所詮、妹なんてこんなもの
妹が兄に対する呼び方は様々だ。
可愛げのある妹の場合『お兄ちゃん』が一般的だ。他には『にいに』などが存在する。
とりあえず慕ってくれているのならば『兄さん』や『兄貴』が該当することになる。
他にも、『兄様』、『兄上』、『兄君』、『おにい』などがある。これは良しとしよう。では、
これらに当てはまらない呼ばれ方はどうであろう?
例えば、そう――
「おい、お前」
である。これは可愛げなぞダストシュートされた挙句、焼却処分。血縁関係がどうのこうのとか、慕っているor慕っていないなどという問題を差し置いて兄のことを粗大ごみとしか思っていない妹の使う二人称である。
「おい、オマエ」
――にしてもだ、お前は腐っても女子中学生だろう? 畳に寝そべりながらポテチを貪りつつテレビを眺めているその姿は昼ドラ見てるおばさんや、休日のぐうたらオヤジを連想させるぞ。そこら辺はどうなんだ? 俺から言わせてもらえば女を捨てているぞ、妹よ。そもそも、そんなことしてふと……
「おい、バカ兄貴」
馬鹿、兄貴の前に余計な物を付けるんじゃない!
「バカとはなんだ!? バカ妹」
「私バカじゃないし、お前と違って成績良いし」
ぐはっ!?
い、痛いとろを付くじゃないか妹よ……
「し、知るかんなこと……で、何の用だ?」
「ジュースとポテチ買ってきて。もちろんバカ兄貴のお金で。バイトやってんでしょ? おごってよ」
「……それが人に頼む態度か? 物言いか? 自分で買ってこいぐうたれ」
「お兄ちゃん、いいのかな~?」
お、おおお、お兄ちゃんっ!? なんだろう……うれしいはずなのにうれしくない、むしろ気持ち悪い、吐き気と寒気が……
「パソコンのアレ、皆にバラしちゃうよ」
「What、何?」
ナ、ナンノコトカナー? ボクニハサッパリワカラナイヨ。
「システムデータとかいうフォルダーの中身」
「パ、パードゥン?」
聞き違いだ! 幻聴に決まっている!!
「システムデータとかいうフォルダーの中身。エロ画像でしょ?」
NOOOOOOOOOOッ!!!! 貴様なぜそれを知っているッ!? あれは俺の秘境。秘境なんだぞ!!
「じゃあお願いね。お兄ちゃん」
……やるようになったではないか小娘。だが、俺からも細やかながら反撃させてもらうぞ。
「……寝ながら食うと太るぞ」
「なっ……!?」
ほう、効果ありと見た。
「ただでさえカロリーの高いポテチにジュースだ。簡単に増えるだろうな」
「…………運動するから問題ないもん」
「そうか? でも最近お前ぽっちゃりしてきたぞ?」
「そ、そんなことないもん!」
クククッ、知っている。知っているぞ。俺は知っているっ!!
お前はここ数週間、かたくなに風呂場の体重計を避けてきた。それはなぜか? 答えは簡単。太ったのだろ? 太ったんだよなぁ? そうなんだよなぁ?
「いや、腹とか顔とかが特にふっくらしてきた」
「そんなことないって言ってるでしょバカ兄貴っ!!」
「そうか、じゃあ体重計のれよ」
「……えっ?」
「太ってないんだろ? 乗っても何の問題もないはずだ」
「家の体重計は壊れて……」
「俺が使ったときは正常だったぞ?」
「…………」
さあ、追い詰めたぞ。なんか言ってみろ。
「そもそも、お前が運動してるところ見たことねぇぞ。ホントにやってんのかよ? 飯の前にも後のも寝ながら食ってるから太るんだろうが。まあ、俺には関係ないしな、せいぜい頑張れよ……あっ……」
「…………」
しまった言い過ぎた!
「すまんっ! 悪かった。だから泣くのだけは……」
あああ、やめてくれ。そんな怒りと悔しさが入り混じった顔で見ないでくれ。罪悪感が、罪悪感があ……っ!
「ポテチだろうとなんだろうとおごってやるから泣くのだけは勘弁してくれっ!」
「……パフェ3杯」
「……はい?」
「パフェ3杯おごって」
「お前は何バカなことを言って……」
「…………」
「喜んでおごらせていただきます」
結局、パフェをおごることになってしまった。これなら素直にポテチとジュースを買いに行った方がよかったのではないか? いやいや、それでは兄の威厳というやつがだな……
「さっきはごめんね。バカとか言ったり、ぱしらせようとして……」
「いや、俺も言い過ぎだった。すまん」
謝る心があるなら俺にパフェおごらせるの止めてもらえませんかねえ? あっ、まてよ。ジョークなのか? HAHAHA、だとしたらなんてよくできたジャパニーズ ジョークなんだ!
「で、いつ連れてってくれるの?」
Oh……本気だったのね。
「そうだな……、来週の日曜日でどうだ?」
「わかった。じゃあその日は私とデートだね。感謝してよ? かわいい妹が彼女のいない兄貴のために一肌脱いてあげるんだから」
さりげなく傷口に塩を塗らないでください。慰めのつもりなのか? だとしたらいらぬ! リア充爆発しろ!
「ああ、楽しみにしているよ」
なんか疲れたな。俺の部屋で少し寝よ。あっ、秘境どうにかしねえと……
「…………ありがとう、お兄ちゃん」
「ん? なんか言ったか?」
「な、ななな……」
「な?」
「なんでもないもん!! バカ兄貴!!」
一体なんだというのだ? 突然部屋を飛び出して……まあ、所詮、妹なんてこんなものか。
これからたまに投稿するつもりです。文章力ないけど……