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そんな決まりはありません

サッカー少年が、夢の終わりを突きつけられたと思ったら、人生の終わりを突きつけられました。


―― 完 ――


とはいかず、良く分からんが赤ん坊として転生したらしい。

周りはまだよく見えないし、音もしっかり聞き取れない。

こうしてものを考えていたが、今振り返れば、それもどうやら断片的な記憶だったらしい。

こうして意識がハッキリとした時には、俺は既に一歳を過ぎていた。


周りに見える家の中の景色は、洋風にも見えるが、全く見たことない装飾や文字なんかは、俺が先入観を持ってるせいかどことなく異世界といった風情に感じられる。

そして今、すぐ側には、俺に話しかける大人がいる。

何か言われてることは分かるが、さすがに日本語じゃないので意味は分からない。それでも、パパ、とか、ママ、という意味の言葉はなんとなく分かった。

ぼんやりしてた時に学習してたのかね?

まあ、それはいい。

そんなことよりも、だ。

大変なことに今気付いた。


俺、


どうやら、



――女なんですけど!!



えぇ……なんでぇ?


だが待って欲しい。

前世で男だったから、転生しても男になる。

そりゃそうだ、そんな決まりがあるわけじゃない。

なるほど、じゃあしょうがないね。


なんて割り切れるかよぉ……。

よくある(よくあってたまるか)異世界転生ものと見せかけて、トランスセクシャルものとか上級者向けすぎるだろよぉ……。


でも、あのまま死ぬよりいっか。

何故か前世の記憶もあるし。

そうそう、ラッキー、ラッキー。

……そうでも思わないと、なんとなく挫けそうで……。


だが! もうこうなってしまったからには、とにかく行動あるのみ。

この世界がどんな世界だろうと、知識を吸収し、しぶとく生きてやるです!


身体も鍛えたいが、まだまだ身体は成長していくのだから、幼い内から筋肉ばかりつけるわけにもいかない。

大怪我をした反省から、人体の仕組みやトレーニング理論も勉強したから、それを活かせば、女でも前世より優れたアスリートになれるかも知れないが、やはり焦りは禁物だろう。

そもそもスポーツって概念はあるのか? 魔物とか戦争とか、そういうのが無いと良いけどなぁ。

まあ、身体的にはまず歩いたり走ったりといった日常的な運動を多めに、同時に地道に柔軟性を身につけていくことを心がけて、後は知識の吸収を優先しよう。


ここが異世界ならば、もしかしたら、アレ、があるかも知れないし、ね!


そんなわけでお勉強。

どうやらこの世界の文字はルーツが象形文字の表意文字のようで、しかもそれを補うような表音文字も併用されているようだ。

さすがにひらがなとカタカナのような区別はないが、構成が日本語的なので、前世でイタリア語を学ぼうとした時に比べれば、ずっと楽に覚えられる。

どうして前世ではイタリア語を勉強したのかって?

何故ならば、Jリーグ初のイタリア人監督には俺が夢を見せて貰ったからさ。

……その後に悪夢が待ってたけどな。俺が死んだことも含めて、色々、な。


まあ、そんなわけで、家の中で見つけた本をあれこれ広げては指さして、いつも近くにいた母親(名前はローサ)から単語を学んでいった。

……発声の方はまだ覚束ないけど。


そんな日々を過ごし。


「あなた、やっぱりあの子ったら天才かも知れないわよ!」


母親がそんなやり取りを旦那(名前はグランツ)としているのは日常の光景になりました。

若くて綺麗なママンに喜んでもらえたようで何よりです。


因みに、まだ乳離れにはちょっと早いようで栄養は母上から直接頂くことも多々あるのですが、何故だ?

子供だからか? 女だからか? 親子だからか?

……サイズが控えめだからか?(小声)

なんか、全然興奮とかしないんですけど。

前世では興味はあったくせに、実際には全く縁のなかったアレに、これだけお近づきになっているのに。

俺は! 友から! 星人と認められた漢だったのに!!


……。

でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。


新しい人生を生きるんだ。

前世の記憶があっても、それに引っ張られすぎず、今を、これからを、この子としての人生を、この世界で楽しもう!


そんな感じで、頑張る私(まずは一人称から変えてみる俺)でした。


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