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再開しようか

 この世界に来てから一週間くらいが経っただろうか。修行をすると息まいていた俺だったが、あまりの快適さと筋肉痛に悩まされてテレビを見ては食っちゃ寝生活を過ごしていた。これはこれで能力を満喫しているのだが、このままでは何のために能力をこれにしたか意味が分からなくなってしまう。

 そろそろやばいと俺も危機感を覚えている始末だ。


「とりあえず、これから一週間はテレビを禁止しよう。テレビさえ見なければ修行をするしかなくなるはずだ。これで全部解決するはず」


 テレビ禁止令をだし、俺は外へ向かった。


 筋肉痛も治ったことだし、また腕立てからはじめますか。


「いち、にっ、さん、しっ、ご……ぐは、無理だ」


 5回で俺は力尽きてしまった。


「待てよ。一週間前の俺は確か4回しか腕立てできてなかったよな。この一回は今後につながる大いなる一歩だ。この調子で毎日1回ずつでもできる回数を増やしていけば1年後には365回腕立てができる男になっているのだ」


 まさに革命。こんなに筋トレが楽しいだなんて。テレビなんて見ている暇などなかったのだ。これからはガンガン腕立てをしてムキムキのゴリラパワーを手に入れてやる。


 5回腕立てをしては力尽きるのを20回くらい繰り返し、今度は腹筋に移ることにした。

 一週間前の俺は腕立てだけでやる気を失い、テレビに逃げてしまっていた。しかし、今日の俺は一味違うのだ。まだまだやる気に満ち溢れている。腹筋の何百回だろうがこなして見せるぜ。


「いち、にっ、さん、しっ、ご……ぐは、無理だ」


 腕立てとまったく同じことが起きた。

 5回腹筋をした俺は床に転がる。おいおい、腹筋きついぞ。腕立てよりも楽そうだと勝手に思っていたが、同じ回数しかこなせなかった。いやでも、腹筋は今回が初めて、それを考慮するならば、1回多くこなせていることになる。


「俺も日々成長しているってことかな。腕立てをすることによって、腹筋にも多少なりの効果があったのだろう」


 腹筋も5回やっては力尽きるという謎のループを20回程こなした。


「ぜぇ、ぜぇ……これは結構来るな。今日はこのあたりで終わっておくか、無理するのは体によくないからな」


 自分に甘い俺は修行には向いていないのだろうか?

 これは誰だって一度やめてしまうだろう。俺が特別意思が弱いって訳じゃないはずだ。それに数にしてみれば腕立て100回、腹筋100回をこなしているのだ。十分すぎる成果だろう。これを続けるだけでも相当な効果を生み出してくれるに違いない。


「汗かいたし、風呂入ってから、イメージトレーニングでもするか。将来的には剣の修行や槍、弓なんてのもするつもりだからな。いまからどんな感じで戦うかのイメージするだけでも大分違いが生まれるはずだ」


 マイホームへと帰還した俺は、風呂へ入り、リビングへと戻った。


「そうだ、テレビは禁止にしたんだったな。よし、イメージトレーニングするか。まずは、剣でモンスターを狩る俺を想像しようか」


 目をつむり、脳内イメージ力を全開にする。

 この状態の俺ならば、どんな複雑な妄想でも軽く行うことができる。学校で暇なときに妄想を嗜んでいたのがこんなところで役に立つなんて、前世の俺? いやいやよくわからんな。まあ、役にたてばオッケーだ。


 自分が使う剣をイメージする。イメージの元となるのは日本刀だ。なんて言っても日本男児の俺からしてみればカッコいい剣で思いつくのなんて日本刀に決まっている。片刃の剣をイメージし、両手でつかむ。そして、俺と戦うモンスターを作ろうじゃないか。えーと、どういう感じのモンスターにしようかな……。






「は!! しまった」


 俺は不覚にも寝てしまっていた。

 あまりの衝撃的な事実に飛び起きてしまう。なぜだ? なぜ俺がイメージ中に睡魔に負けるなんてことが……そうか、きょうはハードな修行だったもんな、その疲れのせいか。


 この調子だったら、イメージトレーニングを再開したところでまた寝てしまうのが関の山だ。今日は、おとなしく寝ることにしようかな。たまには早めに寝るのも悪く無いだろう。ここ一週間はテレビに熱中しすぎて朝方に寝るのが普通になってしまっていたからな。


「と、その前に飯を食わないとな。今日は何喰おうか? 最近はラーメン三昧だったから、ご飯系で攻めてみようか? それても麺は麺でもスパゲッティなんてどうだろう。ああ、悩むな」


 結局悩んだ末、いつも通りラーメンを電子レンジで作っていた。


「そういえば、こんなにラーメンばっかり食べてて俺は太らないのか? ちょっと体が重くなったような気もしてたから、一度体重測るとするか」


 俺は、風呂場にある体重計の元へ向かう。


「まあ、この世界では歳も取らないし、体重だって増えることはないとおもうけど念のため確認するだけだ」


 ひょいっと、体重計にのる。


「え? 嘘だろ? 5キロも体重が増えてる?」


 最後に体重計にのった時よりも確実に5キロ増えていた。死ぬ前の記憶なので間違っている可能性がないこともないが、どう考えてもこれは重すぎる。人生最高体重を更新してしまっていたようだ。


「やばい、体重は増えるのかよ。こりゃ明日からはダイエットと修行の豪華2本立てで行かないと行けなさそうだな」


 俺は決意を固め、布団へ入った。

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