2.警察にて
警察署内
「ただの喧嘩ならすぐ終わるんだけどねぇ」
警察官は頭を抱えていた。
「被害者のこっちはケガないんだし、もうトチ狂ったヤクザが銃乱射で調書書いちゃえば俺いらなくないすか?どうすか?」
ヤクザA改め高松という男に白昼堂々襲われ、10発以上の弾丸を乱射したのにけが人は高松のみ。銃弾はすべて近くの地面に落ちていたという怪事件。周りの人は銃声を聞いてすぐに屈んだり避難したのでみんな証言が曖昧。肝心の犯人はずっとなにかにおびえているようで、
「人間じゃない、人間じゃない」
とつぶやいて聞き取りにならないらしい。
「シャブ中で決まり!いきなり地面に向かって銃乱射!いかんと思って止めようとしたら勢いケガさせてしまった!正当防衛!これしかない!」
ここはノリでなんとかするしかないと思い、元気に提案してみた。
「あのね、ここは日本だよ?銃乱射事件があったのにそんな簡単に済むはずないでしょ?」
うむ。ド正論。
「とりあえず法を犯しているかどうかも判断がつかないから留置はできないけど、重要な関係者ってことで今日は申し訳ないけどこちらで用意したビジネスホテルに泊まって、所在だけはっきりしといてくれる?結果的にはそっちの方が早く済むと思うから協力してくださいよ。」
なるほど、めったにない大事件なのに不可解な点が多いから、念のため関係者は監視下に置いておきたいのか。多分断って帰ることもできるけど、まぁ時間はあるしいいか。
「わかりました。とりあえずサラリーマンなんで、会社には連絡させてください。」
会社には偶然事件に巻き込まれてしまい、犯人を取り押さえた関係者として協力を求められてるから何日か休みをいただきたいことを伝え、上司はなにやらもちゃもちゃ文句を言っていたが、警察署の副署長なる人が電話を替わって事情を説明したらすぐに納得したらしい。
あのとっちゃんぼーやめ。
その後は普通のビジネスホテルに案内され、外出は基本的に自由だが出るときは行き先を担当の警官の携帯に電話してほしいと言われた。
まぁ銃が出ちゃってるからただで済むとは思ってないけど、悪人を取り押さえた以外のことはしてないから2~3日で自由の身だろう。
しばらく映画でも見ながらのんびりしよう。
おれは魔法のカードが売ってる券売機に1000円を入れた。今の時代スマホでなんだって見れるが、あえてカードを購入するのが俺の美学だ!
大画面万歳。