人魚姫
「はぁ。またこんな日々が続くのか。で、誰だよ?お前。いや、名前は知ってるってゆーか・・・。まず、人魚って『だれ』って聞いていいのか?」
ハカセはいつもから想像できないような声を出しながら占い装束の人魚を見た。
が、誰も前回の内容を覚えてないと思うので前回までのことを簡単に書く。しかし、覚えている方は『』の中は読まなくていいです。
『エルを含む仲良し4人組はみんなで人魚通りを歩いていた。人魚通りとは銀河警察と人魚たちの貿易が盛んにおこなわれている場所である。そこで占い装束の人魚に声をかけられたハカセはふいに目を開けてしまう』・・・というわけで戻る。
「わらわは、ソフィアじゃ。」
「んだからぁ・・・あぁ。もう聞きたいことも分かんない。」
「クスッ。無様ねェ。ハカセ。いきなりパートナーが現れたのことにビックリしたんでしょー?」
ベラはクスクスと笑った。そのことに腹を立てたが、言い返せないハカセはむぅとかおを歪めたまま何も言わない。
「わらわは、マーメイド・クイーン・ド・ソフィア・タンプルじゃ。」
「マーメイド・クイーン?親もたいそうな名前付けたわねェ。クスクス・・・。」
「は?お前、人魚の名前の意味知らぬのか?」
「知らないわよ。てか、その話し方どうにかならないの?」
ソフィアはヤレヤレ、というような顔をしながらハカセはとうに知っている真実を語りだした。
「人魚は名前に階級を入れるのじゃ。だから、私は人魚姫じゃ。うん?詳しく言うとなァ、人魚王の娘・・・第一子じゃ。この喋り方は、『敬意』とかいう物を貰うために必要らしいぞ。」
ベラは大きな口をあけて笑った。そして、笑いながらハカセを見た。
「コリャ、混乱するわァ。」
「・・・ダロ?」
一週間後
「・・・え❤レイウッド様がまた狩人になったのぉ?」
「そぉーだって、狩人で人魚島行ったらしいよ。」
「何で、何でぇ?」
エルは葛藤と戦っていた。――うざい。何その小っちゃい母音!!しかし、内容が気になる。
「なんかァー。ファントム様がぁ、シンヨウを取り戻すためにィ」
「シンヨ~?そんなの気にしてたのぉ?ファントム様ぁ。」
「セーエーブタイで行く!!って言ってたよォ。テレビ見てないのォ?」
「見てないよォ~。」
エルはすくっと立ち上がった――しかし今は授業中である。
「ポリエステルッ!単位落とされたいのか?ただでさえあんなに悪い点数なのに?」
「スイマセン、先生。私今回単位クリアしてるんで。生活科がオールAだったので。」
「ハン、それで数学オールCだったら世話無いな。じゃ、帰れば?ポリエステル。俺は構わん。」
エルはやっぱり数学に嫌気がさして帰った。
しかし、エルだけ中学校へ行ってるとは泣ける話である。ほかの3人はとっくに大学生である。(えぇ。飛び級があるんです)12歳だけど。年相応な気もするんだけど。
ま、けど思わぬ報酬があった。レイウッドの裏切りはレーサーへの手土産っ!
「ぬぁんどぅだぁってぇい!!」
「何が言いたいか分からないほど驚いてるね。」
「まぁ、なんだってって言いたいのは分かるけどね。レイウッドさんの崇拝者、レーサーの反応は!?」
「あ、けど。わ、私知ってたよ・・・。」
「ぬぁんどぅだぁってぇい!!」
ベラを含めないお友達はうんざりとした顔になったが・・・それはさておき。
「エー。なんで知ってるの!?」
「あ、あの。私、しゅ、出発の日に、偶然会って・・・。それで・・・教えてもらったんだ。」
全く聞いてないレーサーはベラの顔を(珍しく倒れずに)直視した。
「俺たちも人魚島へ行くぞ!!こんなとき金持ちは役に立つんだ!!明日!!明日行くぞォ!!」
ベラまで含むお友達がエルに対して『なぜ、あんな情報を入れたのだ?』という顔をしたが・・・それはさておくとしよう。
「私は、ディスイートと申します。今日から滞在の間中、ナビゲーターをさせて頂きます。」
「よろしく。オレはレイウッド。こちらはシーザー。こちらは・・・」
「コンだよッ!!よろしくねェ。ちなみに、本名はコロナ・コランソン・エスパダ・ディオスだぞ!けど個人的にこの名前嫌いだから、コンって呼んで!」
ディスイートはその独特な暗い色の瞳を光らせつつすみません、と言った。
「馴れ合うな・・・との命が出ております。できればシーザー様も、名字付きでお教え頂けませんでしょうか?」
「あ、すまん。ドレック・シーザーだ。」
「知ってるだろうけど、七宝・レイウッドだ。」
「あ・・・のね。言いづらいんだけど、あれは名前でぇ。名字はフォーテュムって言うんだ。」
ディスイートは嫌そうな顔をして記憶するよう努めます、と呟きながらあと2人を見つめた。2人は視線に応えるように自己紹介を始めた。
「僕は。フォーテュム・イエロブリリャルエスペランサフスティシア分かったと思うけど・・・コンとはいとこだよ。みんなはイエロのイ、ブリリャルのブ、エスペランサのサでイブサって呼んでるよ・・・。僕もイブサが良いんだけど。だめかい?」
「すみませんフォーテュム・イエロ・ブリリャル・エスペランサ・フスティシア様。無理です。」
「お、一発で覚えるとは。その点俺は楽だぜぇ?ブロッサム・ゴウだしな。まぁよろしく、お前は?」
「私はディスイート・トゥリステェスでございます。名字でお呼び下さい。」
『偽り・悲哀』――みんなは顔を見合わせた。それは、女の子(彼女は人魚では無かった)に付けるには酷すぎないか?
「・・・では、皆様。今から王宮にご案内いたします。今日は王様がお隣のヴァンパイア王国へ出かけておりますゆえ、女王様が接待なさります。」
「了解。」
「ココどこよ、レーサー。」
「ふん、分からないのか。」
「むっ。なによォ。分かるの?」
「分かるわけないだろ!?だいたい人魚島に行くってたのに何でヴァンパイア王国内部に居るんだよ?てか、それしか分かんないよ?強いて言うならそれは分かってるけどね!?」
レーサーは混乱しながらベラもにら・・・もうと思ったのだろうが顔を赤らめて、目を逸らしているあたりヘタレだ。ヘタレ。
「ごめん、この星はここしか詳しくなくて。って。」
ベラは赤面して(恐縮の意であって、レーサーはまるで関係ない)パクパク言ってるだけなので分からなかったかので、ハカセが通訳している次第だ。
「ちゃんと人魚島に行こうとしたんだよ?って。」
「うぅ~。ハカセに言われるとなんかァ。全然キュンってしない。」
「しなくていい。って。嘘、言ってないよ。」
エルはその光景をウンザリと見ていた。レーサーは何気にハカセに密着してるベラが見えないのだろうか?こゆーの見えない人?
「もぅーココどこよォ。」
「たぶん、近くにはいると思うんだけど。だって。」
ンなの!!何の足しにもならないよぉッ!
「ポー君❤どこ行くのかなァ。」
「デクレの家。」
「そんなこと言って・・・クレスちゃんに会いに行くんでしょォー?」
僕だけか?この母親に対する嫌悪感。いや、思春期の男子は皆感じているはずッ!!
バタン
「ポー君が冷たい~。」
注意1・タイトルと内容は関係ありません。
注意2・誰が何と言おうとこれはフィクションです。
以後のことに気を付けてくれたでしょーか?