俺TUEEE作品を想ふ
若干、とッ散らかったな。
俺TUEEE、皆好きよね。なろう読者なら当然よな。大抵の作品に盛り込まれている要素ですもんな。
筆者も好きですよ。
しかし、一方でそれが飽きられ、更には通り越して嫌いだと言う意見もボチボチ見られます。
それも認めるところ。
私自身、これ、つまんねぇな、と思う俺TUEEEを数々と読んできました。
では、その境界線は何じゃろな、と思考の海に浸かってみました。
という訳で、私が読んでいて楽しい、あるいは逆につまんねぇな、と思う俺TUEEEの要素をハッキリとさせ、
その上で、書く上で気を付けるべき事をツラツラと述べていこうと思います。
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まず、第一として万能にしてはいけない。
強くて良い。無敵無類で最強生物、それこそが俺TUEEEというものでしょう。
しかし、あれもこれも出来る万能人にしてはいけない。
そうすると、もう全部そいつ一人で良いじゃん、になってしまうからです。
どんな問題が起きても、主人公が即行でやってきた、敵を問答無用でぶっ飛ばした、めでたしめでたし、で終わってしまう。
試行錯誤も何も無い、単調な代物にしかなりません。
個人的な例として挙げれば、漫画「ワンピース」が良い例でしょうか。
まぁ、大抵の人がおおよそは知っていると思われますが、この漫画の主人公は相当に強い形で描かれています。
最序盤に当たる東の海編までは、ギリギリの戦いこそすれ、完全な負けは一度も無いというTUEEE状態です。
しかし、一方で、その他の事に関してはまるでダメ人間です。
東の海編最後の決戦であるアーロン相手に、彼は「仲間がいないと自分は何も出来ない」と明言しているのです。
欠点がある。
敵と戦って勝つ事は出来るが、それ以外ではてんで役に立たない。
これが面白い俺TUEEEの一つの解答だと思います。
いや、しかし、万能で最強な主人公が書きたい読みたい、という方もおりましょう。
その気持ちも察するところ。
なので、その場合は、しっかりと主人公と対等以上に渡り合える相手を用意すべきだと考えます。
掴みとなる序盤辺りは本当に主人公の凄さを知らしめる為に無双しているのも良いでしょうが、ライバルやボスとなるキャラクターには、主人公と同等以上の能力を与えると良いと思います。
主人公は凄ぇ。
だけど、敵も凄ぇ。
これが良い。
私が読んでいる作品でこのパターンに当たるものと言えば、小説「異世界から問題児がやってくるそうですよ?」です。
これは、中盤までは主人公が完全無欠に無双します。
知謀に長け、暴力にて叩き潰す、まさに俺TUEEEの典型です。
なんだったら、料理等の家庭的な面も併せ持ち、少しばかり破天荒な性格を除けば、欠点など何処にも無い。
もう主人公一人いれば良いんじゃないか? という状態です。
まぁ、舞台設定上、単独ではどうしようもない状況も存在しますが。
しかし、中盤以降では、彼と同格のライバル存在が登場します。
ライバルを倒せるのは主人公だけだし、主人公を倒せるのもライバルだけ、となるのです。
また、終盤のラスボスに至っては、智武勇あらゆる点で上回ってきます。
最強無敵だった筈の主人公でさえも、ろくに有効打を与えられずに敗北する完全上位互換です。
こうなると、物語にメリハリが出来て面白い。
主人公一人だけで良いじゃん、とはならない。
ライバルに釘付けとなる主人公を横目に、他の者たちはどうやって状況を解決しようと足掻くのか。
主人公が敵わない敵を前に、有象無象は手を取り合ってどうやって立ち向かっていくのか。
それらが熱い展開となって物語を盛り上げるのです。
また、他のパターンで面白かった作品もあります。
主人公が俺TUEEE状態だったけど、様々な要因によって彼を盛り立てる雑魚でしかなかった脇役が、彼と並び、あるいは追い越していく、という場合です。
これは、小説「鋼殻のレギオス」でしょうか。
これ、最終的に主人公がいらん子扱いされてるし。
外様扱いな上に、最終戦では一番の雑魚なのでは? 状態にまでなりますし。
余裕で力を振るう立場から、無い物ねだりをしながら足掻いていく立場へと変わるのです。
おお、苦難こそが世界を芳醇にするのだ。
うむ、人の不幸のなんと甘美な事か。
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で、それらを考えて結論すると。
〝どれだけ脇役に光を当てられるか〟
に集約するのかな、と。
主人公が強いのは分かったから。
それ以外の連中は、何をしてんの?
という事。
お強い主人公様を崇め奉り、ヨイショするだけ?
女キャラなら、そこに股を開くがプラスされる?
それ、つまんなくない?
まぁ、スカッと爽快ものならそれでも良いけど、短編で収めないとワンパターンにしかならなくない?
という訳で、主人公様だけに焦点を当てるのではなく、力無い脇役が足掻いて藻掻いて、一筋の希望を見出だす形こそが、物語の面白さを引き出すのではないか、と愚考しました。
個人的にそう思うってだけです。
ワンパターンで良いから、兎に角強くて万能な主人公が活躍するだけ、という物語を否定するものではありません。