表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

超古代文明の担い手

作者: 豪陽

夏に投稿したショートショート「我らの月計画」(N5882KW)の続編です。

「事が終わればあっけないものだ。」


グリュニャルアン上級技術官はコックピットの蛸壺に身を沈めた。


「船長、熱管理のマニューバ終わりました。」


ボルトモン技術官は報告する。


「ご苦労さん。君も休め。」


記念すべき月着陸ミッションの帰途、すべてが順調であった。


月軌道船は月軌道を離れ地球への帰還軌道に乗り、大気圏再突入のための軌道調整も終えていた。


若き剛腕ボルトモンは身を捩らせてグリュニャルアンの隣の蛸壺に潜り込んだ。


彼らは進歩した頭足類、オクトパス・サピエンスであった。知性ある種族として地球を支配し、更に今回月面を征服したのである。


そして月面で待っていたのは5000万年前の超古代文明の遺構であった。宇宙船の残滓と思われるチタンとアルミニウムの構築物。グリュニャルアンらはその遺構に畏敬の念を抱かずにはいられなかった。


頭足類文明が発達するまで5000万年にわたって月面にその遺構は存在し続けたのである。月面に到達していた事も含めて恐るべき文明であった。


そして遺構の周りには足跡が残っていたのである。


「リューリー研究官、あれは予想外だったな。」


グリュニャルアンは隣の蛸壺の同僚に呼びかけた。彼は調査担当の考古学者である。


「まったくですね。あれほど大きいとは。」


リューリー研究官も触腕をピタピタやりながら同意する。


「確か君たち学者は超古代文明の担い手と思われる化石も発掘していたのだよな。」


「ええ。完全な骨格がなくて苦労しましたが二足歩行の生物であるのは確かです。」


「完全な骨格がないとは?」


「バラバラだったり切断されていたりしたのです。」


「ううむ、それは自然現象なのか、いや彼らの間に社会的緊張があったのか」


「人工的に破損されていた形跡もあります。超古代文明が闘争によって滅んだとする説の根拠ですねえ。」


「あれほどの文明を築いて自滅か。やりきれませんね。」ずっと聞いていたボルトモン技術官も話に加わる。


「そうだな、我々も注意すべきなのだろうな。しかし足跡は大きさが合わないのだろう?」とグリュニャルアン。


「我々の推定では超古代文明人の高さは3エペオン(48cm)くらい、足は長さ0.5エペオン(8cm)くらいか。遺跡の周りの砂に残っていた長円形の足跡は長さ2エペオン(32cm)近いですからね。確かに合いません。」リューリーは頷く。


「彼らのロボットではないでしょうか?建機というか重量物運搬機というか。」ボルトモンは技術者らしい事を言う。


「その可能性もありますけど、私はどちらかというと奴隷説ですな。」リューリーは持論を述べる。


「奴隷?なんの事です?」


「超古代文明人と一緒に発掘される大型の類人猿の化石があるのです。これは個人的な推測の段階ですが、超古代文明の使役した奴隷ないし家畜だと思っています。」


「確か超古代文明人の方がずっと化石の数が多いのだったね。」


「さすがグリュニャルアンさんは勉強家ですね。出土数の少なさから類人猿はまだ全容が掴めておりませんが、大型の生物の方が使役されたと考える方が理にかなっております。力がありますからね。出土数が圧倒的に多い種が文明を代表していると考えるのが自然ですし、知恵のある者が支配者になるのは必然です。これがその想像図です。」


リューリーがタブレットに示した図にはムチを持った羽毛のないニワトリと首輪をはめられた裸の人間が描かれ、その上に地球の遺跡にあった超古代文明文字が書いてあった。タコ人類はまだ解読していなかったけれども、「超古代文明人」なら「フライドチキン」と読んだ事だろう。


[終わり]

アイデアはずっと持っていたのだけども後回しにしていました。クリスマス前に投稿出来て良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ