十人十恋色
皆さんは恋愛に何を求めますか? 外見ですか? 内面ですか? それともお金ですか? 可愛い女性やかっこいい男性の方を見ていると癒されますし、自分にないものを持っている異性を気になってしまうこともあります。また、将来家族を養っていくうえでお金が大切なのもとても分かります。どれも恋愛をする理由としてもっともだと思います。
私の書く話はそんな恋愛話をテーマにした短編小説を書きたいと思っています。何か思いつけば違ったジャンルを書くこともあるかもしれません。私の書いた話が誰かの人生観にマッチしたり、これまでに感じることができなかった新しい価値観を与えることができたなら私はそのことを大変嬉しく思います。まだまだ人として青い部分がたくさんありますが何卒宜しくお願いします。
カフェ店内では一人でマックブックと向き合いながらお仕事をしている人や、恋人同士と思われる男女が幸せそうにお話ししていたり、たくさんの人が何かしらの目的をもってこの店に足を運んでいた。自分もその内の一人で、今日は大学の講義で発表する資料や話す内容を考えるために、大学近くのカフェを利用した。といっても一人でやるなら別に家でやればいいし、わざわざカフェに来たのは待ち人がいるからである。僕は集合時間の三十分前に来てしまったので、待ち人が来る前に少し作業を始めていた。頼んだブレンドコーヒーのにおいを楽しみながら、作業を始めてちょっと集中し始めたころに待ち人は来た。
「こんにちは。。。。 ごめんなさい。待った?」
その声は優しくとても静かな、たった数秒のあいさつだけで彼女の人柄を感じられた。僕は最初の挨拶としてとても典型的な僕も今来たとこ、と一言いって彼女を隣の席に促した。僕の方が先に来て彼女より意識が高いと思われるかもしれないが、実際話し合いを始めるとほとんど彼女の意見を採用し、資料作成においても僕の作ったスライドは文字がメインの見る側に苦痛を与える実に労力だけを奪われた将来はゴミ箱行きの資料に対して、彼女の作ったスライドは伝えたいことが明瞭であり、さらにイラストを活用した見たものを心を惹く資料が出来上がっていた。彼女の賢さの基盤となる脳構造を疑う前に自分がここにいる意味を疑った。
思いのほか発表準備は早く終わった。二人でやったからかそれとも、、、いやこれ以上言う必要は無いだろう。そんなこんなで打ち合わせの後、少しだけ彼女と世間話をしていた。この間の講義で、一つのテーマについて考えた意見を発表してもらうので学籍番号順に二人ペアになって協力して取り組んでくださいと教授の指示を受けたあと学生はそれぞれ二人組に分かれ、彼女とはそのとき初めて話した。彼女は比較的物静かではあるが、僕と初めて話すときできるだけ会話を続けようと明るく話してくれた。そんな彼女は友達がいないというわけではないが、女の子の場合ある程度複数人のグループで学校生活を送っている人が大抵だと思う。しかし、彼女の場合、親友と思われる友達と二人でいることを見かけるが、多くの人と群れて話すというところは見たことがなかった。僕は彼女のことがすごく気になった。なんでかというと別に友達少ない女の子がねらい目とか好みとかそういうのではない。彼女は誰とでも話せるコミュニケーション能力はあった。しかし彼女は多く友達を作ろうとせずに、そして一人でいる時間や友達が多くないことに劣等感を感じていなかった。そんな彼女は確かな自分を持っていると僕の目にはそう映った。
僕はこれまで周りと上手く合わせてそこそこ楽しい人生を送ってきた。学校のクラスなどで中心人物になったことはないが、できるだけ自分の周りに敵を作らず浅く広くの交友関係を気築いていった。しかしながらその浅く広くを徹底したせいなのか、僕には困ったときに何でも話せたり、こいつとずっと一緒にいるんだなと思える“親友”と呼べる存在がいなかった。そんな自分だからこそ彼女の生き方や、彼女自身にとても魅力を感じた。自分のこれまでの生き方が間違っているとは思わない。ただ彼女には自分が持っていないものを持っていると強く感じた。まだ彼女と知り合ってそこまで時間はたっていないし、まだ知らないことの方が多いだろう。だからこそ彼女のことをもっと知りたいし、もっと話してみたいという感情が湧き始めていた。この感情をどういう言葉で形容したらいいのだろう。ただたった二文字でとても単純で自分の気持ちを表すぴったりな言葉があるのだとしたら、、、僕は彼女のことが“好き”なのだと思う。
僕は彼女と出会い、話すようになってから、非日常的な幸せを感じていた。この非日常的な幸せも慣れればいずれ日常として、彼女と話すことが当たり前の感覚だと錯覚してしまうだろう。だからその感覚に慣れる前に、今は彼女と話せる時間を大切にして生きていこうと思った。
彼女と別れ、カフェの外は暖かい風に包まれていた。着ていたコートの袖に目をやり、そろそろ衣替えの時期かなと思いながら帰路に就いた。
この度、私の作品を読んでくださり誠にありがとうございます。誤字脱字、話作りのアドバイスなどございましたらご指摘してくださると嬉しいです。投稿頻度はぼちぼちになると思いますが、これからもよろしくお願い申し上げます。