だけ持たされて城から追い出され、元の世界に帰る方法を見つける為に冒険者になったが、買い物先の武器屋で呪いの腕輪を押し付けられたって、お前呪われてるんじゃねえの?…あぁ、呪われてるんだったか。ところで、本当に目だけか?」


やっぱりそこいくのか!?どんだけ男のプライドへし折ってるんだよ。この腕輪!


「俺が知ってる限りお前で10人目だが、前の9人には男はみんな同情した。詳しく知りたいか?」

「いえ、遠慮します。」


世の中には知らない方がいい事もある。だから訊かない。


「そうか。ところで、お前隠してる事は他にはないだろうな?」


ドキッとした。隠してる事はある。誰にも言ってないから俺が喋らない限りバレないはず。大丈夫だ。


「ありま…」

「頭。」


勝敗は決した。


「………あります。」

「アンドリューにも話してないのか?」


ちらりとアンドリューさんをみて頷いた。居心地が悪い。アンドリューさんからの視線も痛い。

お腹、痛くなってきた。


「なに隠してた?」

「魔法属性と呪いの効果です。」

「アンドリュー、お前の知ってるこいつの属性はなんだ?」

「火と土です。」

「ルーカス、本当の魔法属性は?」

「火、土、雷、光です。」

「「・・・・・・・」」


あれ?二人とも黙ってしまった。しばらくの沈黙のあと、口を開いたのはアンドリューさんだった。


「ルーカス、対応色は知ってるか?」

「?火が赤、土が茶色、雷が黄色、光が白、ですよね。」

「透明と白は違うぞ?」

「知ってますけど…。」


今度はギルド長に色の違いを説明された。透明と白が違うって当たり前だと思うのだが………。!?疑われてる!しかも透明と白を間違えたって思われてる!


「本当に白だったんだな?」


ギルド長がしつこく確認してくる。涙が出そうだ。主に情けなくて。


「間違いなく白でした!見間違いでも勘違いでもありません!」


はっきりと断言する。光属性は滅多にいないって聞いたけど、こんなに疑われるなんて思わなかった。


「誰にも言ってないんだな?」


重ねてギルド長が確認してくる。どうしてそんなに確認するんだ?


「はい。俺以外に知ってるのはアンドリューさんとギルド長だけです。」

「分かった。光属性の事は神殿の奴らに絶対に知られるなよ。」


神殿に光属性持ちは多いって聞いたけど、どうして知られたらいけないんだ?俺が疑問に思ってる事が顔に出ていたのだろう。アンドリューさんが説明してくれた。


「神殿に光属性持ちが多いんじゃない。神殿が光属性持ちを集めてるんだ。神殿に入るのを拒否すれば、誘拐して洗脳する。冒険者ギルドや魔法ギルドからも浚われてるんだが、証拠が無くてな。お前も光属性をもってると知られたら狙われるぞ。」


あの時光属性隠した俺グッジョブ!浚われて洗脳されるなんて冗談じゃない。


「光属性を隠した判断は間違ってはいない。今まで誰にも言わなかったこともな。だが、どうして魔法属性を隠した?」


ギルド長はこの世界に来たばかりで何も知らない俺が、魔法属性を隠した事が不思議らしい。


「魔法属性を複数もってるのが普通なのか分からなかったので、複数持ってるのが当たり前なら1つじゃ怪しまれますし、1つが当たり前でも2つくらいなら珍しくもないと思いました。そして俺の持ってる属性で一般的なのは火と土だったので、この2つにしました。」

「考えた末の火と土の2属性か。意外としっかりしてるじゃないか。」


意外って俺そんなにバカっぽいの?


「魔法属性のことは納得した。だが、呪いの詳細ってのはなんだ?目の色が変わるだけじゃないのか?それとも……。」

「違います。俺の呪いは『見えないモノが見える呪い』です。」

「「?」」


ギルド長もアンドリューさんも首を傾げている。この呪いの事は知らないようだ。つまり、いままでの9人はこの呪いには掛かってない。


「たとえば、呪いの腕輪の場合ですけど、名前、効果、説明、び…が見えます。」

「おい、『び』ってなんだ?」


ギルド長がなんか言ってるけどキコエナイ。


「名前は[呪いの腕輪]、効果は[呪う]、説明は[多種多様な呪いを掛けてくれます。捨てても所有者の元に戻るので、紛失しても安心です。現在の所有者はルーカスです。]と書いてあります。あと書いてある文字は俺がいた国で使われている文字です。」

「それは人も見えるのか?」

「俺のは見えました。あと、食べ物と植物、魔物も見えます。」

「ふーん。じゃあ俺のは見えるか?」


面白がるような口調でギルド長が言う。人(俺以外)で試した事は無いんだよな。

ギルド長を視てみる。


名  前:クライブ・マクレーン

年  齢:53歳

性  別:男

レ ベ ル:90(元冒険者ランク:S)

状  態:健康

魔法適性:水・風・雷

ス キ ル:剣術(Lv.MAX)・体術(Lv.MAX)

耐  性:物理・水・風・雷

称  号:冒険者ギルドの長、歩く暴風、歩く貯水池、

      雷王ライオウ、人型台風、うわばみ


説明:元Sランク冒険者、現役時代の二つ名は雷王ライオウ

    歩く暴風、歩く貯水池、と呼ぶ者も偶にいる。

    面倒事に首を突っ込んで被害を拡大させることもある。

    今気になるのはルーカスの事。


備考:ルーカスよりとっても大きい。

   身長は1m92cm、

   きっと追い付ける。諦めちゃ駄目だよ。

    君には成長期があるじゃないか!!


「・・・・・・・・・」


「どうだ?視れたか?」

「視れました。」

「言ってみろ。」


備考はどうでもいいが、称号と説明は言いにくい。怒られないだろうか?


「どうした?はやくしろ。」


思い切って視えたことを全部話した。もちろん備考以外だ。


「本当みたいだな。むしろ便利なんじゃないか?」


怒られなかった。しかも認めた!称号の歩く暴風とか貯水池とか否定しないの!?


「はい。便利ですし、害もないので他の人に押し付けるつもりはありません。」

「そうだろうな。隠し事はそれだけか?」

「はい。もうありません。」


そういえば俺、昔から隠し事しても親とか友達にはばれることが多かったんだよな。そしてばれると全部吐かされる。なんでばれるんだろう。


「ならいい。今日お前から聞いた事は誰にも言わない。約束しよう。」

「ありがとうございます。」


よかった。どうしようかと思ったけど、ギルド長がいい人で良かった。


「そうそう、お前の罰についての話が残ってたな。」


罰?……そうだった。カウンターに穴開けたから呼び出されたんだった。


「お前の罰は、10日間のクエスト禁止だ。ついでに街の外へ出る事も禁止。宿でじっくり反省してろ。」


しばらくクエストは受ける気はなかったからいいか。


「はい。」

「よし、じゃあ今日から10日間だからな。帰っていいぞ。」

「ありがとうございます。カウンター壊してすいませんでした。」


最後にもう一度謝罪して部屋を出る。


「アンドリュー、お前は残れ。ルーカスまっすぐ宿に帰るんだぞ。」


アンドリューさんはギルド長に引き留められたので一人で部屋を出る。


「失礼しました。」


そっと扉を閉めると、廊下を歩き、階段を下りて1階に戻る。冒険者ギルドのカウンターを確認した。ネイダさんがいたら案内してもらったお礼を言おうと思ったのだが、残念ながらいなかった。諦めて、ギルド支部の建物から外に出て宿に向かった。

ありがとうございました。

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