フェチズムの目覚めは変態への第一歩!?
「母・・・上・・・?」
半ば放心状態のレイはそれだけを口にする。対するミレーナはレイが自分を母と呼んでくれたことに感激したのか、瞳が少しうるんでいる。アギルの胸、いりますか?そんな冗談を言える雰囲気ではないことは百も承知だけど、こっちもこっちで混乱しているのです。だって行方不明だったレイの母親が、彼の実家でメイドとして働いているなんて誰に想像できようか!
「ミレーナ嬢、感動の再会の所申し訳ないのですが、事情を説明願えますか?我が主が混乱しているようなので。」
さすが変態でも宰相だね。とても気が利いていらっしゃる。かくいう私はというと、先ほどから同じく放心状態のアギルの腕を開いたり閉じたりさせている。この角度の方が胸に飛び込んできやすいだろうか?いや、でもこっちの方が・・・
「とりあえずアギルの腕から手を離せ、サーヤ。」
アレクがガシッと私を抱き込む形で捕獲し、ようやく私の奇行は終わりを見せる。いやいや、アレクの胸板も良いですな。っと、いけない、これでは痴女ましっぐらだ。アレクの胸板に伸びそうになる手を必死に押しとどめる。あんさん良い胸板してまんなあ、なんて言いながら男の胸を揉んだ日には変態のレッテルが一生剥がれないだろう。
「触りたいのなら触ってもいいぞ?」
あれ~?幻聴が聞こえる~。私を変態の道に誘う声が聞こえる~。恐らく変に察しのいいアレクには押しとどめている私の手の行き先がわかってしまったのだろう。でもねアレク、変態にはなりたくない!というところまで読んで貰わないと。それにそんなこと言ってしまったら、
「サーヤ様!揉むなら私の胸を!アギルやアレクほどではありませんが、脱いだらすごい隠れ筋肉の実力を今こそお見せしましょう!」
「甘いな!隠れ筋肉という名の見せ掛けだけのはったり筋肉に惑わされるな沙綾!地球で培った実用性重視の真の筋肉を俺が見せてやる!」
ほら、変態が反応してしまった。まあ、この二人の変態発言で冷静になれたから感謝すべき、なのか?とりあえず、筋肉自慢のために、服を脱ぎ始めた二人を止めなくては!
「二人とも、服を脱がない!」
私の言葉に同時にピタッと止まる二人の変態。ミレーナが目のやり場に困っているのが見えないのか!いそいそと服を着始めた変態達を見てやっと息をついたその時、控えめに肩が叩かれる。振り向いた場所にいたのは頬を赤らめたギル。
「僕の、胸も・・・触る、ですか?」
やめて!そんな純粋な瞳でこっちを見ないで!変態なのは最初に男の胸板に触りたいだなどと考えてしまった私です!と自首してしまいたくなるから!
「だ、大丈夫だよ、ギル。そんな男性の胸に触りただなんて破廉恥な事、一欠けらも考えていないよ・・・。」
これはあくまで純粋なギルを穢さないように言った嘘だ。決して自己保身ではない!それとアギル?どうしてあなたの服もちょっと肌蹴ているのかな?
*****
「大変失礼しました・・・」
ミレーナに向かって深々と頭を下げる。部下の不始末は長の責任です。もちろん後ろで裸祭をやらかそうとした部下たちにも頭を下げさせていますとも!そんな私たちの様子にミレーナは慌てふためきほんのり顔を赤らめさせながら、
「いえ、とんでもございません!皆様良いお体をして・・・ではなく、事情の説明ですね!」
頭をぶんぶん振って、私にはジルがいるのだから・・・とブツブツ呟く姿は綺麗な容姿も相まって実に愛らしい。コホンと一つ咳払いをすると彼女は訥々と話し始めた。
気付けば約一か月更新がないというこの状況・・・誠に申し訳ございません。しかも短いうえに、主人公が変態への道に行きかけているとかっ!