蒼海2
創造神マズルカは世界を創った
空気を作り
大陸を作り
生き物を作り
最後に人を作り眠りについた
人の子よ
マズルカを讃えよ
人の子よ
マズルカを崇めよ
さすれば望むもの与えられん
著者【せかいの成り立ちについて】
一部抜粋 作者ーーー不明
ザァアアアアア...。ザパァ!!俺はなす術もなく、ただ木片に捕まり溺れていく人たちを尻目に流されていくしかなかった。
ーーどれくらい流されたのだろうか。溺れている人達や、確かに見た竜の姿はもうどこにもなかった。
幸い季節は穏やかな気候だったので、海の冷たさは我慢できないほどじゃない。ただし長時間浸かってるせいで体は冷え切って来てたし、波が荒く雨も絶え間無く降り注いでいるのも相まって、精神的にも肉体的にも限界が近かった。
「げほげほ!!もう...ダメだ...力が入らない」
そこで俺は意識を手放してしまった。力が抜けて掴まっていた木片から手を離してしまう。海に体が投げ出され、波に巻き込まれ水中に沈んでいく気がした。
『ラ...ザ...』
既に俺には意識がない。無いはずなのに何か声のようなものが聞こえる気がした。意識がないのに誰かが喋っているのが分かるような、不思議な感覚だった。
「ゲホゲホ!!!...えッ!!?」
おそらく波にのまれて死んだはずの俺は急速に意識を取り戻した。とても穏やかな青い海に浮かんでいる。水温も空気もとても温かく感じる。空が澄み切っており、ここがこの世なのか、あの世なのか分からなくなってしまった。
しかし俺の浮かんでいるそばに見覚えのある木片を確認できて、慌ててそれに掴まり、夢ではないことを理解させられた。
「どうなってんだ...一体...」
『ライザ』
「うわぁああああ!!!」
突然耳もとで声が聞こえて来たので驚いて木片から手を離して水に沈んでしまう。俺は慌てて水面に顔出し、木片に掴まりながら辺りを見回した。するとちょうど頭の上の方で浮遊している光の球?みたいなものが確認できた。
「なんだこの変な球は......」
『変なのとは失礼ですね、ライザ。神たる私に向かって大変失礼ですよ』
「球が喋った!?」
瞬間、その光の球?は頭にぶつかってきた。なかなか痛い。てかカミ?かみってあの神のことを言ってるのだろうか。......この世界を作り上げたとされている創造神マズルカのことを。
「いったぁ...ちょっと球に質問なんだけどさ」
ガインッ!!!再び頭にぶつかってきた。そろそろ本気で痛い。
『失礼なことを考えているからです。それに私は創造神マズルカに相違ありません。ちなみにお前が溺れて死にかけていたのを助けたのもこの私です』
「痛いって!じゃあマズルカ。質問なんだが俺は死んでるのか?...いや待て、俺の考えていることが分かるのか?」
マズルカは俺の目線まで降りてきて話し始めた。
『まだ不躾ですが、まぁいいでしょう。特別にマズルカと呼ぶことを許可します。さて質問の答えになりますが、お前は死んでいません、生きています。私が助け出したのですからね。それと私はお前の頭に直接語りかけています。念話と呼ばれるものですが、お前も声を出さずとも私と会話をすることは可能です』
そう言われて俺は頭の中で目の前に浮かんでいる...マズルカに語りかけてみた。
『こうか?てか本当にあのマズルカなのか?この世界を作り上げたっていう...創造神の』
『いかにも。私は創造神マズルカ。この世界エデンシアを作り上げ、お前たち人間をこの世に生み落とした神と呼ばれる存在です』
『マジなのか...じゃあ次の質問だけど何で俺を助けた?他の人たちはどうなったんだ?嵐はどうなった?』
マズルカはそこで一際強く光り輝いた。さも当たり前のように答えてくる。
『それはライザ、お前が他の人間とは違う特別な存在だからです。そして他の人間たちは残念ながら誰も生きていません。私が救ったのはお前だけです。嵐は私が止めました』
とても混乱してきた。どうして俺を救ったのか聞いてるのに、謎が深まるだけじゃないか。何で俺だけ救うんだ。俺を救うなら他の人も救えたかもしれないのに何で俺だけ。
『私は私が救うと決めた者にしか手を差し出しません。それにお前は特別なのです。ここで死ぬべきではない』
『...手なんてないだろ。球なんだから』
ガインッ!!!




