表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あの木の葉が全て落ちたら

作者: おかよ

「あの木の葉が全て落ちたら、私の命もそこまでなのね」

 僕の隣に座る彼女は窓に映る景色を見ながら、そんな言葉を口にした。その小さな身体は震えている。映画なんかで良く登場する、その台詞。己の命の灯火が間もなく終わるという宿命を受け入れているかのようなその台詞は、ベタながら心打たれるものがある。そんな台詞を今のように現実で言われてしまえば、全身全霊で相手を励ましたくなるのだろうと思っていたーーこの時までは。

 しかし実際にそうならなかったのは、何も僕が冷たい人間だからではないだろう。

「……それ、木の葉が見える所で言う台詞だよ」

 少なくとも今みたいに、遭難した雪山で言うような台詞ではなかった。山小屋内の窓から見える景色は真っ白である。生きる気満々じゃん、めちゃくちゃ生きる気じゃん。だって落ちる木の葉がねーもん。

「やっべー、逆にテンション上がるワ…… 現実なんかにゼッテー負けねえから…… 推しに会うまで死んでも死にきれねえ…… マーくん待っててね……」

 絶望的な状況にも関わらず、彼女の目は死んでいなかった。彼女は来月にあるという推しアイドルのイベントを燃料に、今を全力で生きている。それを見習い、密かに彼女を推している身の僕も、彼女の懸命な姿を燃料にこの場を耐え凌ぐことを誓った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ