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I am so happy.  作者: 物怖じ
10/12

少年と友達の学校生活

今回から少しだけ、亘くん目線です。

今日は朝から楽しかったなぁ。綾女さんが起こしに来てくれたし、綾女さんと一緒に朝ごはん食べれたし、綾女さんに弁当作ってもらったし、綾女さんが頭なでてくれたし、綾女さんの誕生日分ったし、綾女さんと駅まで歩けたし、綾女さんがいってらっしゃいって言ってくれたし、幸せ。

幸せをかみ締めていたら電車の速度が落ちた。もう着いたのだろう、電車は芦屋で止まっていた。俺は仕方なく電車から降りた。

本当は家に帰りたくないが、綾女さんが言ったんだからしかたないなぁ・・・、駅から出て、見慣れた道のりを歩く。やはりこの時間帯は早いのかあまり人を見かけない。もう少ししたら、いろんな人たちで溢れかえるなだろう。そう思うと少し歩調が速くなった。

家に着き、持っていた鍵で玄関を開ける。中に入ると誰もいないのか静まりかえっていた。自室に行こうと靴を脱いで上がって、階段の方に進んでいると丁度今起きたのだろう兄さんがいた。



「今帰ったのか?」

「・・・・・・・・・」



兄さんの質問には答えず階段を上っていく。



「おいっ、亘」



腕を捕まえられ、しかたなく兄さんに顔を向ける。



「何?」

「・・・っ、亘・・・」

「さっさと言ってよ、用事あるから呼び止めたんでしょ?」



あーウザイウザイウザイウザイ。さっさと手離してよ。汚いじゃん、時間ないんだっつーのこっちは。



「あのさ、用ないんだったらもういい?手、離してよ」

「亘・・・悪かった、俺が悪かったから・・・家に帰ってこいよ。母さんや父さん、・・・・京子だってお前の事、心配してんだから・・・」

「・・・・・・は?心配?・・別に俺はあんたらに心配されよーが、何思われてよーが関係ないから。俺、この家に帰る予定ないし。荷物とりに来ただけだから」

「・・・・・・どういう事だ?それ」

「はっ、そんなの自分で考えたら?医大目指してるんでしょー?じゃ、俺荷物とってこないといけないから」



今度こそ俺は兄さんの手を払いのけて階段をのぼる。後で兄さんが何か叫んでいたが、俺には関係ないし、放っておこ。

部屋に入るとやはりあまり家に帰っていなかったせいか少し埃がたまっていた。俺は無言でクローゼットから大きめの鞄を取り出し必要なものを入れて行く。もともとこの部屋には必要最低限のものしか置いていなかったせいであまり時間はかからなかった。荷物をしまった鞄を横に置いて、制服に着替える。本当は行かなくてもいいが、綾女さんに嘘は通用しないだろう。しかたなく真新しい制服に着替える。俺の学校は中高と上がれるエスカレーター式の学校で、制服も結構凝ってある。ぶっちゃけ、俺にはどーでも良いけどねー。制服は少し大き目を買ったせいでピッタリとは言い切れなかったが制服の下に昨日買ったばっかりのパーカーを着ているため問題はなかった。背中がもごもごするためフードをだす。着替えたからもう用はないしガッコー行こっかなぁ。

もう入ることもないだろう自室を後にした。



「亘・・・」

「・・・・・・・・・」



・・・なんで兄さんが俺の部屋の前にいるわけ?意味わかんねー。



「あのさ、本当なんなの?」

「亘、その荷物はなんだ?」

「さっきいったでしょー?もう帰らないって」

「どこに行くんだ?」

「どこだっていいじゃん、うっせーな。しつこいんだよ」

「亘っ!!」

「何?また怒鳴るの?あの時みたいに?」

「・・・・・っ」



兄さんの表情が固くなる。あれ?もしかしてこれ言っちゃ駄目だった感じ?めんどくさっ。



「じゃーね、俺もう学校行くから」

「・・・亘?」

「ばいばーい、お 兄 様 ?」



俺は兄さんの横を通って玄関に行く。兄さんはもう俺を呼び止める気はないらしく、心の中で安堵した。いちを家族だからなぁ、もし今度呼び止められたら殴っちゃいそーだったし。良かった良かった。流石に家族には手出したくないもんね。

玄関に行く途中の廊下を歩いていると、リビングから両親の声がした。あっちは気が付いてないようなのでこちらもスルーしよう。ちらっと、中を見ると、両親と京子が朝ご飯を食べていた。よくあの兄さんの怒鳴り声に気付かなかったな、と少し感心してしまった。

靴をはき、外にでる。いちど後ろを振り返って家を見る。綾女さんとは月に1回家に帰る約束をしたが、帰る気なんて最初っからなかった。これからどうしよーかな。家には帰るきないし、でも綾女さんと約束しちゃったし・・・ふと脳裏に1人の友達の顔が浮かんだ。あ、あいつんち両親家いないから1人暮らし状態だしよくね?よし学校行けば会えるだろうし。早速俺は足を進めた。










「あれ、亘じゃん。めずらしー」

「おっはー、松ジュン昨日はごめんね」



俺の顔を珍しそうに見る松ジュンこと、松浦順平。昨日デパートで会った奴だ。

俺より少し高い身長に、短めの髪。傍から見たら爽やか少年だが、本当は俺みたいに遅刻しまくり欠席しまくりな問題児だ。最近は、席替えしたら窓際になったらしくそこでずっと昼寝しているらしいけどね。



「あー、“綾女さん”ね。お前嫉妬しまくりで爆笑するかと思ったわ」

「ひっど、これでもいちを抑えてるんだからね」

「えっ、あれで抑えてるつもりかよ、ってか何あのキャラ。お前あんな甘えたキャラだったかよ」

「えー、綾女さんには大うけだったよ。可愛いーって」

「・・・俺、綾女さんに同情するわ」



何だかもの凄く不愉快な目線を向ける松ジュンの頬を引張る。



「痛っ、っちょ、亘っ?!」

「あはははは、顔歪んでるよー」

「お前のせい・・・いったー!!」



相当痛いのか涙を浮かべる松ジュンを見ていると、チャイムがなった。仕方なく手を離すと、頬が真っ赤になっていて笑えた。



「この悪魔め、綾女さんに嫌われてしまえ」

「・・・流石に友達でも言っていー事と悪いことがあるんだよ、松ジュンくーん」

「~~~~~~~っ!!!!」



思いっきり足を踏んでおいた。はっ、ざまぁ。







大分綾女さんの前と性格が違うような気もしないような、・・・。


これからもう少し亘くんのターンです^^

綾女さんはあまり出ません。


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