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ガラス越しの異世界

作者: 遊馬潤


「うわぁあ!これ、すごく綺麗!!」

 あら?あなた、いい目をしてるわね。

 そう、私って綺麗でしょ?まぁよく言われるから、その台詞にも飽きてきちゃったけど。

 もっと別の言葉を聞きたいわ。

 例えば…。そうだ!あなたのことを聞きたいわ!私、ずぅっと退屈してたの!

 ねぇ何処からやってきたの?何で来たの?

 …あのぉ。そんなマジマジと見つめられても、私はここから出られないし、動けないんだから姿かたちが変わるなんてありえないんだから。私を見るくらいならあなたのこと教えて?

 …なんてね、伝わるはずないものね。私だって自分が生きているのか死んでいるのかすら分からないんだから。

 私を綺麗だと言ったあなたも、私を手に取った他の人たちと同じなんでしょう?口説くのは今だけで、その内見向きもしなくなっちゃうんでしょう?

 会話が出来なくてもいい。お願いだから私をあなたの所に連れて行って。

 不特定多数の人間に見られるのは、もう嫌なの。後輩たちの旅立ちを見送りつづけるのは、もう嫌なの。売れ残り続けてる現実を見続けるのは、もう嫌なの。一人寂しく待ち続けるのは、もう嫌なの!

 窮屈で密封されたこの空間から助け出して、なんて言わないから。

 本当に綺麗だと思うなら。ボトルのままでいいから、私をこの場所から連れ出して!外の世界を見せて!

「綺麗なんだけどなぁ…。このハーバリウムちょっと高いし、持ち歩くにしても重いんだよなぁ…。うん、決めた。買うのや~めよっと」


 …ほら、結局あなたも他の奴らと同じじゃない。綺麗だ、何て言われても連れ出してもらえなきゃ意味がないの。そんな安易な言葉で私に期待させないで。

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