3-15 <突風。だがそれは俺の――>
短いです。
吹き荒れる風がその二人を中心に巻き起こる。
ダメージこそは"決闘"形式によって受けることはないが、巻き起こる吹雪の寒さだけはどうしても防ぐことはできなかった。
「ックシュン!!」
横で、着ている装備が露出度が高いことに後悔しているツンデレ弓兵を尻目に、クオリアは前もって着用しておいた厚着のマントの襟を整えた。
「寒そうですねぇ」
「なんであんた準備万端なのよ!!わかってたなら教えてくれたっていいでしょ!!」
「巷で話題の氷魔法剣士二人が真剣勝負ですよぉ?こうなることはわかっていたはずではぁ~~?」
「――……あぁ~~ッ!!その人をおちょくるような喋り方ムカつく!!」
「はいはい。しょうがないですねぇ~~」
そう言ってクオリアは用意してあった防寒着をアイテムストレージから取り出しテルプに渡した。
白い毛皮のコート。それを温かそうに露出した体に包み込むと安心したように強張った表情を緩めた。
それを尻目にクオリアがヤレヤレと肩を竦めてため息をもらす。
「それにしても………よく避けますこと」
巻き起こす突風は一人の氷剣士から起こっている。
握る剣を振りかざす度に大剣を握る少年に向かって飛んでいく。それを最小限の動きで寸前でかわしていく少年。まるでその行動を予測、いや予知しているかのように思えた。
この先の展開は私にも予想できる。一方的な展開。
だが、少し引っかかるのだ。
なぜか避けている彼が表情を強張らせて―――焦っている?何に?
そして私は小首を傾げるのであった。
なかなかに鋭い攻撃だ。どの攻撃も一撃とはいかないが大ダメージを喰らうことだろう。
かわしながらも、いつこの直感が外れてHPを消し飛ばされて……勝負がつくかもしれない。そんなスリルにも似た緊張が俺の体を絡めとる。本当に自分の直感を信じていいのか?そんな迷いと、改めて知るこのギャラリーの数に緊張と冷や汗で回避動作が遅れてる。
きっと周りからは寸前で避けている。無駄のない動きだ。とか思われているんだろうがコッチは結構必死で半ば偶然だったりする。むしろ体が強張って思うように動けないのがこの状況だ。
だが、上手く動けていないのだが、この避け方で正解な気がする。修行中は大雑把に、素早く、余裕を持って避けていたがアレではダメだ。対人戦を実際にやってみてアレではダメだと感じる。大雑把に避けるようなら回避が遅れて次の回避が間に合わなくなる。直感に頼って相手の攻撃モーションを見る前に余裕を持って動いては、俺が予測していた行動と別の攻撃がきてしまう恐れがある。
ならば今のように精密に、スリルを持って、遅く避けなければならない。それはそれで冷や汗ものなんだが………。
しかし攻撃が遅い。今のとか隙だらけじゃないか。
もう攻撃していいかな………?
クーリンの言いつけを守って初動は避けることに集中しているが、攻撃したくてウズウズする。
「っへ。良く避けるじゃねーか」
「………」
「でもよぉ。いっぱいいっぱいって顔してるぜッ!!」
「そう見える?」
「なら手加減はいらねー、なっ!!」
「っ!?」
速度があがったっ!!
しかし、まだ反応できるレベルだ。
こっちもいい加減動かないといずれ俺の直感が外れるかもしれない。
ならば行こう。俺の力がどこまで通用するのか確かめに!!
「――――はああああああああああっ!!!!!!!」
「なにぃっ!!」
剣を弾き、スキルモーションを始動させる。
面を喰らったニブルは反応するもかわせず直撃。盛大に俺へ歓迎の舌打ちを漏らした後、猛攻が吹雪と共に襲う。
たぶんこれがコイツのフルスロットだ。と、激情した表情から読んで予想する。
まだ反応できる!!
ニブルがスキル始動をはじめる。きっと氷魔法剣中級四連撃【雪月】。四連撃全てをかわせば、スキル後硬直で隙が生まれる。そこを叩く!!
1、2、3―――4っ!!
ここでぇッ!!
全て避けきったあと、俺も同じ技をおみまいしようとスキルを始動させるのだが、何か違和感を感じる。
激情したフリをして、わざと隙を作り攻撃を誘った。直感がそう囁く。
いや、どう考えてもアイツの武器はあの"片手剣一本だけ"だ。
わざと隙を作ったとしても俺へ攻撃する手段がない。奴の右手は片手剣を握って空を切っている。それに左手も紋章を描いていない。描くどころか不自然に背中に手を伸ばして―――ッ!?
悪寒にも似た直感から答えを導き出した俺はスキル始動かき消し、硬直が発生しない通常攻撃でその罠に乗っかった。
直後、ニブルの左手は発光。
空間から取り出し、そのままソイツは会いたかった。と伝えるように俺目掛けて"一刀両断"しにきた。
硬直が発生していないため、すぐさま体を横にしてソイツからの抱擁を拒絶した。
本来なら拒絶したくはない。本来ならな。
「………ッ」
「ほお。スキル始動が見えたんだが、キャンセルしたか」
ニブルが握っている物は、右手には先ほどから俺を攻撃し続けていた片手剣"氷帝のツルギ"が。
左手に握った"ソレ"は重量を感じさせず、軽く弧を描き彼の肩に乗っかった。
「これで決まると思ったんだが」
俺が目を丸くしたことに愉悦を覚えたのか、ニブルはご機嫌だった。だが、俺はそんなことよりも直感が教えてくれたのにも関わらず、未だに信じられずにただ"ソレ"を見つめ続けていた。
「どうだ?良く似合ってるだろ?この"大剣"」
握りしめた手がギリギリと音を立てる。
わかっていたことだが、"ソレ"を使っている姿を見るだけで胸が締め付けられる。
まるで最愛の彼女が全くの他人に触られているような感覚。
「さあ続きといこうぜ。次から俺の本気だからよ」
右手に握り締めた剣と左手に握った大剣を下段でクロスさせる。あたかもその"大剣"を俺に見せびらかすようにして構える。
そう、その"大剣"とは俺の―――。
「氷覇王竜―――逆震ッ!!!!」
どうも。雰囲気だけで書いてます。
あとで書き直したりするかもしれません。
そのときは更新時に前書きに書いておきます。
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