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もし信長が生きていたら ― 本能寺から始まるもう一つの天下 ―  作者: マーたん


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西国への使者

山崎の戦いを制し、再び天下人として歩み始めた織田信長。


しかし、天下統一への道は戦だけでは切り開けない。


信長は弥助を伴い、西国の大名たちとの対話を選ぶ。


果たして、その思いは毛利家に届くのか。


乱世を終わらせるための新たな一歩が、今、静かに始まる。

第十二話 西国への使者


秋風が吹き始めた頃。


信長一行は京を発ち、西国への街道を進んでいた。


先頭を行くのは織田信長。


そのすぐ後ろには弥助が控え、周囲を警戒している。


「上様、この先は毛利方の領内にございます。」


弥助が静かに告げる。


信長はうなずいた。


「戦ではなく、話をしに来た。」


「その志が伝わればよい。」


その頃、毛利家の居城では重臣たちが集まり、織田軍の動向を議論していた。


「信長が自ら来るというのは誠か。」


「兵を率いていないという報告です。」


「罠ではあるまいな。」


不安と警戒が入り混じる中、毛利輝元は静かに口を開いた。


「会おう。」


「戦を避けられるなら、それに越したことはない。」


数日後、信長と毛利輝元は城内で対面する。


広間には緊張した空気が漂う。


信長は堂々と座り、口を開いた。


「毛利殿。」


「余は天下を武力だけで治めるつもりはない。」


輝元は静かに問い返す。


「では、何を望まれる。」


信長は答えた。


「民が安心して暮らせる国だ。」


「戦を続ければ苦しむのは民である。」


その言葉に、広間は静まり返った。


やがて輝元はゆっくりとうなずく。


「もし、その言葉に偽りがないのなら……。」


「我らも和平への道を探ろう。」


弥助はその様子を見つめながら、小さく胸をなで下ろした。


刀を交えることなく、一つの争いが終わろうとしていた。


しかし、その日の夜。


服部半蔵が密かに信長のもとを訪れる。


「上様。」


「新たな報せにございます。」


「申せ。」


「九州の島津家が兵を動かし始めました。」


信長の表情が引き締まる。


「ついに動いたか。」


半蔵はさらに続ける。


「その背後には、なお信長様の天下を認めぬ者たちがおります。」


信長は立ち上がり、夜空を見上げた。


「乱世は終わりに近づいている。」


「だからこそ、最後の抵抗が始まる。」


弥助は主君の隣に立ち、静かに言った。


「どのような敵であろうと、私はお供いたします。」


信長は力強くうなずく。


「行こう。」


「天下の未来を、この手で切り開くために。」


こうして一行は、次なる舞台・九州へ向けて歩み始めた。


戦乱の終焉は、もうすぐそこまで迫っていた。

第十二話をお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、信長が武力ではなく対話によって天下統一を目指す姿を描きました。

毛利家との和平は大きな前進となりましたが、九州では島津家が動き始め、天下は再び緊張の時を迎えます。

次話では、信長一行が九州へ向かい、新たな強敵との出会い、そして乱世最後の大きな戦いへと物語は進んでいきます。

信長が思い描く「新しい天下」は実現するのか――その行方を、ぜひ見届けてください。

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