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DICE:俺達六人  作者: アメリカから来ました
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第一章:牢屋に閉じ込められた男

近屯市こんとんし。目がいたむほど輝いているネオンの街。耳をすませば頭痛が止まらないほどうるさい街。排気口から漂う油とガソリンの匂いが全身にしみつく街。心が痛むような思いでがつまった街。そして、ギャングの街。


普通ならここには住みたくないだろう。家賃は高いし、何処にいても一日中うるさいし、挙句の果てに犯罪率も高い。でも、この狂った日常に、俺は緩やか橋という安らぎを見つけた。他人からすれば緩やか橋は特別な場所ではない。緩やか川の上に作られた緩やか橋。他の橋と比べても特徴はなく、強いて言うなら下町で一番大きい橋であるだけ。間違えてはいけないが近屯市で一番ではない、一番を誇るのは近屯橋だ。でも俺にとって緩やか橋は近屯市で一番大切な場所だ。そこで俺は心から仲間と呼べる者と出会った。あいつらだけを心から信じてた。そしてあの五人と一緒なら何があろうと大丈夫だと思った。俺たちは七年前、DICEと名乗ったギャングを作って緩やか橋をたまり場にしていた。メンバーはたったの六人だけど、DICEは有名になった。ギャング潰し、ヤクザと取引、警察が知らないうちにさまざまの企みを練り、まさに生きている伝説になった…まあ、それはもう五年以上前の話だけどね。その頃残した落書きはもう消えただろうか?あれから俺たちと同じように誰かがあそこをたまり場にして、俺たちと同じようにグラフィティを描いたりしているのかな?もしそうなら少し寂しいな。あそこで過ごした毎日は今でも記憶に残ってる。でもそれも今日で終わりだね……。


赤い。赤い。赤い。シャツがこんなに赤くなるのはやばい。やばい。痛い。クソ。痛い。俺には理解ができなかった。橋の下で響く足音。降り始めた雨。発砲される銃。俺を撃った人。


「ど、どうして?」


暗い夜明けでも認識できる顔。昔を思い出す顔。


「そんなことも分からないの?君は皆の夢を裏切ったんだ。」

「違う!俺は誰も裏切ったりしなかった。俺のお陰で、DICEがここまで来たんだよ?

俺は一人で、皆のためにDICEを守った!最後まで残ったのは俺だ!間違っていたと言うのか、俺が?どこで間違えた?何が悪かった?俺には分からない。ねぇ、本当はどうして?何で俺を撃ったの?」

「そうか、君はその程度の人間だったんだね。」

「そんなに冷たい表情で言うな!」

「…さよなら、宮村みやむら昭男あきお。」


*****


暗い。狭い。怖い。その三つの形容詞を具現化した場所が尋問室だ。けれど私から反対に座る男が楽しんで私をジロジロ見ながらジングルを歌っていた。彼の見た目を簡単に言えば、ハーフです。まあ、私もハーフだけど。私の茶色の髪とそれよりもう少し暗い色の目はまだ日本人っぽく見える。でもあの男は金髪でエメラルドのような目を持って、まるでアメリカ人のようだ。けれど、彼は疑いなく近屯市の出身だった。新島にいじまルーク、二十八歳。職業は情報屋。家族はお父さんしかいないが、彼は十五年前に怪しげな状況で死んだ。六月六日に友達の宮村昭男を殺した疑いで逮捕されて裁判の時に有罪を認めたけど、一週間前に急に無罪だと言い始めた。でも彼からは弔っていたわけでもなく、必死な感じもなかった。彼の姿勢から目の動きまで「出たい」という雰囲気はなかった。ほかの目的があるのかな?それとも、


「あの、特さん、探偵のとくメイさん。あのね、メイちゃんと楽しい、楽しい会話をしたい気持ちでいっぱいなんだけど、そんなに睨むと自分のか弱いぃ乙女心が壊れちゃうよ〜だから、笑顔でもくれない?」


え?私の名前をまだ言ったっけ?いや、言ってない。私はニュースに出たこともない!ただの巡査部長で、数年しか働いていなかった。


「メイちゃん、何を考えているのがバレバレだよ?『どうして私の名前を知った』ってね。そのぐらいなら簡単だよ?メイちゃんって、百四十九センチで血液型はB方だよね?冬と推理小説とビールを好きで、夏とファンタジー小説とワインが嫌いよね?そして〒111−0021東京都近屯市伊奈井3−11−12に住んで近屯市の輝く新しい名探偵ですよね?」

「どうして、」

「自分ってすごいでしょう?自分はね?ここに働いてる皆についてそのぐらいとそれ以上の情報を持っているよ?なんてね。メイちゃんが特別なだけだよ?いずれ君とここで会うことを知っていたから。だからまあ、楽しんで話そう?自分からしたら古い友達と再開する感じなんだ。」


待って、ここで会うことを知ってたから私について調べたって、最初から逮捕されるつもりだったってこと?じゃあ、彼はやっぱり事件と関わってるのね。本当の犯罪者とどうやって繋がっているか暴かないと。もしかすると共犯者では?


「共犯者じゃないよ。アッキを殺したい者はたくさんいるよ?まあ、時間をくれたらアッキーを殺した者を推理できるかもね~」

「アッキって、宮村昭男ですね?」

「確かめる必要はないでしょう?あ、でも今録音しているのか?」


この部屋にそう言う物はないけど、隣の部屋から楯彦たてひこ先輩が聞いていて、マジックミラーの向こうからこの部屋を観察できる。不味い、先輩は「観察に認識している犯罪者は何も言ってくれない」と言った気がする。脅迫作戦で話題を変えよう。


「うるさい!誰が宮村を殺した!」


笑って…いる?何で?この状況は彼にとってそんなに面白いのか?それとも最初から先輩が隣にいる事を気付いて、私を挑発したの?彼は不思議すぎだ!


「メイちゃんさぁ、どんだけ大声で叫んでも、全然怖くないよ?喉を壊すだけよ?マジックミラーの向こうにいる者もちゃんと聞こえてるから。で・え・も〜調査の為に必死でバタバタしているメイちゃんも可愛いな〜」

「なっ!」


録音の話を持ち出した事も挑発だったのか!私と遊んでいるだけなんだ。


「ちなみに、吉田よしだ警視正は最近どう?DICEの活動が急に終わったからもっとゆっくりしてるの?それとも五月会さつきかいを狙い始めたの?娘の京子のほうはどう?五年も会っていないし、もう結構大きくなったかな~」


それはどういう意味?まさか吉田警視正との知り合いなの?それだったら、いや待って、私と似たように調べただけかも知れない。新島、君は陰険な蛇だという事が分かった。もう誤魔化せないよ。彼の主な目標はここからのだ出だから、こうしよ。


「警視正の話はやめろ。私の質問に答える気がないのか?ないなら牢屋に戻らせるよ。」


私は立って尋問室を出ようとしたら、後ろからルークの悲しい声が聞こえた。


「えぇぇ、ひどいよ~せっかく美少女と話す機会ができたのに。行かないでよ〜ちゃんと話すから。自分はね?メイちゃんとたっくさん話したいんだ~」


キモイ……。もう新島と話したくなかったけど、ドアノブを放し、またあいつの前へと向かった。彼のドヤ顔を見たらまた出る気分になったけど、先輩が「特くんがたくさんの事件を解決したからこれもちゃんとできたら昇進を貰うことになるでしょう」とも言ったし、本当に無罪だったら本当の犯罪者を探って捕まえるべきだ。…すごく嫌だけどね。


「では、誰が宮村昭男さんを殺したのですか?」


彼はまた笑って両手に頭を乗せた。ほんとに出たいのかな、今でも必死じゃないようだ。彼は飲み会にいるような声で元気に答えた。


「だぁかぁらぁ、さっきアッキを殺したい者はたくさんいると言ったよね。この話は本来自分の無罪を証明する話でしょう?だから、静かに聞いてくれない?自分は長い、長い、話があるからちゃんと覚えてね?面白いことを幾つか教えますから~」

「…それなら無実を証明してください。」

「んんん、どこから始めましょうか?あぁメイちゃんって、DICEが始まったころについて知ってる?確か今から七年前ぐらいだったかなぁ。これから教えるものはぜぇぇんぶこの事件の重要なヒントになってくるから。」

「調べたことがありますけど…DICEの始まりは2017年の6月でしたよね?そしてメンバーが三十人以上いたと聞きました。」

「ふむ、そこから始めないと。DICEは小さかったよ。大きくなったのはここ五年の話だよ?はじめに、DICEは六人のメンバーしかいなかった。あのメンバーたちは…まあ、皆のプライバシーのために【一】から【六】と呼びましょう。」


プライバシー?隠す理由があると言うわけね。でも、その六人の中に宮村を殺した奴がいたら隠すより教えるはずだろう?普通の人間は自分に対する疑いを消す為にもっと怪しい人物の名前を言うだろう。それに例外があるなら、誰かに脅されている場合だけなんだ。でも、新島を脅すことができる人がいるとは思えない。じゃあ、自分の無実を証明して、名前を隠すことでほんとの犯罪者を教えないという意図なの?それとも私は考え過ぎているの?


「あ、でもメイちゃんはもう自分とアッキのことを知ってるからそれほど誤魔化す理由は無いよねぇ。七年前の話をしましょう。まあ、家ら六人は七年半前からのだちですけど、自分たちをDICEと名乗りはじめたのはその年の六月六日でした。」


【七年前、六月六日二千十七年】

緩やか橋。緩やか川の上に建てられたからそう名づけられていて、近屯市の南部に位置してる。他の橋と比べても特徴はなく、上を走る物は近屯線だけ。人が少ない場所はカラーギャングや不良の溜まり場になっている。そしてその頃にDICEとまだ名乗っていない者がよくそこに集まった。今日も彼らは集まる予定だけどまだ三人しか来ていなかった。ワイシャツを着ていて、ネクタイを少し緩めていた人は【一】。まだ就職活動中だった【一】はこの恰好で緩やか橋に来た。でも彼の黒い髪は肩を触るまで長く伸びていて上の半分を結んでいる、そして目付きが怖いから仕事が見つからない。彼はむかついた顔をして、タバコを静かに吸っていた。ルークはいつも通り【一】の隣で彼を挑発しようとしていたが、今日も無視されていた。そしてあの二人から数メートル座っていた明男は絵を描いていた。そうしなかったら彼がおそらくこれからの戦いに巻き込まれる可能性があった。


「き、今日はよく我慢できますね、【一】さん。」


昭男はそれを言って、絵から目を放して【一】の方を向いていたが、【一】の激しい睨みのせいで目を逸らした。それに気付いた【一】が息を吐いた。


「そうですね、残念なことにルークは生きているんですよ。そろそろそれを変えようと思いますけど。」

「【一】さんが言うと、冗談に聞こえないな。あはは……。」


それを言いながら恐る恐る笑い始めた。明男が知ってる【一】は近屯市の一番有名な不良「青鬼」で、彼と会う人を圧倒的な力で潰す者。「青鬼が新幹線を止めた」という噂を聞いてて、昭男が実際に手で車を止めることもみた。それだけの強さは明男の頭を潰すためなら十分だった。でも【一】さんはまた息を吐いて、苦い記憶を和らげるためかのようにタバコを一本取り出して、睨みながら今回の出来事を語った。


「この前だっていいバイトのために面接を受けにいったんですけどあいつは面接を邪魔して、私のいろんなまずい話を言いましたよ。」

「えぇぇ〜そういうこといわないでよ、ヒッキー。あのバイト、ちょっと調べさせてもらったんだけど、ブラックだよ?お前ならもっといいところに入れるでしょう?ねぇ?どう?新しい場所探すの手伝ってあげるよ?ヒッキーは自分の大切な大切な友達なんだし!それぐらい協力してあげるよ!それにヒッキーが金をいっぱいもらったら、自分にもいっぱい利益があるし。ね?ねぇ?」


ルークらしいセリフ。自然に人をイラつかせる才能を持っている。でもそれだからって彼と縁を簡単に切れるわけではないとそこにいる皆が知っていた。この街に存在する彼の無数の目や耳のお陰で彼は誰の事でも、何でも知ってるからだ。この街にはルークがいる限りプライバシーなど存在しない。明男はルークが近屯市で一番怖い人だと思っていた。


でも彼に友達が少ない理由はそれだけじゃない。友達になりたくてもあの性格では少々難がある。彼のせいで明男はたくさんの確執を見ました。【五】と【六】のいがみ合いのきっかけもルークだった。でも「誰のお陰で今の仲が良い関係になったか」と聞いたらあの六人は渋々な声でルークの名前を言う。状況に応じていい人なんだ。でも今回は何か悪事を行いそうな感じで、彼の顔には「ヒッキーの力を利用したいな〜」とほぼ書かれている。【一】もその表情を読み取って、一瞬のなめらかな動きで【一】がルークの胸倉を掴んだ。そのままルークを持ち上げ、こぶしを振りかざした。


普通なら【四】がこれを止めるけど、彼女はどこにもいなかった。彼女はスタンガン以外、闘いにおいて何もできないが、喧嘩を止める才能があった。彼女がいなかったら皆はとっくに殺し合っていただろう。そして彼女がいない時に平和維持を担わなきゃいけないのは明男だった。明男はその役割を嫌っていたけど、【一】とルークの喧嘩を平和に解決できるものは彼と【四】だけだと理解した。【五】は喧嘩を止めるより自分も混ざろうとするタイプで、【六】は上から話すことしかできないタイプ。だから昭男は怯えている自分を抑えて、震える声で呼びかけた。


「も、もう止めよう、【一】さん。当たったら即死だって分かるだろう?ルークも刺激しないで!京子が見たら悲しむよ。」


【一】の視線は睨むままゆっくりルークから昭男に向いた。昭男が一瞬で恐怖に巻き込まれた。彼と合っている見つめは頂点捕食者の目線、見るだけで死ぬと思うほどの圧。頭の中で明日の見出しを作った:「一人の高校生(16)悪名高い二人に殴打され死亡」。でもあの脳内ニュース速報は【一】の舌打ちで消えた。


「何れ月まで殴り飛ばします。」

「やって見ちゃう?」


ルークはそう言って笑った。【一】はもう一度溜息をついて、話を続けた。


「もう黙ってください。それより、【六】くんと【五】くんと【四】さんはどこですか?」


昭男が慌て始めた。


「そう言えば、それは変だ。【六】と【五】さんはとにかく、【四】は俺のメールに返事してこない。俺も探しに行く!危ないやつと遭遇したかも!」


昭男が走り始めたけど、ルークはポケットから携帯をだして、呼び掛けた。


「やめとけやめとけ、ほんとにそうだったら足手まといになるよ?それでも迷惑かけいの?悪い子ね〜…まあ、真面目な話しをするなら大丈夫、すぐ来るから。後十五分待っててね。」

「どうしてそんなに自信があるの?元々【四】は一人で行くべきじゃなかった!ルークがそれに賛成したから行ったんだよ!早く探さないと、」

「盗聴器。」


その一言で昭男を中断させ、皆が黙った。ルークの歪んだ性格について考えながら永遠に気まずい間を過ごした。十五分を過ごした。


「チィィっス!」


遠くから叫んでいたのは【五】の声とお待ちかねの三人の到着の合図だった。【五】はいつもどうりのだらしない見た目だった。汗の匂いが溜まった道着を着て、真っ赤な獣みたいな短い髪の毛が「僕はおてんばだ!」と叫んでいた。隣に【六】が否定的な視線で【五】を睨んだ。彼のことを一言で要約すると「【五】のアンチテーゼそのもの」。サラリーマンよりお洒落なスーツを着て、分厚い眼鏡から批判的な視線。街で見かけたら、大手会社の若い社長のような雰囲気がする人だった。彼は【五】と違って、叫ぶ必要のない距離で挨拶をした。


「みなさま、ご機嫌麗しゅう。我々の遅刻を許せ。【五】がまたおふざけを致しましたので。【四】さんが来られなければ、恐らくこのたわけはまだ遊んでいたのかもしれません。」


【五】が【六】に向かってまた叫びだした。


「はぁぁ?!あのガキが喧嘩を売って来たんだ!僕はただ、あいつをぶっ殺してやっただけだ。」


【六】がゴミを見る目で睨み、ゆっくりと言葉を言った。


「よく笑いながらそんなことが言えるな、この単細胞。」


こういう罵り合いは【五】と【六】の間によくあることで、昭男と【四】しか平和維持することができないもう一つの理由だった。そして今でもあのその二人の間で【四】が緩やかになだめていた。


「もう!【五】と【六】は喧嘩し過ぎよ。皆のために止めて、ね?」


【五】はまだ【六】を殴りたかった顔をしたけど、そっぽを向いた。


「はぁぁ、もう知らない!それより昭男くん、なんで僕たちを呼んだの?」

「それは……。」


【四】は【五】を後ろからギューっと抱きしめた。


「ごめん!呼んだのはあたし!ただアッキにメールするのを頼んだんだ。」


昭男の幼馴染【四】、昭男の同い年で最初に皆を集めた人だった。たまに彼女が皆を呼びたかった時に昭男に任せて、他の用事をした。今回も「家で用がある」と言って、後に「【五】と【六】を探してくる」もメールで言った。


「【四】ちゃんのいうことなら何でも聞く!」


【五】は前の喧嘩を忘れたように目をキラキラ光らせた。【六】も表情を柔らかくさせて、腕を組み、少し頷いた。


「うむ、【四】くんはいつでもいい提案を挙げますから。」

「【四】さんだったら聞きますか?」


昭男は【一】が言った事に答えた。


「その言いかた、俺に呼ばれたら言う事聞かないって意味も交じっているよね?」


ルークが二度手を大きく叩いた。


「ではではぁ、静かに!皆聞いているぞ、ココちゃん~。」

「じゃあアッキ、これを皆に回してくれる?」


【四】はカバンからいろんなネットから印刷された記事と新聞をみせて昭男にくれた。そして皆に一つずつ配るついでに、読み出しを読んでみた。「裏社会の支配者、五月会の邪悪な企み?」、「近屯市の新しいトレンド:ギャング。白虎のメンバーと面接!」とか目を引くようなタイトルでいろんな胡散臭いサイトからだった。それでも【四】の目はギラギラ輝きつづけた。


「それで?これは何?」

「え?見えないの?」


【四】は後ろから昭男を抱きしめて、肩に頭を載せた。


「ま、待って!近い!近すぎよ【四】!」

「ほぉら、慌てないで、これとこれを見て?この記事はギャングの話しだけど、【一】さんの名前がいっぱい出てるでしょ?。そしてルーク先輩が持っている記事には【五】の名前がいっぱい出てるじゃん?。それと先輩は裏社会で有名じゃない?。つまり~、私達の周りには今すごぉく凄い人ばかりがあつまってるじゃない?だから、私たちでギャングみたいなサークルを作らない?せっかく六人だし、DICEって名付けて、それぞれのメンバーに数字を配らない?」


【六】は眼鏡を押し上げて最初に答えた。


「ダイスってサイコロのことでよろしいのですね。よい。我は当然『六』に決まっているであろう。我は『〇〇』ですから。」


【四】は明男から離れて、【一】の方へ行った。


「【一】さんは『一』にすれば?せっかく名前が『〇〇』なんだから。」


【五】がそれを聞き、二人の方を向いた。


「じゃあ、僕は『〇〇』だから『五』にするか!」


と叫び出したけど、【一】はそれを無視して【四】の質問に答えた。


「いいよ。でもクソジマは『二』にしてください。」


追い打ちをかけるようにルークも【五】を無視した。


「キャー!自分のことがそんなに好きなんて!嬉しいよ、ヒッキー。」

「気色悪い、貴様のような存在は死んだ後から何かの役に立つん…」


【一】が自分を止めて、話し方を直し始めた。


「立ちます。クソジマの目が蛇に似ていますから『二』を付けてと言っているだけです。」

「酷いよ、ヒッキー!シクシク。」


ルークが空涙を流し始めたけど笑いながら【四】の後ろまで逃げて盾にした。【一】ならルークが選んだか弱い【四】という盾を簡単に壊せるはずだった。だが【一】は【四】に何もせず、ただ握りしめた拳がルークに対する嫌悪感を表していた。


「…かならず私の手で殺す。」


【四】は眉をひそめた。あの二人が喧嘩してるところを見るのが嫌いだったけど、そのぐらいの対話を許して、皆の気分を盛り上げるために自分の数字を決めた。


「じゃあ、あたしは『四』で!」

「待って、四は不運の数字だろ?俺が『四』になるよ。」


皆が笑った。この六人の中で昭男の【四】に対する気持ちを知らなかった人は【四】自身だった。でも他の四人の視点からは、昭男がどんなに隠してもバレバレだった。『今でも彼女は昭男をいい友達ぐらいとしか思ってないだろう。』と皆が考えた。彼らの何人かはそれを見て応援して、他の何人かは楽しんでもっとドラマチックなものに変えるために作戦を練っていた。でも彼女自身はただ笑いながら昭男の頭を撫でた。


「大丈夫だよアッキ。あたし、そんなこと信じてないよ。でもありがとう、いつもいろんなことに気を使ってくれて。」

「それは…」


昭男の臆病な心が今告白するのを止めて、馬鹿な事をしないために考えずに撫でられたことを喜んで楽しんた。


「では、あたしは『四』でアッキは『三』!DICE設立の記念日に、かんぱい!」

「作ったばかりだから記念日とは呼ばないと思うけど……。」


【四】はまた鞄に手を突っ込んで、昭男のほっぺに冷たいものを押した。


「うわ! え?ビール?だから俺に呼ぶのを任せたのか。」

「パパが大事に取っておいていたのを盗んできた~!」


そう言いながら親指を立てたけど、【一】は喜べなかった。


「おいおい、私とクソジマ以外は未成年でしょう?」


【五】が一本のボトルを開けた。


「で?僕よりイチの方が酒に弱ぇくせに。」

「イ…チ?」

「うん。DICEの『一』から。ルークは二で、明男くんはサン、そして【四】はヨン!」

「自分は二?そうか、お兄ちゃんの二ということですね。よちよち、兄ちゃんにぜぇぇんぶ任してよね〜。おやおや?何でそんなに嫌な顔すんの、ヒノちゃん?大丈夫、兄ちゃんがヒノちゃんの為にできることなら、何でもちまつよ〜」


ルークは【五】を抱きしめようと近づいたけど、彼女が上げた拳に殴られないように、数メートルで止まった。


「…キッモッ。お前の渾名はメガネ二世で決まり。」

「えぇぇ?何で?眼鏡してないけどねぇ。」

「貴族眼鏡と似てる、気に触る。」


【六】が真っ赤になって、彼がいつも持っていた睨みが激しくなった。


「なんだ?我を侮辱するのか?心までゴリラなのようだね。」

「もう一回言ってみろメガネ、ぶっ飛ばしてやる。」


【五】と【六】はまたギャーギャーと口論を始めたその間、【四】は皆にビールを配って、笑いながらくだらない話をして時間を過ごした。


*****


「やぁ、メイちゃん!あの新島とやらの事件はどうだい?」


今夜は同僚の数人と居酒屋大空で飲みに行くことにしました。居酒屋大空はうちらの警察署の近くで、安くて、いい雰囲気もあったから、近屯一丁目警察署の皆はここのレギュラーになった。そして店長は警察のために一つの個室を予備してくれるんだ。今回は私、建彦先輩、前原まえはら先輩、そして青山あおやまさんと一緒に来た。話しかけたのは前原海里(かいり)先輩。


前原先輩と働いた事は数回しかなかったけど、彼女は毎日ここに来ていました。そして、私は前原先輩と一緒に飲むにつれて、同じ鍋から食べるほどの友情が作られていた。私は海里さんがすごく好きだ。彼女は大人らしくて私を褒めてくれたり頭を撫でる事でいつも甘やかしますけど、たまに私より子供っぽくなったり、小さな問題で凹んで、私の安らぎを求めて泣きます。最初は海里さんとこんなに仲良くなるとは思わなかった。彼女は昔、ギャングのメンバーだったからはっきりと悪い印象があったけど、彼女はその印象とは裏腹にとてもいい人だった。


「まずいですよ。彼は関連情報を何も言わないまま関係のない話ばかりするんです。」

「えぇ、大変だなぁ。そういうのとは付き合えないわ。そもそも彼をなぜ尋問してるの?」

「そうですね、建彦先輩は何でかわかりますか?」


建彦一郎(いちろう)先輩が酒をすすって答えをくれた。先輩は簡単に説明したいなら近屯市の一番優秀な警察です。よく整えられた髪は短くて彼にシャープな雰囲気を与えていて、彼の優しい、先生のような青い目は眺めていたら安心できる。それとともに何件も事件を解決させたり、真剣な人で五年以下で警部になって、私のお手本になりました。


「色々な理由があるよ。でもその中で一番大切なことは宮村昭男を殺した真犯人を知る事。宮村はDICEの幹部の一人で、新島もDICEと繋がっている。内側の喧嘩か、それとも外部干渉が起こったかが重要なんだ。でも内側の喧嘩ではなさそう。そうだったら解散しなかったでしょう。でもこれがもし黒蛇の仕業だったらどうなると思う?言う必要はないと思うけど、あいつらは麻薬取引の連中だ。彼らが黒幕で、DICEの解散でできた穴を埋めようとしていたら麻薬取引率が上がって、阿片が前より回るはずだ。そして他の犯罪組織がやったとしても、他の問題が起こるだけだよ。」


建彦先輩はそういったけど、私はまだこの調査の意味をよく分からなかった。新島はただふざけているだけでしょう?他の人からこの件についての情報をもっと早く学ぶでしょう?それとも私が知らないものを知ってるのかな。私が何かを忘れている可能性もある。あぁぁ、どうしよ?もっと聞きたいけど、馬鹿だと思われたくはない。


「でもなぁ、他の人に聞いて見たらいいっしょ?」


よかった、皆にもうバカだと認識されてる青山健一(けんいち)が聞いてくれた。複数のピアスを右耳に入れてるせいで上からよくしかられていた。ギャングみたいな見た目はたまに覆面任務で助かるけど、それ以外に携帯に怖いイメージを送るから私もなんども彼を叱ったことがあります。私の年上なのに私より低い階級で、巡回する時はただ子供達と遊ぶだけのダラダラする男だ。彼に聞くと、赤蘭あからんと言うギャングに入っていた頃はたくさんのメンバーたちがそういう連中だったと言った。あいつらのリーダーの真似をしていたとかも言ってたけど、前原先輩も同じく元赤蘭の人だけど怠け者ではなかった。一回、建彦先輩に青山さんについて聞いたけど彼は「働きアリの法則」というものについて説教をくれた。二割の働きアリはいつも何もしないアリで、青山さんはその二割だとか言った気がする。


「他の人はいないんだ。いや、他に尋問できる人が他にいないと言うべきかな?」

「え?どう言う意味っすか?」

「…そうですね。君達は私の分隊だから知るべきだな。でも、今から話すことは機密情報だ。答える前に、秘密にすると約束して欲しい。警察にも知っている者は少ないから他の者には話さないように。新島は必要な悪なのだ。三年前の匿名の麻薬取引ヒント、一年前の誘拐事件を防げた秘密の連絡、そして六ヶ月前の殺人鬼の有罪を証明する証拠は全部彼がくれた情報なんだ。つまり、彼のお陰で近屯市は犯罪だらけでも警察がまだ尊敬されている。彼はそのように上の者を助けられ、その代わりに彼の怪しい行動をあまり探らないようにしているんだ。そして彼が逮捕された三日前、宮村昭男が殺されると予測して警察に警告していた。」

「じゃあ、彼が真犯人で自首したわけ?」


前原先輩が青山さんの頭の後ろを平手打ちした。


「バァカ、あいつが真犯人じゃないって意味でしょ!そして彼は政府との密約がばれないように有罪判決を頼んだというわけね?」

「その通り。そして彼が今望んでいる事は政府と繋がっていないという立ち位置を保ちながら自分の潔白の証明だ。」

「じゃあ、なんであいつは七年前の話をしているのか分かりますか?」


建彦先輩が少しの間熟考して、答えを決めた。


「その話は犯罪者の動機を探り出すため、とかじゃなさそう。恐らく彼は初期メンバーの誰かが犯人だと疑ってるのでしょう?それとも…」


次に言ったことが聞こえなかった。先輩はルークをそんなに理解できていないという意味だ。いつもなら率直なやり方で解決できるけど、今回は迷っていた。急に青山さんが考えている先輩と肩を組んだ。


「おいおい、はっきり言えよ。一人でブツブツ言ってないで。」

「ほらケンちゃん、建彦警部に気軽に話すな!」


前原先輩が青山さんをヘッドロックにして、話を続けた。


「大体あんたはいつも失礼だ!マナーとか覚えても死にはしないよ。」


皆が笑ったり、酒を飲んだり、仕事じゃない話題を話し始めて、数時間を過ごした。時間外だし、仕事について考えないためにここに来た。悪く思わないで。警察でも疲れるから。皆の安全は大切なんだ。大切だけど、近屯みたいな犯罪発生率が高い市には毎日何時間働いてもほんとに安全になることは不可能だ。どこかで誰かがいつも犯罪を起こしている。この市に誰が生きたいかというほどの問題だけど、それでも大阪と似てる人口が近屯市に住んでいる。皆が慣れたか、それとも気付かないのかのことだろう。


「ねぇねぇ、メイちゃんは五条道場にレッスンを貰うんだっけ?」

「はい、海里さん。」

「海里だけでいいって、仕事中じゃないし〜。でもね、あちらのヒノカと言う先生がいて、私から挨拶してくれない?世話になったことがあって、感謝した事は…」


少ししか飲まなかった楯彦先輩が海里に水を渡して、もう眠っている青山さんを優しく先輩の肩から動かした。


「前原さん、酔っ払いすぎだよ。全くもう、またお兄さんに叱られるよ。迎えに呼びますから、少しでも目を覚ましてくれね。…もしもし、れんくん?…そう。…いつもの場所。…二十分ね、すまない。特くん、この二人について助けてくれない?」

「分かりました!ほら、青山さん起きて、タクシーを呼んで料金を払いますから行くよ。」

「んんん。ママん、あと五分くれぇ…」


*****


私は目覚ましが嫌いだ。そう思いながら毎朝目覚めている。いつもうるさくて、耳がちぎれそうな甲高い音で、何回か壊そうと思ったこともある。でも、目覚ましという発明がなかったら毎日仕事に遅刻しているから少し感謝している。目覚ましとこういう愛憎関係を持ってる人は私だけなのかな。楯彦先輩はそういう問題はなさそうだし、海里先輩と青山さんは両方早起きでアラームを使わないから、そう思ってしまうの。他の人もそう思っていると知ってるのに。でも、警察署までの移動時間は十五分、お陰で今の七時のアラームは二十分間鳴らしても大丈夫。今日も数分鳴らしっぱなしにして、目がちゃんと覚めた時遂に止めて、朝のルーティンを始めた。まずベッドを整えて、シンプルな朝ご飯を作るの。今日も麻薬トーストを作った。必要な具材はパン、マヨネーズ、塩胡椒と卵だけ。全部パンの上に乗っけて、オーブントースターに二百五十度で五分焼いたら完璧。クリーミーなマヨネーズ、サクサクになったパン、プロテインたっぷりな卵、そして仕上げに塩とコショウ ひとつまみをかけるだけの神コンボ。その上に刻んだネギとパセリをかけたら更に美味になるんだ。何よりコストが安いの。私はよくそれを食べる間にニュースを読み、これでルーティン終了。今回は特に気になる見出しを読んだ。


『DICEの終わり:幹部ともう一度の面接』2024年6月29日、4時00分。

「先月、有名なDICEギャングは解散を公表しました。DICEの幹部三人が記者会見を開いて、その誰も予想できなかった知らせをくれました。その知らせは誰をも錯乱し、特に元DICEメンバーは驚きとともに怒りを声に出していると聞きます。幹部宮村明男(23)が幹部新島ルーク(28)に殺された事件のすぐ後に記者会見は開かれて、あの二人の内一人はDICEの中心だったと思われています。


先週、幹部の一人の安田絵美さん(21)と会って、DICEと彼女の関わりについて話しました。DICEの解散後、安田さんは大学生、オートバイクラブの会長、そして建設会社の会長という三つの立場の人生を生きている中、私たちにDICEとの関わりを細かく話してくれました。安田さんによると、彼女自身はDICEの犯罪行動には参加していなく、彼女の建設会社をDICEの建前として使われていたとのことです。他の幹部達、青葉明理(24)、小林美幸(23)、そして清水春紀(25)についても聞きましたけど、安田さんはもうその人達とは連絡を取っていないと答えました。その三人は…」


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