金色の瞳と新たな呪い②
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部屋に戻った俺は、腕輪を外すと丁寧に磨いていく。拭くのに使っているのは、こっちの世界に来た時に来ていたTシャツだ。後で洗えば大丈夫だろう。たぶん。
時々、息を吐きかけながらせっせと磨いていく。きれいになるのが面白くてつい夢中になってしまったが、お陰で腕輪はピカピカになった。
「きれいになったな。でも、もったいない。こんなにきれいなのに呪われてるなんて。でも、呪われてなきゃ、俺のとこには来なかったしな。」
磨きあげた腕輪を眺めながら呟く。呪われていたからこそ、腕輪の所有者は俺になった。眼の色が変わるぐらいの呪いならこのままでもいいと思えるぐらいには気に入っているのだ。
「でも、腕輪2つはちょっと邪魔だな。この腕輪自体が有名みたいだし、二の腕あたりなら目立たないからいいんだけどなぁ。」
そんなことを呟きながら腕輪を上げてみると、簡単に二の腕まで通ってしまった。
意外と通るもんだな。でも、このままじゃ落ちるから布でも巻いて固定しよう。そうだ、さっき貰った包帯で固定するか。そう思い付いて包帯を取り出す為に腕輪から手を離した。当然落ちると思っていた腕輪は落ちなかった。
簡単に二の腕まで通ったのが嘘のように、隙間なくピッタリと二の腕にくっついている。
「・・・サイズの自動調節機能でもついてるのか?」
不思議ではあるが、ここは剣と魔法の世界なので深く考えるのやめる。勝手にサイズ調整してくれるなら便利でいいじゃないか。
腕輪はこれでいいとして、呪いだよな。ちなみに息子については、部屋に戻ってきてすぐに確認したが問題無かった。そういえば俺の眼は今何色なんだろう?鏡は見当たらなかったので、部屋の窓に近づく。
窓ガラスを覗きこんでみる。髪は金色のままだ。色も量も変わらない。そして眼はというと、
「金色になってる・・・・・・。」
金髪金眼って某アニメの主人公みたいだな。俺はチビではないし、髪も短いので編んではいないがな。
窓ガラスに映る自分を見て、他に変わったところがないか確認する。全身を映せないので、よく分からないが眼の色以外変化はないようだ。その時、視界の端に四角い窓が現れた。
なにか書いてある・・・・・・。
名 前:ルーカス【龍宮 彰斗(アキト・ルーカス・ハワード)】
年 齢:15歳
性 別:男
レ ベ ル:1(冒険者ランク:G)
状 態:呪われています。
魔法適性:火・土・雷・光
ス キ ル:自動翻訳・剣術(Lv.3)・体術(Lv.2)・料理(Lv.MAX)
耐 性:物理・火・土・雷・光
称 号 異世界人 偽(人違い)勇者 呪われし者
説明:異世界から間違いで召喚された揚句に呪われてしまった不運な高校1年生。
呪いによって瞳の色が金色になっている。
見えない物が見える呪いに掛かっている。
備考:現在の身長は160.3㎝です。
平均よりちょっと低いですね。
でも大丈夫!成長期は終わってない。
きっとまだ伸びるよ!!
なんだこれ。
突然現れた四角い窓の中には、俺のステータス?が日本語で書かれていた。
あっ!スキルがある。自動翻訳、これのお陰で言葉が分かるし喋れるのか。
あとは、剣術は剣道、体術はボクシングやってたからだろうか?なんで料理スキルだけレベルMAXなんだよ。自炊してたからか?分かんないな。
魔法適性はギルドで確認したのと同じだな。
耐性はいずれ嫌でも実感するだろうからいいや。
称号は、真ん中の『偽(人違い)勇者』って酷いな。
説明もいろいろ突っ込みたいところはあるけどもういいや。
それよりも備考だ。備考はなんで身長の事しか書いてないんだよ!平均より低くて悪かったな、こんちくしょう!しかも励まされてる!?
まさかこれが呪いなのか?説明に見えない物が見える呪いって書いてあったけど、このゲームのステータス画面みたいなのが見えない物で、呪いによって見えるようになったってことなのか!?
・・・・・・・・・でもちょっと待てよ。これって俺以外のも見えるのか?
試しに飾られていた花を見てみる。
名前:ラヴァドラ(白)
効果:特になし
説明:白や紫、ピンク色の花を咲かせます。花の色は地域によって変わります。
備考:落ち付いた香りの花です。
枕元に置いておくと安眠できるかも。
寝る子は育つ。沢山寝て大きくなろう!
「・・・・・・。」
気を取り直して、今度は腕輪を見てみる。
名前:呪いの腕輪
効果:呪う
説明:多種多様な呪いを掛けてくれます。
捨てても所有者の元に戻るので、紛失しても安心です。
現在の所有者はルーカスです。
備考:背の伸びなくなる呪いではありません。
良かったね!
「・・・・・・・・・・。」
喧嘩売られてるんだろうか。どうして備考は俺の身長に関する事ばかりなんだ。背の伸びなくなる呪いなんてあったのかよ。そんな呪いじゃなくて嬉しいのだが、なんか素直に喜べないな。
だけど、俺以外のも見えるのは分かった。見たくない奴には呪いなのかもしれないが、俺にとっては呪いにはならない。これがあれば、相手のステータスだって見る事ができる。戦う相手の強さが分かるのだ。
でも、HPとMPとかは見えないんだな。情報が全くないよりかはマシだけど。
「なんか疲れたな。もう寝るか。」
明日から俺の冒険者ライフが始まるのだ。しっかり寝ておかないとな。
別に身長を気にしてるからじゃないんだからね!
おやすみなさい。
次からやっと冒険者ライフがスタートします。
頑張りますので、これからもよろしくお願いします。
読んでいただき、ありがとうございました。