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太陽の勇者と月の巫女  作者: 涙花
勇者と巫女の出現
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巫女姫と騎士

「分かりました。ではお教えしましょう。天族の巫女姫とその騎士の事を…。まず巫女姫ですが、我が一族(・・・・)の巫女姫とは巫女姫となるべくして生まれます。我が一族に巫女姫が生まれる事は同時に災いの者達が目覚める危険な兆候でもあります。巫女姫の役目は災いの者達の目覚めを防ぎ、より深き眠りへと誘う事で封印を強化する事です。そして巫女姫はその役目を全うするために必ず騎士を選びます。重い役目を担う巫女姫の心を支えその身を護る者、守護の騎士と呼ばれています」


我が一族、か。そうなると、こいつ…いや、この人達は…。


「守護の騎士は巫女姫の守護者にして対となる者、巫女姫の生涯唯一の伴侶です。守護者としてその身を守り夫として心を支え護る事が守護の騎士の役目です。その役目ゆえに守護の騎士は巫女姫を愛する者でなければならない。同時に巫女姫が愛する者でもなければならないのです。」


つまり巫女姫の騎士になるのは相思相愛の恋人って事か。んで、俺にレティの事をどう思ってるのか訊いたのは俺が騎士になる可能性があるかどうかを知る為。ん?でもレティも俺の事を好きじゃないと騎士にはなれないってことだよな。


「そして我が一族に巫女姫が初めて誕生した折に女神様から神託が授けられました。『巫女姫は生涯ただ一人の騎士を選ぶであろう。騎士とは巫女姫の守護者であり対となる者。もしも一族以外の者が巫女姫を愛し騎士となることを望むのであれば今まで生きてきた己自身を捨て、新たな生を受け入れよ。巫女姫がその者を愛し同じ時を共に歩く事を願う時、その願いは叶えられるであろう』これがその全文です」


なんで同じ種族じゃないといけないんだろう。なんか隠してる気がする。


「神託があったのは分かった。でもどうしてそこまでするんだ?寿命が違う、本当にそれだけが理由なのか?」

「その理由はいずれ知ることになるでしょう。」


いずれ、ね。教える気はないって事か。まあ、いいや。寿命だけはどうやっても自力じゃ解決出来なかったし、それを解決してくれるなら文句はない。

うん?でも待てよ。今の話のどこにレティが俺から離れようとする要素があるんだ?


「じゃあレティが俺から離れようとする理由は?」


おい、そこで首傾げるなよ。なんで分かんないの?って顔するな!


「…レティンシアも女神様が授けた神託を知っています。それ以上の事は私の口からは言えません」


女神の神託を知ってるから離れようとする?

レティの騎士が他の種族である事は確定している。レティが騎士になって欲しいと願った奴が天族になる事も確定だよな。レティが離れようとする理由………………すごく都合のいい事しか思いつかないけど、もしそうだとしたら?


「もう一度問います。今まで生きてきた己自身を捨て、新たな生を受け入れる覚悟はありますか?」


女が力強い眼差しで問う。偽りは許さないとその瞳が告げている。

レティが俺から離れようとする理由。


俺が騎士になる事を望んでるけど、俺は元の世界に帰りたがってるし、人でなくなれば元の世界に帰った時に困るから俺から離れる。


俺の事を好きだから諦める為に離れる。

レティは俺の事が好きだと、自惚れてもいいのだろうか。


「返事は変わらない。人間じゃなくなろうがレティの隣に居られるなら俺は喜んで新たな生を受け入れる」


視線を逸らすことなく俺は胸を張って堂々と宣言する。

ふわりと女の表情が緩んで嬉しそうに笑う。男は……悔しそうにしている。


「その覚悟確かに受け取りました。あなたにこれを差し上げましょう」


女が差し出した手のひらにあるのはイヤリングだ。


「俺はこれをやる」


男が差し出した手のひらにあるのはイヤーカフスだ。

俺は、このイヤリングとイヤーカフスを見た事がある。レティと初めて逢った場所で見つけた箱に入っていたのと同じ物だった。


「ありがとうございます」

「最後に我が一族からこの指輪を差し上げます」


そう言って渡されたのは中央に透明な小指の先程の石が埋め込まれた指輪だった。細かな文様も刻まれている。よく見ると裏側にもびっしりと文様が刻まれていた。


「守護の騎士となった時に役に立つでしょう」


(この人達の中で俺が騎士になるのは決定事項なのだろうか?)


「ありがとうございます」

「もうあまり時間がありません。異世界の方、最後にあなたの名を教えてもらえますか?」

龍宮(たつみや) 彰斗(あきと)・ルーカスだ。この世界ではルーカスを名乗ってる」

「私はリディア・ディオスです。ルーカス、どうかレティンシアを、私達の大切な愛しいあの子をお願いします」

「俺はリオン・ディオスだ。ルーカス、レティンシアは俺達の唯一無二の至宝、お前に託す。必ず護り抜け。泣かせるな。幸せにしろ」


天族、しかもレティの両親。イヤリングとイヤーカフスを見た時点でそうだろうなとは思ってたけど…。


「レティンシアは俺が護ります。一緒に幸せになります」


そう言い切った直後、突然周囲が霞み始めた。目の前にいる2人の姿も霞んで見えなくなる。

そして俺の意識はプツリと切れた。


読んでいただきありがとうございました。

大変申し訳ございません。家庭の事情によりしばらくの間、更新をする事が難しくなりました。落ち付きましたら更新を再開していきたいと思います。

ブックマーク、評価をしてくださった方、読んでくださった皆様に心から感謝しております。ありがとうございました。

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