少年と私とお友達(・・・?)
「生活用品は大体買ったから、次は服ね」
私は亘くんの方を向く。
「亘くん、服選んできたら?私ちょっと用事あるから。2万で足りるわよね?」
財布からお金を出し、亘くんに2万円を手渡す。
「あ、下着も買いなさいよ?」
「なっ、分かってるっつーの!!」
思春期だものね、顔真っ赤にして・・・・可愛いーなぁー。
亘くんの頭を撫でる。この子中1よね?身長、私とあまりかわらないじゃない。
「・・・・・・へ?」
撫でていた手を掴まれた。
「綾女さん、子ども扱いしないでよ・・・」
私は目を大きくする。まるで、地面に足が縫い付けられたかのように足が動かない。
「わ、たる・・くん?」
名前を呼んでみる。喉がカラカラで少し掠れた。
「・・・・なーんてね、何驚いてんの?綾女さん」
「は?」
・・・・・もしかして。
「ちゃーんと買ってくるから、し・た・ぎ」
亘くんは輝くような笑顔で私に言うと、お店に入って行った。
「・・・今、完璧に遊ばれたわよね?・・・・私」
中学生に騙されるOLって・・、はぁー。
「あ、これ可愛い」
私は棚に並んでいるイヤリングを見た。小さいリボンが付いていて、仕事場にも付けられそうだ。
「恵里に似合いそう・・・」
亘くんに言った用事とは、親友の恵里の誕生日プレゼントを買う事だったのだ。
棚に並んでいるイヤリングの色は3種類。ピンク、イエロー、ブルー。
「うーん、どれにしよう・・・。ピンクかなぁ・・?でも、恵里黄色の方が似合いそうだし・・・、それとも青色?・・・・・っ!?」
悩んでいたら、行きなりの衝撃に驚き、反射的にぶつかった方を見る。
「すみませんっ」
ぶつかったのは、中学生位の可愛い女の子だった。
「あー、良いわよ。私も考え事してたから」
「でも、・・・・・・」
彼女は、納得いかないのか眉尻を下げる。律儀な子ねぇ、珍しい。
そんな事を考えていたら、遠くから、ひなの、と呼んでいる声が聞こえた。彼女がその声に反応したから、多分、ひなのとはこの子だろう。
「あの、本当にすみませんでした」
ひなのちゃんは、一礼すると友達のいる方へ走っていった。可愛いかったなー。私は、また棚のイヤリングを見る。
・・・・・・・・・・・・。
「イヤリング、黄色にしよっ」
私は、黄色いイヤリングを手にレジへと向かった。
用事もすんだし、亘くんのところに戻ろう。もうそろそろ、買い物もすんでいるだろう。
私が亘くんを探していると。
「あ、綾女さーん」
亘くんが手を振ってきた。こう言う所は子供っぽいわよね。
「亘くん・・って、隣りの子、誰?」
亘くんの隣りには、知らない男の子がいた。
「こいつ?綾女さん、気になるの?」
「まぁ、少し・・・・」
亘くんの隣にいる彼を、チラリと盗み見る。
「・・・・・・・」
彼は、私に興味ない、とでも言うように携帯を弄っている。彼は亘くんよりも伸長が高いようだ。・・・・今時の中学生は、皆伸長が高いものなのだろうか?
私がそんな事を考えていると、グイっと、誰かに引っ張られた。まぁ、亘くんだろうけど。
「何?どうしたの?」
亘くんに視線を向けると、不機嫌そうな顔で私を見ていた。
「・・・こいつは、俺のダチの松浦」
ギュッと腕を掴む力が強くなる。どうしたのかしら?
「・・・・・、そっか、松浦くんって言うのね」
「・・・・・・綾女さん」
亘くんが下を向いたまま私の名前を呼ぶ。
「・・・俺、喉渇いた」
「へ?」
「疲れたからどっかで休みたい」
そう言って、私の腕を引っ張る。
「ちょっ、松浦くんはっ!?」
「あ、俺の事は気にしないでください」
「って事で、綾女さん行こ」
「へっ?!ちょっ!!?」
松浦くんを見るとダルそうに手を振っていた。




