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第一章 望むものなら滅びを望む

小さな路地裏、行き止まり。雨とよべるか呼べまいか、中途な小粒のしずくが降る中で、血だまりの傍らに座り込んだ髪の長い少女。顔を覆い、しくしくと声を押し殺し泣く。そこに、二人の人影。部下と思われる一人は少女に手を差し出そうとする。が、その手も片割れの、上司に止められる。こげ茶色の髪を持つ目つきの悪い男は述べた。

「目撃者によると、十歳前後の身長で髪も長かったと言う。」

淡々と語るその眼は鋭く、獲物を刈る寸前まで追いやったトラのよう。

「そして有力な情報が一つ。『羽をもがれた青い鳥』だそうだ。」

その発言で、少女の体はピクリと動く。

「殺人鬼の通り名だ。外見、内容、今回と同じだ。今までのも、、、」

その時にはもう、少女の啜り泣きは聞こえず、ただ、語りを聞くまでだった。

「お前だろう?」

鋭い目つきで、少女に語りかけた。少女はピクリとも動きはしない。

「羽をもがれた青い鳥は、不幸を運ぶんだったか。」

的を射た。少女はとうとう動きだした。ゆっくりと顔を上げる少女は、笑っていた。

「ふふっ、なぁ~んだ。わかってんじゃん。」

金色に光り輝く瞳は、獲物を狙う寸前だった。二人の男はその(おぞ)ましさに恐怖したが、一人は負けじと張り合う。

「一つ、質問してもいいか?」

「おっけ~」

真剣な問いに裏腹、平然と立ち上がり、パンパンとズボンの汚れを落とす。その時目は曇りのない海色だった。

「お前は、なりふり構わずに殺すことで有名だ。なぜ目撃者を残す。」

天然のきいた髪をくしゃくしゃと解かしながら、、「ん~?」と唸る。

「そこ、違うよ。」

「何?」

指摘し、指さす。男には疑問しか生まれない。

「羽がもがれていようが元は青い鳥。願いをかなえてる。まぁ、叶える代わりが、者になるってことでね。」

軽く受け流すような説明に、困惑する男。

「・・・どういうことだ?」

疑問だらけの男は一つ々を質問する。

「まだわかんない?」

またも、目を金色に輝かせ問う。

「でもまぁ、うん。そうだね。」

顔を伏せ、考え込む。結論が近くなるのか、その口角はあがってゆく。

「これから死ぬのに、知っても無意味だね。」

上げた顏には薄気味悪い笑みを浮かばせ、まさしく妖笑であった。

「貴様!ふざけているのか?!」

部下をかばい、自らが前にでる上司。

「まっさか!ふざけてないよ!」

両手を挙げて、敵意がないように見せるが、殺気はダダ漏れ、瞳も金色ではなものの、余裕をふるまう。

「真実を言ったまでさ。」

その言葉で場の空気が変わる。

「そう、真実を、」

目をゆっくり閉じ、かすかに、囁くように語る、

「さ♥」

たったの一文字で変わる。開かれた瞳は海色でも金色でもなく、獲物を捕らえた鷹、紅だった。

「何を言っt」

怒りを露わに言葉を発するが、すでに遅く。{ビシュァ}と何かが吹出る音が言葉を遮る。間髪いれずに、背後の音に上司と思われる輩は血の気が引いた。

{ドシャァッ}その音で、すべてを理解する。

「な、にが、、」

後ろ振り返った男は、驚くよりも、嘆くよりも、頭には理解不能だった。先ほどまで後ろで少女におびえて立っていたものが、肩から血を流し倒れている姿。

「っ~~!」

「まだわっかんないかな~?」

いつの間にかに表地のほうに立っている少女に、上司は驚く。

「つまりさ、君らも、、、、僕の使者かただの死者か。どちらかしかないんだよ?」

小馬鹿にするように背中を反って顔を窺う。

「いつまでそんなことを言えるんだ!」

「ぶはっ それ、そのまま返すよ。いつまでそんな、地に足をつけている気?」

ニヤリと笑った後、男の首は切り落とされた。

「ふざけんなよ。僕の羽、返せよ。お前らの羽、、いらないならよこせ。」

一人、つぶやいた言葉。それは雨音にかき消され、雨脚はどんどん強くなる。まるで、流れた血を洗い流す。神聖な雨のように。

「ふざけんな。流すな。この血を流さないで。翼を、、奪わないで。」

涙なのか雨なのかわからない滴が頬を流れ、少女は手を伸ばす。伸ばした先には、水色の羽の形をしたもの。部下の男の体から出ていた。その翼は、雨に撃たれ形を崩していた。少女は嘆いた。なぜ、こんなにも脆いのか。なぜ、人間は翼の存在を知らないのか。

少女は立ち上がり、周りを見回す。そして、表地に歩みだす。

少女は、、、、否、

                少年は笑いながら去って行った。


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