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権能の正体

 夜が明けた頃、俺は森を抜けて山岳地帯手前に辿り着いていた。夜通し歩き続けたと言うのに疲れが一切来ていない。

 人里を見つけるにせよ、まずはこの権能について少し調べてみるべきだろう。足元に転がっている石を一つ手に取ると空中に軽く投げてみる。石は少し浮かんで手に落ちてきた。昨夜のように物体の動きが緩慢だというわけでもなさそうだった。何かトリガーがあるのだろうか。

 次に軽く走ってみた。山を登っていく要領で走り続ける。走る速さはあまり変わっている気はしないが、明らかに常人では走り続けられないような場所を止まらずに走り続けられている。


「ハッ...ハッ...凄いな。いつまで走り続けられるんだ?」


 息が軽く乱れる程度で決して息切れなどせずにどこまでも走り続けられた。こうなってくるとますます自分に宿る権能の正体が分からなくなってくる。

 俺はひたすら山を走りながら登り続け、時間にして陽の光が真上に差し掛かる頃、山頂付近にたどり着いた。山を目指したのは何も目立って分かりやすい目印だからというわけだけではなく、山頂から人里を探す手掛かりにするためだった。それに確証も欲しかったしな、ここがサタナ大陸だって。

 

「結局疲れずに走り切れたな...んで、確かサタナ大陸で森が広がっていて且つ山が比較的近くにあるって言うと...大陸的に言えば南西か」


 どうやら当初は帝都フランベルジュに最も近い港町に停泊の予定が、俺は流されに流されて南西まで来ちまったらしいな...。本来は大陸の東側に向かう予定だったんだがな。頭の中にある地図を眺めながらひとり考える。...ここからだと大陸の中央にある帝都から"比較的遠くの場所"を経由してダンジョンに向かうべきだな。


「よし。確か中央に向かう途中にいくつか村があったはずだ」


 中央の方角をじっと観察すると帝都は見えないが、ここから比較的近い位置にうっすらと村が確認できた。俺はいい加減腹の減りを感じつつ、うっすら見えている村に向かって下山を開始するのだった。

 ーーー

ーー

 サタナ大陸という場所はとても竜と縁深き大陸だ。国の象徴たる国旗にも竜があしらわれている。その最大の理由が他の大陸と違って、圧倒的に竜の数が多い。魔物の数より竜の方が多いくらいだ。

 この国は竜帝国と呼ばれるほど、竜と密接に関係しているため、ドラグナー(竜騎士)と呼ばれる存在がいる。それらのドラグナーは大陸の治安を守るため、色々な場所に警備隊として配属されたりしているのだが。

 

「...まさかこんな辺境にも配属されてるなんてな」


 俺はそっと山の中腹で岩陰から様子を伺う。どうやら麓で警備にあたっているらしく、このまま降りていけば当然かち合うことになる。だがいま俺は身分を証明できるものが存在していなかった。

 何故ならあの沈没事件のどさくさに紛れて武器はおろか身分を証明できる"ギルドカード"すら失ってしまっていたのだ。

 こうなると不法入国者扱いとなり、どう考えても面倒なことにしかならないのは明白だった。国に戻るにも渡りをつけるには交渉する物が必要となる。

 つまりはどうしても俺はダンジョンに行くしかない状況であった。定期船がオースの街に戻らなければ、ギルドの連中が気付いてくれるとは思うが、だからと言って俺が"生きている"なんて分かりようがないのだから助けはまず来ない。


「何とかしてあいつらに見つからずに行く方法はないものかな」


 迂回しようにもどうしたってここは山岳地帯。上から見られたら発見されてしまう。俺は色々考えたが、とりあえず夜を待つことにした。こんなことならあの熊食っておくべきだったか...。

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