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*第7話*

「とりあえずどこから行く?」

ジェットコースターにコーヒーカップ

お化け屋敷に迷路の館。

かなりの選択肢があって迷う。

「んー・・・どうしようかな」

「ね?唯はさ・・・お化け屋敷、とくいー?」

すごくわざとらしく聞かれてゾッとした。

お化け屋敷・・・おばけ・・・やしき・・・

「得意じゃないんだね?それじゃぁいこっか」

「なんで?!」

「だって、乗り物全部乗りたいでしょ?まぁお化け屋敷は歩きだけど。

嫌なものを先にやっておいたほうがいいかな?と思ってね」

甘く微笑む玲に釣られそうだけど

さすがに今は釣られてたまるかと思った。

お化け屋敷なんて私がもっとも苦手な所なのに。

というか・・・暗所恐怖症、という奴かな・・・。

「どうしても・・・ですか?」

「うん、どうしても。んー・・・そうだな。こういったら行ってくれるかな。

招待してくれた人にさ全部の乗り物に乗るっていうのを条件に

招待券もらっちゃんたんだよね。」

・・・それを先に言ってください。

そうなると私もやむ得なく行きますから・・・

「わかりましたよ、行きますー・・・」

「ありがとう」

にっこりと甘く笑って玲。とろけそうに甘かった。


お化け屋敷の前まで来て私はかなり気が引けた。

何しろ見た目からしてヤバイ系のところだった。

おばけ・・・というか、なんかゾンビに近いような・・・

「何人ですか?」

お化け屋敷のスタッフさんに聞かれて

ハッと顔を上げると、そこには口から血を流した人がいた。

「ひゃぁっ!?」

「あっはは、この人は従業員。そこの雰囲気にあわしてあるんだよ?あ、2人です」

「それでは、こちらのブレスレットをつけてください。

何かあったときにはこのブレスレットについているボタンを押してくださいね。」

「何かって・・・どんなところなの・・・」

「わかりました」

「それでは・・・恐怖の館に、いってらっしゃいませ・・・・」

かなり怪しい風に言うスタッフに私は恐怖しか覚えなかった。


お化け屋敷は・・・まぁそりゃしょっぱなから暗かった。

「ご、ごめん・・・れ、玲・・・く、くっついて、いいか・・・な・・・」

震えながら訊くと

「いいよ、びっくりして気絶とかしたら危ないからね」

そこまで怖いの!?

やだな・・・もうこの時点でわたし挫折したいのに・・・。

そんな事を思っていると、急に肩にトンッ・・・と手を置かれた。

おそるおそる振り返ると、そこには脳がむき出しの人間が笑っていた。

「キャァァァァ!?!?」

「うわ・・・リアル・・・」

玲も少し引き気味で少し私を引っ張り気味で歩いた。

お化け屋敷には20分ぐらい居たと・・・思う。


お化け屋敷から出てくると

ごく普通のスタッフさんが

「お疲れ様です、最後まで来たあなた方には特別優待券をプレゼント!

夕方のイベントにぜひ参加してくださいね!」

そういってチケットのような物を2枚渡された。

て、ていうか・・・最後までこれた人にだけこんなのを渡すなんて・・・

どういうお化け屋敷なの、ここ!!

「お疲れ様、大丈夫?」

「あ・・・だ・・・だいじょう、ぶ、れす・・・」

「舌回ってないから大丈夫じゃなさそうだね、ちょっとやすもっか」

「う、うん・・・」

いまだに手の感触とか、声とかが頭を過ぎて寒気がした。

もう私今後一切お化け屋敷にはいらない・・・絶対。


少し休んで次はジェットコースターに行った。

ジェットコースターは割りと好きなほうなんだよね

「どのジェットコースターにする?」

「んー・・・ファイヤージェットコースターって言うのはどう?」

「いいね、暑そうだけどね。それじゃこっちだね」

そういうと、手を私の方に出した。

「玲・・・?」

「手、つながない?」

にっこり甘く言われて、どきっとした。

私は恐る恐る玲の手を握った。

「よーし!出発!」

玲は私の手をもう一度ギュっと握って走り出した。

その後姿に、私はまた胸がどきっ・・・とした。


私達は時間を忘れて遊んでいた。

気づけば閉園まで20分ほどになっていた。

「ラストかな、なに乗る?」

これを訊くと玲は大抵「唯の好きなのでいいよ」と言うんだけど

今回は違った。

「観覧車、乗らない?」

イルミネーションでキラキラしている観覧車をして

玲は笑った。その光りに反射して綺麗に映る玲の髪が甘い。

「う、うん」

少し動揺気味に言ってしまったけど

玲は気にせず観覧車に向かった。

手はしっかり、つないだままだった。


観覧車の前までくるとより一層綺麗に見えた。

ボーっとしていると、

「何名様ですか?」

と急に訊かれてびっくりした。

「2名です」

「それでは次のに乗ってくださいね」

「はい」

ゆっくりとしたに回ってきた、私達がのる観覧車は綺麗なオレンジ色をしていた。

「それではごゆっくり、夜の遊園地をお楽しみくださいませ」

完璧な笑顔で送り出したスタッフさんが

ゆっくりと遠ざかっていった。

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