※クリスマスイヴ投稿用番外※ 誰も死んでない平和な世界軸での特別編
※注意※
・この番外特別編は、本編と明らかに辻褄が合わない箇所が多く見られます。
・更新日の本日はクリスマスイブなので細かい事は気にせず、本編で不幸になった人も、その時登場していない人達も関係なく、わちゃわちゃ出ています。
・お祭り時空です。別にクリスマスネタは関係ありません。
≪何でもありif設定が「苦手/嫌い」な方はご遠慮ください≫
「扉を開けたら一面真っ白だったんですっごいびっくりしたんですけど、え?ここどっちかっていうと気候の暑い地域じゃなかったんですか?」
ザークベルム家の統治するクビラ街の宿に滞在して数日、やけに冷え込むなぁと思いながら眠りに着けば、翌朝広がる銀世界。
「すっごい雪」
私の前世である日本人は東京産まれの東京育ち。雪を見るのは珍しく、10センチでも積もったら、交通機関は麻痺して大忙しだった。
転生したこの世界は、普段の気温、容易く手に入る香辛料、皆の服装やらで、雪など滅多に降らないだろうと思っていたのだけれど。
「夕べは雪の踊り子たちが降りてきていた。迷惑だから程々にしておけと釘をさしておいたが……随分積もったな」
「そしてこれだけ雪が降ってたのに、この室内がまったく寒くないミステリー……暖炉ってこんなに暖かくなるものでしたっけ?」
「馬鹿者。このおれが態々調整してやっているに決まっているだろう」
「ありがとうございます」
風の魔術式と炎の魔術式を組み合わせれば室内の温度を過ごしやすい一定のものに保てる、とのこと。さすがスレイマン、便利なことをさらっとやってのける。感心しながらお礼を言うと、先日ラダー商会から買った厚手のマントを投げてよこしてくる。
「今日はマーサの所へ行くのだろう。着ていけ」
広げて見れば昨日はなかった美しい模様がマントの裏にびっしりと編み込まれている。触るとぽかぽか暖かい。
クビラ街に招かれたマーサさんは色々あって、ザークベルム家の嫡男グリフィス様の婚約者になった。
けれど元々はただの村娘。領主夫人になるには親類やその他が色々煩わしい、ということで、私がマーサさんの従妹という設定になり、スレイマンが後見人となることで煩い連中を黙らせた。
いやぁ、マーサさんに難癖つけてくるザークベルム家御親戚の方々がスレイマンを見た瞬間の蒼白、からのマーサさんへ全力で媚びを売る姿は、中々の掌返しだった。
現在マーサさんはザークベルム家の双子の姉妹の元で、貴族としての礼儀作法など教育を受けている。
息が詰まるだろうから、時々私は手土産を持って様子を見に行く。今日はその日なのだ。
ちなみにスレイマンは宿屋に残る。お留守番というか、私がマーサさんのところに行っている間に、ラダー商会といくつかの商談があるそうだ。多分、こっちに来るときにたまたま空を飛んでたので撃ち落とした、一角の翼の生えた魔物についてだろう。お肉はちょっと貰った。
「朝ごはんはあったかいスープにしますね」
「今から作るのか?」
「スレイマンが顔を洗って身支度を整えてたらすぐですよ」
いい加減髭を剃れ、という攻防はもはや無駄なのでしない。カーシムさんもラダーさんも髭を生やしてるし、もしかしたらこっちの男性のステータスなのかもしれない……。いや、ドゥゼ村じゃ村長以外は生やしてなかったけど。
スレイマンを洗面所の方へ追いやって、私は手早く朝食の準備に取り掛かる。
葛籠の中には常に調味料や乾燥した食材や保存食がたっぷり詰まっている。取り出すのは瓶詰にしたソフリートだ。ソフリートというのは、日本では「ソフリット」という名で知られ、香味野菜を油で炒めて、うま味を引き出し、料理の隠し味として使用する料理の基礎の一つである。
今回使用するのは玉ねぎとニンニクをオリーブオイルで炒めたもの。本来微塵切りにして作るのだが、私はスライスしたもの、微塵切りのもの、といくつか野菜の切り方別にしてストックしておいている。今日はスライスしたものを使う。
底の深い鍋にバターを入れて加熱する。すぐに甘い玉ねぎの香りとニンニク、それにバターの香りが出てきて、そこにお湯と塩コショウと、先日仕込んで粉末状にしたコンソメの粉を加えれば簡単オニオンスープの完成である。作り置きって便利だなぁ。
鼻歌を歌いながら、温めた器にスープをよそっているとスレイマンが戻ってきた。その手には湯気の立つカップキアロ、この国で好んで飲まれるコーヒーに似た飲み物が二つ。片手で器用なものだ。
このカップキアロは、別にスレイマンが入れてくれたわけではない。外食文化のないこの世界だが、カップキアロは外で集まる男性たちの必需品、ということで朝から専門店で売っていたり、宿屋ともなれば主人や腕の良い使用人が態々入れてくれる。
支度をして、そのまま二人分取りに行ってくれたのだろう。
……スープがメインなのに、なぜ飲み物を?と思わなくもないが。スレイマンは飲みたかったのだろう。文句など言わない。お礼を言おう。
スレイマンにパンをこんがりと焼いて貰って、それをスープの中に落とす。その上にたっぷりとチーズをかぶせれば、すぐにトロットロに溶けてくれる。オニオングラタンスープだ。
「溶けるチーズ……暖かい玉ねぎのスープ……ほっこりしますね」
+++
「わぁ、イルク、その恰好似合いますねっ!」
朝食を終えると、宿屋の前にイルクとクロザさんが迎えに来てくれていた。マーサさんの所に行く時の私の護衛役ということで二人はスレイマンから雇われている。前科持ちのクロザさんなら命を捨てて私を守るだろう、守れ。とそのようなお達し。頑張れ。
二人は普段はクビラ街のクロザさんの傭兵時代の知人の家に泊まっている。
宿屋の入り口に来たイルクはクロザさんのお古の防寒着を着ている。女手のない家であるから身長に合うように手直しされているわけでもなく、袖を折り、裾をたくし上げているという不格好な姿で、私としてはダルマみたいで可愛いと思うのだが、イルクは恥ずかしいから嫌だという。
「うるせぇ。どうせお前はスレイマンさんからあったかい服、貰ってるんだろ。ずるいよなぁ」
「すいません勝ち組で」
五十センチ以上の雪が降ったので今日は中止になるかと期待していたらしいイルクはクロザさんに「諦めろ」と言われて、寒い外に出てきたらしい。
「さぁ、嬢ちゃんはイルクとこれに乗ってくれよ。雪の中を歩かせたなんて、旦那に知れたらおっかないからなぁ」
「ソリ、ですか?」
「うん?よく知ってるなぁ。このあたりじゃ珍しいだろう」
クロザさんが引っ張ってきてくれたのは板に曲がった脚を付けて拵えた木製のソリだ。雪が降ったので急いで作ってきた簡単なもの、というけれど子供が乗るには十分な大きさだった。
「そういうものがあるのか」
「あ、スレイマン」
私がソリに乗ろうとすると、頭上からスレイマンの声がかかった。
クロザさんとイルクが挨拶すると、スレイマンはひょいっと指を軽く振る。一瞬ソリがパチリと光った。
「先頭に触れた雪をとかすようにしておいてやった。それなら楽に進むだろう」
なんでもありだな、スレイマン。
+++
「雪がなんだ!このルシタリア商会の勢いは雪などで怯みはしないぞ!!!」
お屋敷について、すぐにマーサさんの部屋に通されると、そこには先客のテオ・ルシタリアくんがいた。
「あら、いらっしゃい。エルザちゃん、イルク」
領主嫡男の婚約者の部屋に、クロザさんは入れない。私の護衛という名のお守りはイルクだけになり、ちょっと得意そうな顔をしながらイルクは背筋を伸ばして私の後ろに立つ。
「こんにちはマーサさん。ルシタリアくんは……今日もお元気そうで何よりです」
「君か!この雪の中よく来たな!」
「ソリで楽ちんでしたよ」
現在この街で最も勢いのある商会であるルシタリア商会、その若き会長であるテオ・ルシタリアくんは男装の麗人だ。マーサさんを新しいお得意様と定めたらしく、あれこれと品を持ってくるので私と顔を会せる機会も多い。
「今日はね、ルシタリアさんが王都で冬に食べるのが流行ってるっていうお菓子を持ってきてくれたのよ」
「へぇ、王都で」
「ふふふ、まだラダー商会は入手していないようだな!相変わらず流行に鈍感な男だ!」
「ラダーさんの悪口言うと、次の日商会の屋根が鳩の糞塗れになりますよ」
王都での甘味と言えば、スレイマンから聞いたところだとフルーツポンチのようなものが主流らしいが、テオさんが自慢げに持っているのは、どう見ても焼き菓子だ。
「……絶対、王都にフランス料理人いるだろ…………」
銀のお盆に乗っているのは、パウンドケーキのような長方形のブツ。色は茶色く野暮ったいイメージだが、上にはナツメヤシや木の実、柑橘類が宝石のように飾られている。
「君もいつもあれこれと珍しい品々を持ってくるが、これには勝てまい!」
折角だから食べてみろ、と自信満々なルシタリアくんは分厚く一切れ取り分けて私とイルクに渡してくれる。マーサさんは既に食べたようで、にこにこしながらそれを見ていた。
「……この、蜂蜜の風味に……たっぷりと使用したスパイスの絶妙な組み合わせ……もう、これ絶対いるでしょ。フランス料理人いるよ。なんでいるんだよ。異世界だろ、ここ」
もぐもぐと食べながら、私は頭を抱えた。
以前ルシタリアくんが持ってきてくれたテリーヌドパテもそうだったが、このケーキ……正式名称はパン・デピスは、代表的なフランス料理の一つだ。料理っていうか、菓子だが。
パン・デピス。
香辛料を使ったパン、という意味のフランス菓子。
定義としてはライ麦粉、蜂蜜、香辛料で作られるものをそう呼び、粉と蜂蜜を混ぜ合わせた生地をひと月寝かせて種を作る。
「うわー、美味しい。めっちゃ美味しいー。シャクだわー、なんで異世界でフランス菓子食べてるんでしょうねー私ー」
本来バターなど油成分は使われずパサパサとした食感になるが、使うとしっとりと、日本人好みになる……これは使われている。いるのは日本人のフランス料理人か?
王都にいるであろうその料理人が何を考えているのか知らないが、広めるな、異世界でフランス料理を。いや、違う。これは、このスパイス文化のこの異世界にぴったりなお菓子だ……スパイスを扱いなれたこの世界のご婦人方ならきっとすぐに独自で調合した様々なパン・デピスを作り出すに違いない。ちくしょう、美味いし上手い。まだ顔も見ぬフランス料理人だが……これ、私より腕もいいし経験もある人間じゃないか?
「どうでしょう、若奥様。こちらの品を冬の贈り物として御親戚の方々に贈られては?」
「えぇ、そうね。エルザちゃんも美味しいって言ってくれてるし、皆さんにも喜んで頂けるものね」
「え、これお歳暮選びだったんですか?」
結婚って大変だな……親戚に気を使ってあれこれしないといけないのか。前世も今も、そういったしがらみの一切ない私からしたら、面倒くさいことをしなければならないと思うだけだが、なぜだかマーサさんは嬉しそうだ。
「素敵な物を、皆さんに贈れることが嬉しいわ。あれこれ選ぶのも楽しいし、きっと開ける時にわくわくしてくださるでしょう?そういうの、素敵だと思わない?」
「俺さ、エルザに足りないのはマーサ姉ちゃんみたいな素直さだと思う。人は分かり合えるってマーサ姉ちゃん見てると思えるだろ?」
「やめてくださいイルク。私のなけなしの良心が痛みます」
にこにこと微笑むマーサさんに私の胃はキリキリと痛む。
「えぇ、そう……大切な人への贈り物ですものね。素晴らしい品を選ぶ必要がありますわ。そう、そちらの小娘の品ではなく、選ばれるべきはわたくしの旦那様の!!ラダー商会の品だと思います!!」
「どっから入って来た!!!?」
私が胃にお茶を流し込んでいると、突然窓の方から声が聞こえ、皆がそちらを向けば、そこには美しいベールを被った年頃の女性……レヤクさんが腕に籠を抱いて立っていた。
「レヤクさん、越冬しなくていいんですか」
窓が開いてるので、まぁ、鳥の姿になって飛んできたんだろうな、と私だけは察し、この雪で寒くないのかと心配になった。レヤクさんはにこりと美しい貌で微笑み「正直寒い」と一瞬真顔になった。
「しかし、ルシタリア商会が抜け駆けして、若奥様のごひいきになろうとしているなど看過できません。夫が入れぬ女の園ならわたくしが行けばいいだけのこと」
「不法侵入はどうかと」
「さぁ若奥様!ルシタリア商会の流行を追うだけの品ではなく、ラダー商会が!旦那様が!開発しましたこちらの品も是非お手に取ってくださいませ!」
レヤクさんってこんなキャラだったか?
私はマーサさんに、にじり寄って行くレヤクさんを眺めながら、なんかこう、初対面の謎めいた美女のイメージが崩れる音を聞いていた。
レヤクさんが持ってきたのは、四角い一口サイズのお菓子だ。
色は緑やピンク、オレンジとカラフルで……青、だと!?
え?青?
自然界の食べ物的にありえないカラーの、お菓子??
「ギャズという、お水にお砂糖や植物の成分を加えたものです」
「青……?」
「色はお花で付けますのよ」
あぁ、なるほど確かにそれなら青も……できなくはない、か。
キューブ状の柔らかな、ゼリーというより、これは柚餅子に似ている。水と砂糖にでんぷんを加え、飴状になったものにクルミなんかを混ぜるもので……レヤクさんが持ってきてくれたものにはナッツやピスタチオ、アーモンドなどが入っていた。生地にはミントや花粉が混ざっているのだろう、それぞれに味があり、目でも舌でも楽しめる。
「へー、こういうお菓子もあるんですね」
「えぇ、わたくしの故郷で昔作られていたものを思い出しまして、ラダー商会で作れないかと試していましたのよ。最近他所から引き取ったみなしごの兄妹がわたくしの話をよく聞いてくれて、再現できたのです」
「え、何それ凄い」
精霊族に料理文化があったのか。
これなら日持ちもするだろうし、贈り物としても良いのではないだろうか。私の高評価にレヤクさんはにっこりほほ笑んだ。ルシタリアくんに。なんで「ざまぁ」みたいな印象を受けるんだろう。気のせいかな。
「どっちも美味いじゃん。でも歯に詰まるなぁ」
商会の威信をかけた戦いなど関係ないイルクはぱくぱくとお菓子を食べ、お茶を飲む。そうですね、イルクはそろそろ乳歯が抜けてくるころだから、ナッツ類は歯に詰まりますよね。私はまだかな。
「さぁ若奥様!」
「どちらの商品が相応しいでしょう!!」
「両方とも素敵だと思いますし……二つっていうのは、」
「「だめです」」
私は別に二つ買ってそれぞれ分けて贈ってもいいと思うし、マーサさんも選べないだろう。だが二人はそれを許さない。
「エルザちゃんはどちらがいいと思う?」
「私に振った!!!?マーサさん!!!?」
「わたしは、料理のことはよくわからないし……エルザちゃんが良いって言ったほうにするわね」
美味しくお菓子を頂いていた私に突然の受難である。
え?と真顔になって自分に向けられる視線の方に顔を動かせば、レヤクさんとルシタリアくんが笑顔でじぃいっとこちらを凝視していた。なにこれこわい。
これ、どっちを選んでもなんか、おっかないことになりそうじゃない?なるよね。
私はこほん、と咳払いをし、二人に負けないくらい笑顔を浮かべた。
「私が作る料理が一番いいと思います!」
言って、私がイルクに持って貰っていた葛籠の中から取り出したのは、白い大きな塊である。
「塩の塊……?」
「確かに、お塩は喜ばれるけど……」
「違います違います、これはお肉ですよ」
呆気にとられる二人に私はパタパタと手を振って、お盆に置いた塩の塊にしかみえないものを毎度おなじみ母さんの爪でコンコンと叩いていく。
「まぁ!」
上がった声はマーサさんのものだ。
それはそうだろう。やぼったい、塩の塊にしか見えなかったものが、まるで卵の殻のようにヒビが入ってパリパリと剥がれていったのだ。
分厚い塩の殻から現れたのは、美しく色付いた肉の塊。さっくりとスライスして平皿の上にバラの花のように盛り付けていく。
塩窯焼きという、古今東西どこにでもある調理法だ。
「街に来る前に手頃な魔獣が飛んでましたので、スレイマンが撃ち落としてくれたんですよ、で、捌いたらローストビーフに使えそうな……いえ、牛じゃないんですけど、四足だし……肉質的に牛っぽいしいいですよね!」
はい、っとお皿をマーサさんたちに向けると、皆おそるおそる、といった様子でお肉を手に取ってくれた。
レヤクさんが「これ、もしかして六大古獣じゃ……」などとぶつぶつ言っているのは気にしない。聞こえない。
「あら、美味しいわ」
「本当だ、この……調理されているが、火が通りすぎていない……新鮮さを閉じ込めつつ、焼いた肉の風味が染み込んでいる……」
「塩の塊っていうのも驚きがあっていいですわね……そのまま贈って、家族皆で割ったときに歓声が上がりそうです」
「厳しくなる冬に向けて、こういった力強さを感じさせる料理というのは……なるほど、勇気を与えられる気がする」
別にそこまで考えてはいないのだが、口々に絶賛され私は「よし!これで選ばなくてすむ!」とガッツポーズをする。
「これを木箱に入れて、そこにスレイマンになんか保存できる魔術式を描いて貰えば贈り物として日持ちもするしいいと思うんですよね!お肉はラダー商会が買って作って、木箱はルシタリア商会で作ってくださったらいいかと!」
我ながら良い提案が出来たのではないだろうか?珍しく良い仕事をしたのではないだろうか??私も賢いことができるものである。
ふふぅん、と得意げになっていると、肉を只管食べるだけの簡単な作業に徹していたイルクがぽつり、と突っ込みをいれた。
「それ、スレイマンさんが協力することが前提だけど、あの人、絶対手伝ってくれねぇだろ」
イルクの言葉通り、スレイマンは「なぜこのおれがそんな面倒なことをしなければならない」と不機嫌全開、全力で拒否してきた。
私とマーサさんが一生懸命頼んでもだめだったので、結局この話は流れてしまうのか、と思いきや、意外なことに「マーサを悲しませるな!!」とボンクラ……じゃなかった、グリフィス坊ちゃんが立ち上がった。
魔力持ちの騎士達や魔術師達を総動員して「木箱に劣化防止の魔術式を組み込む」という……彼らからすれば「こんな小さな、なんの変哲もない箱にそんな奇跡みたいなことができるわけがない!!!」という反則技、を頑張って開発を目指す一大プロジェクトになった。
結論から言えば、まぁ、結局誰もその魔術式は開発できなかった。
私の塩窯焼き魔獣のお肉料理は近隣の方々へ、遠方の方々にはレヤクさんやルシタリアくんの紹介したお菓子を贈る、ということで落ち着いた。
結構大騒ぎになったので、私がふとスレイマンに「やっぱりスレイマンでも難しいんですか?」と聞いてみたところ、指の一振りであっさりと木箱が閉じられた時だけ、中の物の時間を停止するという魔術式を刻みやがった。
クビラ街は今日も明日も平和である。
Fin
お祭り時空でした。
最近暗いネチネチとした展開ばかりなんですが、本来はこういう、皆でただわいわいしているだけの話をメインにしたかったです。
メリークリスマス!!!