イノシシがやってきた。
カクヨムからの転載。
獣が出なくなった時点で、終了でーす。
・・・とのんきにやってた。
あの日は。
生まれて初めてイノシシをワナにかけて檻に閉じ込め、射殺した日。
その日は部屋に寝ていて、そうさな、夜の3時か?
そのくらいにウトウトだったんだが、山のほうからガタガタ、ぷぎゃあって凄まじいケタタマシイ声が響いてくるじゃんか。
また時間が経過して、まだ騒いでおる。
くっそ、もう少し寝かせてくれ、本気で怒ったよ。
外へ出ると、金具のこする音。
なんだ、猫がケンカしてたんじゃなかったんだ。じゃあ、あれは・・・。
イノシシだ。
ところが、ワナしかけた弟本人でさえ、信じようとしなかったんだねぇ。ひでえよな。
「お前がうるさい」
だとぉ。ざけんな。
ぷりぷり怒って畑へ見に行くと、やっぱりいやがった。
中位のが、4頭もブヒブヒいってもがいていた。
あの鳴き声は独特だったな。
よく見ると、獣ってかわいいのだ。
去年タケノコ掘りにいって、アナグマと遭遇したが、あいつは憎たらしいだけだった。
クワで必死に追い払ったが、ああいうのは殺しちゃいけないので、命拾いしただけでもよかったのだろう。そう思うことにする。
(2000頭以下になると今度は増やすんだってヨ。なんか変なシステムだ)
へたしたら、こうして書いてられなかった、死んでたよ。
そのくらい、獣のつめとキバは鋭く、恐ろしいのだ。
イノシシの話に戻る。
オスとメスが2頭ずつの、つがいだったので、殺さないわけに行かなかった。
私はとても見ていられないので、家に引っ込んでた。
殺生の場面だけは、どうしても。
銃声がはじけて、響いた。
猟師のおじさんは、その後、うちで肉を食べるといったので、イノシシをきれいに裂いてくれた。
一部始終を見てしまった私は、いまだに肉を食べる気が起きない。
ちなみに市町村によるけど、一頭につきだいたい1万円で死体を取引できる。
害獣扱いだから、連絡しないといけないんだってさ。