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チートな俺と歌姫な俺と  作者: 真幸
◆◇ 第二章 -幸運と不幸- ◇◆
37/54

3-5 <挑発。だがそれは決意>

 俺………アスキラさんに勝ったら………結婚するんだ。


「は?………悪いけど後にしてくれない?今はそんな気分じゃ―――」

「なんだ………怖気づいたか?」

「―――っ」

「所詮はテメェで名乗り出した通り名なんだろ?それを俺に取られるのが怖いんだろ」

「………」

「それにさっきのアスキラとの勝負、俺なら勝てた。やはり最強の氷使いは俺で間違いないよな?こんな腰抜けには勿体無い通り名だよ。ほら、速く帰れよ腰抜けっ!!」

「―――れ」

「どうせさっきの百人斬りも八百長なんだろ?ギルドの連中とお前もサクラなんだろ?」

「―――黙れ」

「この際だ。【絶氷】の通り名と一緒に【最強】の通り名も貰っちまおうか―――」

「黙れって言ってるだろおおおおお――――――っ!!!!!」


 手が震える。声が震える。


「俺をどう言おうが構わない。だけど―――」


 システムウィンドウを出し、そこから目の前の『ニブル』を選択し、デュエルを申し込む。するとニブルの前にウィンドウが表示された。


「アスキラさんの侮辱だけは許さない」


 それを見てニブルは笑壺に入った。あれからスレにも言われたがコイツはデュエルを拒否しまくる。―――なら挑発しかないとニブルは考えた。

 正直、そこまで効果的ではないと思っていたが中身がガキなのであろう。デュエルを挑んでくれた。これを笑わずにしてどうする。


 二人の間に『60』の数字が刻まれる。


 自分の"目標"であり、"尊敬する人物"への侮辱にユキは激怒した。

 ―――震える。

 怒りによって背に納めた剣を握る手が激しく震えてた。

 あの愉悦に浸る顔が気に入らない。


 カウントが『0』を表示した瞬間にユキは駆けた。ニブルの手が何かを描いていた。


 ―――関係ないっ!!!!それごとぶった斬ってしまえばいい話だっ!!


 ユキの剣が青白く光り輝く。

 氷魔法剣中級技【氷剣技・激しい氷撃アイシクル・グラソンフォール】がニブルへと走る。

 だが突如として現れた氷壁によってニブルの姿は視界から消える。

 お構いなしにユキはその壁を真横に斬り裂くも奴の姿はない。


「こっちだっ!!」

「っ!?」


 初級範囲氷魔法【凍る半月フリエレンハルトムーン】が後方より放たれた。それをバックステップで躱しスキルを走らせる準備をすると、先の魔法はフェイクだと魔法の奥から氷魔法剣中級中距離技【貫く突風ピアッシングブリザード】が貫いてくる。

 回避行動が遅れ、右腕にヒットし、衝撃によって体を地面に倒した。スピードはそこまでないがダメージがすごい。今のでユキの体力を一割強削られてしまった。

 『Agi』はユキよりもない。だが『Str』はユキよりも上だと予想できる。

 だったら片手剣よりも大剣のが合うのでは?と変な疑問も生まれたが、それを投げ出し転がるようにして起き上がる。

 ―――直撃した右腕が凍っている。氷属性特化防具には同時に『氷結耐性』の効果がついているはずだが、それを貫通するってことは流石【絶氷】の通り名を奪おうとしているだけはある。


 突っ込んでくるニブルに剣を合わせ鍔迫り合いに追い込まれる。『Str』が負けているのもあってか、ジリジリと押し込まれてく。

 その状態から勢い良く押され、腕ごと剣を上に押し上げられる。ガードがガラ空きだと水平に剣が振られる。すぐさま剣を縦にして防ぐも次は左手から初級氷魔法【氷の礫(アイス・ストーン)】が顔面目掛けて放たれる。

 接近からの速射で避けられず直撃する。


 ―――コイツ、俺よりも上手い。


 ゲージは残り七割。バックステップで距離を取り、ユキは剣先をニブルに向けるも直撃した右目は霞んでいた。氷結しなかっただけまだましか―――と手を当て数度パチクリと正常に戻す。


 状況はどう見ても劣勢。

 俺はコイツに勝てるのか―――?


 正常に戻った目でニブルを見つめるが、さきほどいた場所にその姿はなかった。

 左右?後ろ?―――上だ!?

 すぐさま右に避けると、激しい衝撃と同時にニブルの姿が地面にめり込んだ。氷魔法剣中級技【氷剣技・激しい氷撃アイシクル・グラソンフォール】だろう。落下してきた場所は土埃を舞わせ、ユキはすぐさま距離を取るために大剣を担いで離れる。だが―――。


 なんだ?足が―――動かない。


「中級設置系氷魔法―――【凍てつく大地(フリージングアース)】」


 設置系魔法っ!?


「誘導されたことも気づかなかったのか?こんなバレバレな設置、小学生でもひっかんねーよ」


 剣で足元の氷を突くも、状態異常は物理攻撃で解くことはできない。氷結の解除はアイテムか魔法でしか解除できない。しかもデュエル中は回復魔法もアイテムも使用できないようになっているので、状態異常系は時間解除を待つ以外方法はない。

 ならば解除される時間まで相手を攻撃するだけだ。

 すぐさま魔法と剣での牽制スキルを飛ばす。ほぼ同時にニブルもまたそのスキルを出して潰すどころか、押し込み、両手でガードする。

 ―――ック。無理な体勢からのスキルでは押し負ける。ユキのゲージはさらに二割削れた。


「―――終わりだ」


 走りだしながらニブルは左手で紋章を描く。その紋章は―――っ!?


光り輝く氷嵐ダイヤモンド・テンペスト―――っ!!!!」


 ちょうど氷結も切れるが、だめだ避けれないっ!!!!





 本日二度目の『You Lose』のウィンドウが表示された。


「くっ………―――」


 地面に突き刺した大剣を使ってなんとか立ち上がろうとするが超越ダメージの影響で痺れて体が動かない。ユキは大剣から手を離し、その場に倒れこんだ。


「ッチ。同じ氷魔法剣士として呆れるくらい弱いぜ。ひょっとして絶炎以下なんじゃーか?」


 ニブルの挑発に心だけは反応するのだが、体がもう言うことを聞いてくれない。

 ニブルが突如としてユキの大剣の柄を握り、それを地面から抜いた。抜いた大剣『氷覇王竜・逆震』の詳細ウィンドウを表示し、ニブルは眉を釣り上げた。


「壊れる寸前じゃねーか。武器の手入れもできねーのかよ」

「やめろっ!!その剣だけは―――」

「っは。女みたいな声しやがって。お前はオカマか?」

「―――っ!?」


 おん………な―――?

 ニブルは大剣を振り回し、どうやら気に入ったようでそれを肩に担いであの嫌な笑顔で見下ろす。


「そうだな………この剣は俺にこそ相応しい。ありがたく思え、この俺が使ってやるよ。この"【絶氷】のニブル様"がなっ!!―――ガハハハァッ!!!!!!」


 手を伸ばそうと、返せと、声を出そうとするが出せなかった。

 女みたいな声―――ユキにとって、それは禁句でしかなかった。その言葉を聞くだけで心を粉々になる。

 瞳には生気がなくなり、視界がにじむ。悔しさよりも何か別の感情が激流してくる。



 

 気づいた時には視界は真っ暗だった。

 静かで孤独であり、光もない。まるであのときの部屋のように―――。


「―――ユキ」

「ん―――」


 目を覚ますと目の前にテルプの顔があった。


「やっと起きた。心配かけんじゃないわよ」

「―――」

「起きてる?たまたま歩いてたら倒れてるアンタみつけて―――心配したんだから」

「………ニブルはっ!?俺の剣はっ!?」

「え?ニブい?剣?何いってんの―――」


 アイテムストレージを見るも盗られたのだからその存在はない。途方にくれるユキに不安しか感じ取れないテルプ。

 するとユキは何も言わずに立ち上がり、そのままフラフラと街灯のない方へと歩いて行く。


「―――ちょ、ちょっとっ!!」

「………」


 無反応ままユキの姿は闇の中へと消えていくのであった。





「まいどっ。また来てくださいね」


 営業スマイルを浮かべ、シュウは店頭から中へ戻ろうとしたとき。なにか女性の声が聞こえた。戻ってみるとさきほど見た弓使いのテルプだった。

 シュウはどうしたのか?と聞くとテルプは息を切らせたまま。


「大変なのっ!!どっかいって―――」

「―――は?」



 ◆◇◆◇



 虫の声と遠吠えが鳴り響く暗い森の中。ユキは岩の上で腰を降ろし、目の前に浮かぶウィンドウを見つめていた。

 シュウからの念話だがユキはただ見つめるだけで出なかった。

 数分経ち、ウィンドウは消えるもまたウィンドウが表示される。立ち上がりざまにユキはそのウィンドウを消した。

 シュウ達には心配かけるだろう。だけどこれは一人でやらないといけない―――。


 武器の性能やエンチャントに頼りすぎている。こんなんじゃアイツは倒せない。もっと腕をあげなければ―――。

 ユキは背にした氷属性とは無縁の無属性大剣【覇王竜・森羅】をストレージから取り出し背にしまう。

 あの大剣【氷覇王竜・逆震】はもう返って来ない。ならば性能やエンチャントなんかに頼らない戦い方を学ぶしかない。

 ユキは肩に担ぎ、大剣を構える。そのままスキルを発動させ片手剣初級全方位技【円月(えんげつ)】でグルリと体を回す。

 うん、問題ない。

 それからユキはもう一度武器をしまい。ため息を吐いてまた岩に腰掛けた。


 思い返すのは今日一日のこと。………今日は色々な事が起きすぎだ。

 そもそも拉致から始まる一日ってどんなだよ。まったくあいつって奴は―――。


 拉致………?


 落ち着いたことでユキは思い返す。

 そもそもなぜ俺は拉致されたんだ?普通スモークかけた車で家に送るか?

 ただ俺と話すだけならそんな変なことするよりも俺の家とかその辺の喫茶店でもよかったはずだ。


「なのになぜ―――?」


 少しの間考えこんだが、そもそもクオリアって奴はおかしな奴だ。考えてもしかたがないと、ユキは視界に表示されるリアル時間を見てもうこんな時間かと驚き、すぐさまシステム画面を表示させログアウトするのであった。


 ニブルに敗北したユキ。

 武器も通り名も奪われた彼は、一から鍛えるために一人旅に。

 そこで彼と出会う者は―――。


 次回 チートな俺と歌姫な俺と 二章 第六話 【絶炎】



 前回もやりましたが↑↑この次回予告はまったくのデマです。誤情報には注意しましょう。

 感想、評価等していただけたら幸いです。

 不躾なお願いですが誤字脱字等ありましたら報告していただけたら嬉しいです。 


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