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日常が好き。7 ~最終回~  作者: スマイルさん
1/1

答え

どうもみなさんスマイルさんです。

今回も『日常が好き。』を書かせていただきました!

今回は最終回です!!

今までありがとうございました!!!

※この小説は続編です。シリーズを最初から読まないと話がわかりません。

日常が好き。7



*答え*


 ―――僕はそろそろ、答えを出さなければならない。

 横で、友梨ちゃんが泣いている。



 LINEで、友梨ちゃんが僕の家に泊まりたいと言ってきた。断る理由もないので、もちろんオーケーした。

 翌日学校で、友梨ちゃんが僕に話しかけてきた。

「ねえ、いつ何時ぐらいに行ったらいい? っていうか、場所どこ?」

 そういえば、友梨ちゃんを家に誘ったことはなかった。

 僕は適当に家の場所を教えた。

「今度の土曜日に朝からきなよ」

「うん!」

 さて、僕もバイトを土日休まねば。LINEで麗華さんに言っておこう。大好きな寧ちゃんと夢叶ちゃんにも言っておこう。『土日バイト休みます』。

 これでよし。今日は金曜日だから明日か。なんだ、今度の土日にって言ったけどちょっと恥ずかしいじゃないか。

「じゃ、僕は帰るよ」

 手を振って別れる。僕の家と友梨ちゃんの家は真逆の方向なのである。



 さて、僕も家で準備をしなくては。

 友梨ちゃんが泊まりに来るというのだから、布団も用意せねば。

 母親に言って用意してもらう。

「あら、女の子が家に泊まりに来るの!? 彼女さんかなぁ?」

 母親がおおよそ間違ってはいないことを言ったが、僕は動じない。まだ予定だ。予定なんだ。なるかもしれないしならないかもしれない。

「そんなんじゃないよ。ただの友達だよ」

 彼女を拒絶しているようでちょっと心苦しいが、まさか本当の事を言うわけにもいかない。

「ふぅ~ん?」

 ニヤニヤ笑いながら布団を僕に渡す母親は、どこまでもニヤニヤしていた。



「おはよう!」

 翌日、宣言通り友梨ちゃんは朝の9時ぐらいに家に来た。

「入って入ってどうぞ」

 僕は自室へ彼女をエスコートする。

 さて、僕はこの局面に来て困った。

 今日の予定を何も考えていなかった。

「友梨ちゃん、何する?」

「えっ!?」

 やたらと驚いた。僕の失態に幻滅したのだろうか? だとしたら、ちょっと残念だ。

「友梨ちゃんなにがしたい?」

 僕はもう一度聞いてみる。

「えっ、えっと……ゲームセンター行きたい!」

 意外だった。友梨ちゃんはゲームセンターが好きらしい。何故か勇気を出して言ったように見えた。



 ゲームセンターは人でごった返していた。僕はあまり人が集まる場所が好きではないが、友梨ちゃんが来たいと言ったのだ、別に苦ではない。

「最初は何する?」

「うーん、たいたつ」

 たいたつ? なんだろうか? タイトルだけではよくわからない。とりあえず案内してもらう。

 案内されたのは、太鼓型のゲーム筐体だった。太鼓の達人というらしい。なるほど、聞いたことはある。

「悠くんもやる?」

「うーん、やったことないけど、やってみるよ」

 幸い僕はお金をあまり使わない人なので、財布は潤っている。

 太鼓の達人は曲の譜に合わせて太鼓を叩くという、単純なものだった。

 一回100円で2曲できて、けっこうお得な気がするが、店によっては1回で3曲できるところもあるらしい。経営崩壊しないだろうか?

「あ、僕が払うよ」

 友梨ちゃんがお金を入れようとするのを止めて、僕はふたり分の200円を投入口に入れる。

「えっ、なんで?」

「男として払わせるのはちょっと、……と思って」

 実際、男が払わせるとか最低だと思います。

「あ、ありがとう」

 照れているのか、友梨ちゃんは顔が赤くなっている。

 と、友梨ちゃんはバッグの中から、棒状のもの取り出した。

「なにそれ?」

「バチだよ?」

 あっさり返されたけど、まさか太鼓のバチなの? だとしても先が細くなっているし、グリップが付いている。

 おっと、始まった。僕は用意されているホームバチというらしいやつを使う。友梨ちゃんは先ほどのバチを使うようだ。

 最初の曲は『蒼の旋律』という曲だった。僕は初めてだったので、難易度を『ふつう』でプレイする。そこで、僕は仰天した。なんと友梨ちゃんが、最高難易度だと思っていた『鬼』のところを、フチを連続で叩いて、『裏鬼』という難易度を選択した。

「だ、大丈夫?」

 僕も難易度でどこまで変わるのかわからないが、僕が最高だと思っていた難易度のさらに上って、ヤバくないかな?

「これぐらいウォーミングアップだよ」

 これぐらいウォーミングアップらしい。

 一曲目で失敗するとそこで終わってしまうらしいけど大丈夫なのかな?(この時の僕は『連打復帰』というものを知らない)。

 おっと、始まった。そこで僕は、またも仰天する。友梨ちゃんの方の譜面が、最初から連打だらけだった。

「はぁっ!?」

 僕の『ふつう』でも初心者からすればけっこう難しかった。

 2曲目は『!!!タイコタイム!!!』という曲だった。1曲目もそうだが、これは『太鼓の達人』を作った『ナムコ』という会社が独自に作った曲らしい。新曲発表が毎回ヤバイらしい。

 これは友梨ちゃん、『鬼』を選んだ。僕は『かんたん』を選んだ。

 友梨ちゃんの譜面はまたもや連打だらけだった。僕の『かんたん』譜面でも、初心者からすると難しかった。

「友梨ちゃんって、このゲームどれぐらいやってるの?」

 僕は普通に気になった。ちょっとやそっとやったぐらいでああはならないだろう。

「小学生の時からかなぁ?」

 結構やってるなぁ。まあ、僕はもうやらないだろう、……多分。結構楽しかった。



「次は何やる?」

 ゲームセンターに来てゲームを一回だけやって帰るということはないだろう。

「うーん、『チュウニズム』かな?」

 今度は『チュウニズム』というゲームをやるらしい。依然として僕は聞いたこともない。まあ、行ってみるとしよう。

 ピアノのようなゲームだった。ただし、スライドとかいっぱいあって、めちゃくちゃ難しい。僕は簡単な難易度を選んだが、友梨ちゃんは最高難易度の『マスター』をやっていた。友梨ちゃんって、ゲームセンター大好きなんだね。



「次は?」

 僕は二つしかゲームやってないのにもう疲れた。僕の体力無さ過ぎる。

「つ、次は、私もやったことないゲームなんだけど……」

 そう言われて連れて行かれたのは、………プリクラだった。

「さ、さすがの僕もちょっと、……恥ずかしい、かなぁ」

 プリクラとかやったことないよ。っていうか、一回で400円も取られるの!? さっきの『チュウニズム』も100円だったけど、あれでも結構楽しかったんだけど、プリクラって写真撮るだけでしょ? まあ僕の財布は潤っているのであまり痛手ではないが。

 好きな人とプリクラを撮りたいというのは普通なのだろうか?

 まあ別に損はないんだし、プリクラにも400円分の価値があるのだろう。そう信じます。

 ゲーム筐体の中に入ると、妙に甘ったるい匂いがした。いろいろな女性が入ったのだろう。僕はこの匂いがあまり好きじゃないんだよなぁ。

 というか、400円入れればいいの? 入れてからどうすればいいの?

「ねえ友梨ちゃん、これ使い方分かる?」

 僕には全くわからない。

「だから、私も初めてなんだって」

 困った。もう400円入れたよ?

「うーん、あっ、夢叶ちゃん!」

 偶然にも、外を見ると夢叶ちゃんがショッピングモールを歩いているのを見つけた。

「友梨ちゃんちょっとここで待ってて!」

「え、えぇっ!?」

 友梨ちゃんは驚いていたが、喧騒(けんそう)で聞こえなかった。

「夢叶ちゃん!」

「あ、先輩」

「プリクラの使い方教えて!」

 結構近かったのだが、離れる前にと思って走ったおかげで息が荒い。

「プリクラの使い方ですか。……まあいいですけど。一人ですか?」

「そんなわけないでしょ」

 プリクラを男一人で取るとかどんなやつだよ。



「連れてきたよ」

「な、何してたの? って、誰その子?」

 ああ、あの時出くわしたのは寧ちゃんだったっけ。友梨ちゃんは夢叶ちゃんのことを知らないのか。

「バイトの後輩だよ」

「どうも」

 夢叶ちゃんが律儀にお辞儀する。

「は、初めまして」

「で、使い方教えて、夢叶ちゃん」

「あ、はい。まずはこうやって、…………あとはお二人でポーズを決めて撮るだけです」

「ありがとう」

「では、私はこれで。……安眠枕どこだろう……?」

 寝れないのね。残念ながら安眠枕の場所は知らないんだ。ごめんよ。

「さあ、友梨ちゃん、どんなポーズがいいかな?」

「普通にピースでいいんじゃない?」

 まあ、そうだね。ここは普通にピースで行こう。

 とは言ったものの、僕も友梨ちゃんも、初めての体験で笑顔がぎこちなくなる。こうなったら……。

 僕は友梨ちゃんの肩に手を回し、半ば強引に僕のそばへ引き寄せる。僕は無理矢理満面の笑みを浮かべる。友梨ちゃんは驚き困惑し、顔を真っ赤にしているが、その状態でも必死にピースとぎこちない笑顔をキープしている。驚き一色になって欲しかったのだが……。そうだ。こうしよう。僕の方から友梨ちゃんに顔を寄せてみる。案の定を驚きまくっていた。というか、沸騰するんじゃないかってぐらい顔が真っ赤だ。ぎこちない笑みより、驚いた顔の方がいいだろう。こういう構図好きだ。

『ハイ、チーズ!』

 プリクラのゲーム筺体が、録音音声でそう言った。直後、フラッシュが瞬く。



「ちょっと! びっくりしたじゃん!!」

「ご、ごめん」

 プンプン起こっている友梨ちゃんは、大事そうに僕とのプリクラ写真を抱えている。



 家に帰ってきた僕たちは、まずは昼ごはんを食べることにした。

「向こうで食べてくればよかったかなぁ」

「でもお母さんが作っててくれたんだからいいじゃん」

 せやな。思いながら、僕は椅子に座る。友梨ちゃんは僕の隣の椅子に座る。

「へーぇ、これってシールになるんだなぁ」

 僕はプリクラというものを全く知らなかった。同時に、友梨ちゃんのことも、何も知らなかった。今日でいろいろ知ろう。

「はーいもってきましたよー」

 母親が持ってきたのはサンドウィッチだった。カツが挟まっていた。

「ありがとうございます。いただきます」

 律儀にお礼をしてから、友梨ちゃんは美味しそうにそのサンドウィッチを頬張る。

「おいしーい!」

 その横顔は、本当に美味しそうだった。



 晩ご飯の時間がやってきた。それまで二人でのんびりモンストでマルチしていた。

「できたわよー。あ、悠、お父さん呼んできてー」

 母親に頼まれた。そういえば朝からお父さんを見ていないが……。

「おーぉ、できたか」

 呼ぶまでもなく、父親が出てきた。

「お父さん、どこいってたの?」

 母親までも知らなかったらしい。

「ああ、二人をストーキングしてたよ」

「死ねっ!」

 僕は普段は絶対言わないような台詞(セリフ)を吐きながら醤油瓶を父親の眉間に投げつける。その時の形相はまさに鬼だったらしい。

「ぐほぁっ!?」

 父親は泡を吹きながら気絶した。心なしか白目を剥いている気がするが気のせいです。

 食事中、こんな話で盛り上がって『しまった』。

「そういえば友梨ちゃん、それ何?」

 母親がもう打ち解けたらしく、友梨ちゃんも気軽に話せるようになった。それが災いした。

「あ、これは悠くんとのプリクラゲフンゲフン!」

「え、あんたたちプリクラやってたの!? 見せて見せてー!」

 もう40になるというのに無邪気な母親である。

「へぇ、こんなに仲良しだなんて、早く付き合ってエッチしちゃいな!」

「ゴッフゥァッ!?」

 僕は激しくむせた。友梨ちゃんは顔を真っ赤にしている。なんだこの母親!?



 布団を用意した。これで寝る準備は万端だ。あとはお風呂に入るだけだ。

 お風呂の準備も出来ているらしい。

「友梨ちゃん先入りなよ」

「え、あぁ、じゃあお言葉に甘えて入ってくるね」

 ~たぶんだいたい20分ぐらい後~

「ふ~ぅ、気持ちよかったー! 悠くんも早く入りなよ」

 正直この時、僕は困惑した。水が滴る友梨ちゃんは、なんというか……、エロかった。

 着替えを持って行って脱衣所で服を脱ぐ。風呂場の扉を開けて中に入る。友梨ちゃんが入った直後だと思うと、なんだか緊張する。まあ、何事もなく入浴は終了した。



 寝る。

 当然ながら、友梨ちゃんも僕と同じ部屋で寝ることになる。

 僕は疲れていたので、速攻寝た。



~数分後~



 眠れない。

 私は山田悠くんが好きだ。大好きだ。ほかの人なんてどうでもいい。ただただ悠くんが大好きだ。そこら辺の恋する乙女と一緒にはしないで欲しい。今日は悠くんとプリクラも撮れた。もう有頂天だ。けれど……。

 悠くんは、私にもう一度告白されるのを覚悟しているのだろうか? 私には、とてもそうは見えない。ただ落ち着いているだけなのか、私のことを全く見ていないのか。それすら全くわからない。

 胸が痛い。

 安心したくて、私は悠くんの腕に抱きついた。



 とある感覚で目を覚ました。

 腕に感覚を覚えた。抱きつかれる感覚だ。少しだけ逡巡して、友梨ちゃんだとわかった。

「っう……っ」

 嗚咽が聞こえた。泣いてる……?

「好きなのに……」

 息ができなくなった。なんというか、胸が痛くなった。気を抜くと泣きそうな感じだった。こんなのは初めてだった。

 友梨ちゃんの僕に抱きつく力が一層強くなった。

 

 ―――僕はそろそろ、答えを出さなければならない。

 横で、友梨ちゃんが泣いている。


 僕は、もしかしてとんでもなくバカなことをしたんじゃないのか? いや、『したんじゃないのか?』ではなく、『した』。

 そうだ。


―――僕は今のところ君のことを恋愛感情として好きなわけではないんだ。だから、友梨ちゃん、君が僕をその気にさせてくれれば僕は君と恋人関係になっていいよ。


 あのとき、僕はこんなことを言った。

 大馬鹿だった。遠まわしに完全に振っているじゃないか。

 僕の大馬鹿野郎ッ!

 そうは思っても、僕は緊張で寝たふりをしてしまった。

「悠……くん……っぅう……」

 また、抱きつく力が強くなった。もうだめだ。僕が耐えられない。

「……悪かったよ」

 僕は、彼女を見ながら―――彼女の目を見ながら、まっすぐ目を見ながら言った。

「僕は、たった今君のことを好きになったよ」

「えっ、あっ、あっ、えっ?」

 突然のことに、涙目で困惑する友梨ちゃん。かわいい。もう好きだ。

「え、え、えぇ?」

「好きです。付き合ってください」

 そう、(やわ)く微笑みながら、僕は言った。

「は、はい!」

 僕は安心してニッコリと笑った。彼女も笑った。これで一件落着。ハッピーエンド。

 睡眠に入る直前、僕の目にドアを少しだけ開けてカメラで写真を撮っている父親を見た。あとで醤油瓶をぶつけて殺しておこう。



*僕の日常*


 僕の愛する日常は、少なからず―――いや、まるっきりに変わってしまった。

 バイトが忙しくなり。

 後輩を好きになり。

 彼女ができた。

 ついでに父親を何度も気絶させた。

 僕の愛する日常。

 それは、ハプニングなどない、何も起きない平和なもの。

 しかし、僕は痛感した。そんな日常にも、少しはこれまでのような、刺激があってもいいのではないか。

 僕の愛する日常は変わった。

 しかし、そんな変わった日常も、これからは愛していくとしよう。




―――二人は、もう一度プリクラを撮った。二人とも、ケータイの裏にプリクラのシールを張っている。二人の表情は、どこまでも、本当にどこまでも、幸せそうな、楽しそうな笑みだった。






日常が好き。―完―

どうもみなさんスマイルさんです。

今回も『日常が好き。』を書かせていただきました!

今回はいよいよ最終回でした。いかがだったでしょうか?

今回のテーマは『恋愛』ではなく、『変わった日常』です。人間は自然環境に適応する、適応能力というものを持っています。それにちょっと興味を持って、テーマにしてみました。思いが届かないもどかしさ、悲しさ、切なさを伝えたかったですが、ちゃんと書けていますでしょうか? まあ、それを表現するために『楽しい』を入れてみたのですが、私の小説としては長くなってしまいました。

それでは、今回はこのあたりで目を休ませてあげてください。


次は戦闘もの(ファンタジー?)を書いてみたい!!

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