第10話 合宿の平和な最後
第2章のエピローグ的な感じです。
いつもよりも短めです。
俺たちは合宿の予定を続行することにした。
フェルの妹で今回の事件の黒幕だったセラリアも交えてだ。
今日はもう夕方になってしまったので山からの景色を見た後はテントに戻ることにした。
テントで思い出したんだが、女子が俺と同じテントで寝るのは問題なのではないか。
別に襲ったりしないから良いんだけど……。女子はそれでも良いのだろうか。
そんなことを考えているうちに山の頂上に登りきった。
そこから見えた景色は言葉で言い表せないほどに美しかった。
山から見る海と夕日。
かつてこんなに美しい光景を見たことがなかった俺は大いに感動した。涙を浮かべるほどに。
横を見ると、フェル、ノロア、セラリアもその美しさに見とれているようだった。
……美少女3人と海に沈みゆく夕日……。これはなかなか絵になる。
後ろに下がってみると俺の足音に反応したのか、3人が同時にこちらを向いた。
後ろに下がったことによって夕日が逆光になる。それは一種の神秘性すら秘めていた。
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夕日が完全に沈んでしまうまで堪能した俺たちは、山を下る。
しかし、日が沈んだあとの山は強力な魔物が出る。早く帰った方がいいな。
そんなことを思っていた矢先のできごと、茂みから黒毛狼という個々でもそこそこ強い魔物の群が一斉に襲いかかってきた。
昼間の出来事で疲れていたのか、美しい景色を見て気が緩んでいたのか、俺はその存在に直前まで気づかなかった。
……それでも苦戦なんてしないけどね。
俺は範囲火魔法でまとめて狼を処分する。勿論周りの木を燃やしてしまわないように細心の注意を払って。
「相変わらずチートだわね」
フェルが何か言っている。
こんな魔法チートでも何でもないだろ。
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俺たちはそのままテントに戻って海で適当な魚を採って食べて寝た。
寝る前になってやはりセラリアが俺と一緒に寝ることを拒もうとしたところでフェルとノロアに怒られてシュンとなっていたのが面白かった。セラリアも立場はわきまえているのか、それ以上反駁することもなく同じテントで寝ることになった。
幸いテントはかなり広めだからな。
勿論男1人と美少女3人が同じテントで寝ているからといって何かが起きることもなく、朝を迎えた。
今日は適当に町をぶらぶらしながらお土産を買うつもりだ。
ただでさえ二泊三日と短い旅行なのに、海獣に襲われたり暗殺者に襲われたり忍者に襲われたりして余計短くなってしまった。
最終日くらいは楽しまなければ。
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俺たちは帰りの船に乗っていた。
俺たちがセラリアを連れてきたときは流石にみんな驚いていたが、美しい金髪と碧眼を持つ童女を見ると一瞬でその驚きなど消え去った。男子はバカだ。
一通り見とれた後、男子共がこっちを恨めしそうな目で見ていたような気がしたが気のせいだろう。
因みに他のグループでは何の事件も起きなかったらしい。
俺たちの事件は言ったらマズいことになるので報告していない。つまり、記録上ではこの合宿は平和に終わったということになっているのだ。
そんなこんなであっという間に合宿は終わっていった。
第2章完結です。
少し急ぎ足だった気がするので次から気をつけます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。