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第18話 王城の激闘

 俺は王都にもどってきた。

 もう指名手配されてしまった以上雇ってくれるところはないだろう。

 だから変装してカインの弱みを探す。そして無実を証明する。

 最早俺に残された手はそれしかない。


 ▼


 私たちはリンクの居場所を探していた。

 リンクが過ぎ去った方には小さな村があった。

 そこで私たちはリンクのことを尋ねた。

 どうやらリンクは村を救ったものの、手配書を見て黙って出て行ったらしい。

 私たちはリンクが無実だということを村人たちに伝えると、この村を後にした。


 ▼


 夜になった。

 今夜、王城に忍び込む。


 まず俺は光魔法の応用で透明になる。

 そして、門が開かれたタイミングを見計らって王城に入る。


 問題はどこがカインの部屋か分からないことだ。


 俺はひたすらに王城の中を歩く。


 と、そこで気配を感じたのか、近くを歩いていた衛兵が剣をこちらに振ってくる。

 なんとかかわすことに成功するが、その攻撃で光の操作が乱れてしまう。俺の体が露わになる。

 その衛兵は俺の存在を認めると、素早く切りかかってきた。

 やはり動きが速い。

 俺は間一髪でその剣を胴体を倒してかわすと、そのままの勢いで足を振り上げて衛兵の顎を割る。

 そして、縛り上げたあと、俺は拷問を用いてカインの部屋を聞き出す。


 丁度聞き出したところで衛兵の悲鳴をききつけたのか、別の衛兵がやってくる。

 慌てて倒れている衛兵に回復魔法をかけると、光魔法で姿を消して逃げる。


 しかし、姿を見られたのがまずかった。

 衛兵がその場で声を上げる。


「侵入者だぁーーー!リンク・エンシャーが侵入したぞぉーーー!」


 俺は小さく舌打ちをする。


 そしてカインの部屋を一目散に目指す。

 まだ警備が完全でない今のうちにカインのところを目指さなければ……。


 カインの部屋の前に迷わず辿り着くと、勢い良く扉を開ける。


 ―――そこにはカインがいた。


「さあ、リンク・エンシャー。決着をつけようか」


 カインはそう告げると共に剣を振りかぶった。

 俺は強化魔法を使うと、素早くカインの懐に入る。

 そして体を捻って一瞬溜め―――蹴り飛ばされた。

 血の味がする。

 強化魔法を使った魔族の速さに追いつき、有効打を与えるとは流石としかいえない。


 俺はバックステップで下がると、回復魔法を使う。


 早く仕留めないと衛兵たちが来てしまう。


 そんな焦りが深く考えずに光魔法で姿を消して襲いかかるという選択を俺にとらせた。

 カインほど熟練度の高い戦士ともなると気配だけで気づけてしまう。


「無駄だぁっ!」


 カインに顔面を蹴り飛ばされる。


「グァアアッ」


 小さく悲鳴を上げながら壁までとばされる。


 多重魔法で加速してカインに突っ込んで行く。

 しかしカインの動体視力は並ではなく、あっさりと反撃を許す。


 カインの周りに隈無く炎を張る。

 カインの剣ひとつで炎すら切り裂かれてしまう。


 俺は大量の光魔法の矢を用意する。そして、同時に放つ。

 カインは裁ききれない。

 当然だ。光魔法は光と同じ速さ。追いつけたら人間じゃない。

 しかしカインは発射の寸前に避ける行動をとっていた。


 ―――しかし。


 その前にカインの周りの地面は土魔法によって泥沼となっている。

 俺は決定的な隙を逃さない。

 さっきと同じ量の光魔法を解き放つ。

 カインは悲鳴を上げる暇もなく全身を貫かれて―――死んだ。


 ああ、長かった。実際はそこまで長い時間ではなかったが、こころからそう感じる。


 合宿のときにセラリアに襲われたのも、今思えばカインによるものだろう。セラリアは普通にいい子だった。しかしカインの心の黒さは異常だ。

 そして今回の件。

 カインは俺を殺した上でフェルとセラリアを始末していずれは王位を継承しようと思っていたのだろう。


 俺はカインの部屋を漁り、一枚の物を探し出す。


 カインはこう見えても細かい。

 俺を追い出す計画書を用意していた。

 うむ、予想通りのことが書いてある。

 これを提出すれば誤解は解ける。


 その後はどうしよう。

 フェルとセラリアは、悪人とはいえ兄弟を殺されたことをよしとしないだろう。

 もうあの日常は戻ってこない。


 まあいいか。

 とりあえず昨夜泊まった宿に戻ろう。


 俺は急に襲ってきた虚脱感に抗いながら宿への道を急いだ。

あと1、2話で完結させます。

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俺の脂肪が最強だった件 ~脂肪魔法とエネルギー操作で《勇者》に復讐する《魔王》になる~ 元デブが脂肪を、その応用でエネルギーをも自在に操り、元親友の《勇者》や元カノの《聖女》に復讐をする《魔王》になる物語です。是非こちらも読んでください。
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