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「……行きたくねえな」
スマホの画面には、いつもと同じ日付。いつもと同じ通知なし。
特別な出来事なんて、何一つない朝だった。
制服に袖を通し、鏡を見る。
そこに映るのは、クラスの中でも目立たない、どこにでもいる男子高校生。
教室では窓際の席に座る。
友達と呼べる相手はいるけれど、“必要とされている”感覚はない。
笑い方も、相槌の打ち方も、全部どこか借り物みたいだった。
昼休みは、屋上で一人。
スマホゲームを起動しては、すぐに閉じる。
空を見上げると、雲がゆっくり流れている。
「このまま、何も変わらずに……大人になるのかな」
誰にも聞かれない声で呟く。
帰り道。夕焼けに染まる歩道橋。
立ち止まって、街を見下ろす。
クラクションの音。人の波。ビルの光。
「……俺の居場所、どこにもねーな」
そう思った瞬間、ポケットのスマホが震えた。
知らない通知。
《新しい世界へのログインが検出されました》
「……は?」
画面が白く染まり、視界が歪む。
次の瞬間――
俺は村の藁の上で寝転がっていた。




