買い物に来たら呪われました⑤
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今日は3話投稿します。
武器屋の親父さんに教えてもらった薬屋に着いた。
「すみません。まだ大丈夫ですか?」
店の中に入り声を掛ける。
「大丈夫だよ、回復薬かい?」
おばあさんが奥から姿を見せながら聞いてくる。
「はい。」
「回復薬は、銀貨1枚、魔力回復薬は銀貨3枚だよ。」
結構高いんだな。でも、ケチって死んだら元も子も無いし、武器屋の親父さんに申し訳ない。
「回復薬を5本と、魔力回復薬を1本ください。」
「全部で銀貨8枚だ。」
おばあさんに銀貨を8枚渡す。
「ありがとうよ。」
お金を受け取ったおばあさんが、奥に入っていく。
少しして戻ってきたおばあさんのその手には籠を持っている。
「確認しな。青いのが回復薬、赤いのが魔力回復薬だ。」
渡された籠の中には、青いのが5本、赤いのが1本入っていた。
「ありがとう。」
俺はさっき武器屋買ったポーチの中に回復薬を仕舞っていると、
「うん?お前さんその金色の腕輪どうしたんだい?」
「さっき武器屋で、知らない奴に貰ったんだ。」
「ちょっと見せてくれんか?」
「いいですよ。」
おばあさんに腕輪を見せる。
もしかして知ってるのだろうか。呪いの腕輪だって・・・。
「この腕輪がなにか知ってるのかい?」
可哀そうな目で見られて、苦笑する。
「知ってる。呪いの腕輪だろ。」
「知ってて受け取ったのかい!?」
そんなに驚かれるとは思わなかった。お年寄りの心臓に悪いことをしてしまった。
「本当は偶々武器屋に行ったときに押し付けられたんだ。あっという間に腕に嵌められちゃったんだよ。呪いで動けなくなるし、散々だった。」
「それは、運が悪かったね。一度解呪してもらったのかい?」
「動けないのは困るから仕方なく。今の呪いは分からないけど、冒険者になるのに問題がなければいいんだ。」
「それでいいのかい?」
何の呪いなのかは気になるが、今は冒険者になれればそれでいいんだ。
「ああ。でもこの腕輪も呪いなんて気にしなければ、綺麗なのにな。」
それは本当だ。多少汚れている部分もあるが、表面の花っぽいのとかもすごく丁寧に彫られているのが俺でもわかる。せっかくだから宿に戻ったら磨いてきれいしよう。
「お前さんがそれでいいのならいいんだが・・・。ちょっと待ってるんだよ。」
俺そろそろ宿に戻らないといけないんだがな。
おばあさんがまた奥に行ってしまったので、言われた通り大人しく待っている。
「待たせたね。」
戻ってきたおばあさんは持っていた籠をテーブルの上に置いた。
「黄色が毒回復薬、紫が麻痺回復薬、白い瓶は怪我用の軟膏、あとは包帯と手当て用の布だよ。これもおまけしてやるから持っていきな。」
籠の中に入っているのを説明されて渡された。
おまけにしては量が多いと思うのだが。
「いいの?こんなに貰って?」
どうしてこんなに良くしてくれるのか分からない。
「いいんだよ。持っていきな。頑張るんだよ。」
優しく諭すようにいわれ、俺は遠慮なく貰うことにした。
「ありがとう。これからも買いに来るよ。」
「待ってるよ。気を付けてお帰り。」
新たに貰った分もポーチに仕舞い店を出る。
予定より大分遅くなってしまった。完全に陽が落ちる前に急いで宿に帰ろう。
俺は宿に向かって走り出した。
ありがとうございました。