岬にて、灯台のひと。
小波も……
海猫の鳴き声も
ぴーひょろと丸く円を描く鳶の姿さえ
不思議と 掻き消え去ろうとして
それほどまでに 美しい旋律
岬の先で ひとり佇む
オカリナを吹く あの娘
地平線の その まだ向こう側へと
切ない音色が鳴り響き
拙い手つきで 押さえる指先がなお
息継ぎも辿々しくて なのに 澄み渡ってゆく
波止場の 荒んだ空気と 冷たい風を馴染ませて――
放たれた あの向こう側へと
祈りをこめて
汽笛に負けぬ 切なる想いよ
きっと――
貴方のもとへと 一番星に 願う