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太陽の勇者と月の巫女  作者: 涙花
勇者召喚されたけど人違いでした。
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スパルタ授業 1日目 午前

「いってきます!」


昨日と同じようにおかみさんにお弁当を貰って宿をでた。

南門に向かう途中に、布屋さんがあったのでタオルは無いか聞いてみたらあると言われたので、小さいのを3枚、中ぐらいのを5枚買っておいた。あとは石鹸があればと思い、どこかに売ってないか聞いてみたら『石鹸ってなに?』と逆に聞かれてしまい、慌てて誤魔化して店を出てきた。この世界には石鹸はないらしい。それとも名前が違うのだろうか?


そんな事を考えて歩いているうちに南門に到着した。アンドリューさんはまだ来ていないようだ。する事もないので出入りする人々を眺めていたら、アンドリューさんがやってきた。


「よう、ルーカス。待ったか?」

「いえ、さっき着たばかりです。おはようございます。アンドリューさん。」


あれ?なんかこの会話って……。なんでもない。余計な事考えるな、俺!


「ああ、おはよう。それじゃ、行くか。」

「はい。よろしくお願いします。」


簡単な挨拶のあと、アンドリューさんと東にある森に向かった。森までは魔物と遭遇する事もなく進む事ができた。森に着いた後は、森の奥に向かって進んでいく。


「止まれ、ルーカス。」


そう言ってアンドリューさんが足を止めたので、俺も止まる。


「分かるか?」


それだけの言葉だが、意味は分かった。なにかの気配を感じる、数は8。


「3、ですか?」

「気配を読むのは出来るのか。だがおしいな、4だ。くるぞ!」


アンドリューさんの警告と同時に茂みからウルフが襲いかかってきた。俺だけに。

そう、なぜかウルフは俺だけに襲いかかった。


「どうして俺だけ!?」


右側から襲ってきたウルフを剣で斬り飛ばし、後ろから2頭同時に襲ってきたウルフは1頭は剣で斬り付け、もう1頭は殴り飛ばす。更に左側から襲ってきたウルフは蹴り飛ばした。

剣を構えなおして、ウルフたちの様子を窺うが、倒れたきり動かない。


「お前、本当にGランク冒険者なのか?」


アンドリューさんが疑わしそうな目で見てくる。


「一昨日冒険者になったばかりなのでGランクで間違いないです。」

「普通のGランクが一撃でウルフを仕留められると思ってるのか?」


ウルフたちを見ると、先程と変わらない姿で横たわっている。ピクリとも動かない。本当に死んでいるようだ。


「俺、普通じゃないんですか?」

「そんなこと俺に聞くな。まあいい、剥ぎ取りの仕方を教えてやるからしっかり覚えろよ。」


アンドリューさんが手本を見せながら剥ぎ取りと解体の方法やコツを説明してくれる。吐きそうになるのを堪えながら、必死に覚える。そして残り3頭は俺が剥ぎ取りと解体をしていく。1頭目でミスした時は、口頭注意され、2頭目でミスした時は罵倒され、3頭目でミスした時は拳骨と罵倒だった。教えてもらえるのは大変ありがたいのだが、ものすごいスパルタ指導だ。吐きそうだし、泣きそうだった。


ウルフの剥ぎ取りと解体が終わった後は、また森の奥に向かって進んでいく。今度は鋭い嘴を持った鳥が襲ってきたので、斬ったり、蹴ったり、殴ったりしながら倒す。そして剥ぎ取りと解体をする。この鳥は、ツキドリという名前で、名前の通り突いてくる鳥だ。肉はおいしいらしく、お昼に焼いて食べる事になった。

その後も、魔物を倒す→剥ぎ取り・解体→移動を繰り返していき、剥ぎ取りと解体はかなりうまくなった。アンドリューさんにも筋がいいと褒められたが、あれだけスパルタ指導されたら真剣にもなる。別にふざけたりはしてないが、あの拳骨と罵倒には心が折れそうだった。


そしてやっとお昼になった。枝を集めるように言われ、周辺から乾いた枝を拾い集めて持っていく。


「よし、じゃあ半分はここに置いてくれ。」


指示された場所には環状に石が置かれていたので、真ん中に枝を置く。


「炎よ集え、ファイヤーボール」


アンドリューさんが枝に手を翳しながらそう呟いた。

すると、枝の山から細く煙が立ち上り、パチパチと音を立てて枝が燃え始めた。


「よし、じゃあ次は肉だな。」


俺がが枝を集めている間に枝を削って作った即席の串に、慣れた手つきでツキドリの肉を刺して焚火のまわりに立てかけていく。


「おい。ぼさっとしてないで手伝え!」


燃えている枝をじっと見ていたら、怒られてしまった。


「アンドリューさん魔法も使えたんですね。」


串にツキドリの肉を刺して見よう見まねで焚火に立てかけながら魔法について聞いてみた。


「適性は火だけだがな。ルーカスは魔法は使わないのか?」

「魔力はあるんですけど、魔法は使えません。」


おそらく魔法書のようなものがあるのだろうが、まずは文字を覚えない事には話にならない。

アンドリューさんもそれに気づいたらしい。


「文字が読めないんだったな。」


ツキドリ肉を全て串に刺し終わり、最後のツキドリ肉の串を焚火に立てかける。


「はぁー。仕方ねえな。これを食った後少し教えてやる。」


ほんといい人だな。アンドリューさん。


「ありがとうございます。」

「俺はあまり魔法は得意じゃねえ。簡単なのしか教えられねえからな。」

「はい。よろしくお願いします。」


人違いでもなんでも異世界に来たのだから、魔法は使ってみたかったのだ。覚える事が多すぎて正直きついが、元の世界に戻る為にも頑張るとするか。









ありがとうございました。

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