第4話 合宿のグループ決め
友達ができない。
友達ができない。
友達ができない。
重要なことだから3回言ってみたり。
入学式から1ヶ月が経ち、周りは固まってグループや派閥といったものが形成され始めてる。
だというのに!俺は!…………未だにフェル以外と話したことがなかった。
気の合う友達がいないというのは残念だが、普通に学校生活を送る上では特に問題はない。
もともと俺は人間の文化を学ぶ為に留学したのであって友達をつくるためではない。
しかし!
今日の授業で来週行われる合宿のグループ決めをする。グループの決め方は自由。
このままいくと確実にぼっちになる。
今回の合宿は修学旅行などのように勉強目的で行くのではなく、友達との仲を深める為にあるのだ。
この合宿で友達をつくれれば何も問題はないのだが、1ヶ月経って友達のひとりも作れないような奴が状況の後押しがあるとはいえたかが2泊3日の旅行で友達をつくれるとは思えない。
しかもグループの決め方が自由というのがさらに酷い。
くじ引きとかにすれば知らない人とグループになって話すチャンスが生まれるが、自由だと周りは皆仲良いから立ち入る余地もない。
友達がほしい!
友達がほしい!
友達がほしい!
普段の学校生活で友達がいない分には特に問題はない。
勉強と友達になればいいだけだ。
しかし合宿でまでぼっちというのは悲しすぎるではないか。
「リンク、私と同じグループになってくれないかしら」
天使が降臨なさった。
しかし、フェルにも友達くらいいるだろう。わざわざ俺を誘ってくるのは俺がぼっちだと知っていて同情してくれているからか。
だとしたらここでまでフェルに頼ってしまうのは良くないのではないか。
よし、ここはスパッと断ろう!
「フェルも友達くらいいるだろ?どうしてわざわざ俺を誘うんだ?」
おっと、断るつもりが理由を聞いてしまったぜ。
俺のことが好きなのでは!?とか有り得ないことを考えてしま──。
「リンクのことが好きだからよっ」
──有り得ない……よな……?
「勿論友達としてよ」
希望はあっさりと打ち砕かれた。
「それが理由だったらわざわざ俺を誘わなくても女子の友達を誘えばいいじゃないか。それとも女子のことは嫌いなのか?」
「いいえ、そういうわけではないわ。ただ、対等に接してくれるのがリンクだけというだけよ。」
なるほど、いくら王女とはいえクラスメイトにまでかしこまられるとやりにくいのか。
それにしても何でさっきから目を逸らして合わせようとしないのだろう。何か隠しているのか?
まあいいか。
「まあそういうわけならありがたく組ませてもらうよ」
「やった!」
グループが決まった上こんな可愛い笑顔が見られるなんて一石二鳥だ。
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「グループは3人から5人で組んでくださぁーい」
担任ののほほわぁんとした感じの声に俺は絶望していた。声じゃなくて内容にだが。
せっかくチーム決まったと思ったのに2人じゃダメだったらしい。
みんながグループごとに集まり始める中、泣いて良いかな?泣いていいよね?とか頭の中でくだらないことを考えていた俺は教室の隅で今にも泣きそうな顔をしている少女を見つけた。
クラスメイトなのだから同い年なのだろうが、どうしても年下に見えてしまう。
「なぁフェル、あの水色の髪の娘誘おうぜ。そうすれば丁度3人だ」
「ええ、別に良いわよ」
俺達が向かっていくと水色の髪の子は露骨にビクッとした。
「フィリーズさん、私たちとグループを組んでくれませんか?」
この子の名前フィリーズって言うのか。
「どうして……私……なの……?」
めっちゃ警戒されてるな。警戒心を隠そうとしているのは分かるのだが隠しきれていない。
「あなたが入ってくれれば3人だからだわ」
「他にも……人……いる……」
「他の人たちはもうグループ組み終わってるもの」
フィリーズはしばらく考える素振りを見せていたが、やがて覚悟を決めた顔をした。
「私で……いい……の……?」
「あぁ」「えぇ」
俺とフェルが同時に返事をすると、フィリーズはほっとした顔をした。
まだ警戒心の強いフィリーズの警戒は完全には解けていないが、合宿までにはどうにかなるだろう。
「あと……私のこと……は……できたら……名字じゃ……なく……て……名前で呼んで……ほし……い……」
「えぇ、良いわよ、よろしくねノロア」
「よろしくなノロア」
俺たちが名前を呼ぶとノロアは笑顔になる。
初めて見るノロアの笑顔はとてもきれいだった。
あと、実は俺は名前を知らなかったがとりあえずフェルに乗っかっておいた。てへ。
こうして合宿のグループが決定したのだった。
因みにリーダーは俺になった。
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Aグループ(3名)
☆リンク・エンシャー
★フェルラータ・サイギル
・ノロア・フィリーズ
☆はリーダー、★はサブリーダー
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