*第54話*
久しぶりの更新です!ʅ(◔౪◔ʅ)三(ʃ◔౪◔)ʃ
「唯、大丈夫?」
「全然大丈夫じゃないよー・・・。弾きながら歌うだなんて、音程はずしちゃうどころか、演奏まで間違えて...みんなに迷惑かけちゃう、と思う・・・」
特授が終わり、教室へ戻る最中も、私はずん・・・と沈んでいた。
先生が私に頼んだ、歌いながら演奏するというのは、ゆわる『弾き語り』とほぼ同じようなもの。
全部私が歌うのではないにしても、弾き語りに変わりは無い。
・・・そんなことを、私がこなせるわけがないと思う。
「それにね?!わ、わたし・・・、一度だけピアノの発表会に出た事があるの。・・・中1のときだったんだけど、発表会なんて初めてだから、私、パニック起こしちゃって・・・。演奏は止まるし、ペダルは踏み間違えたり踏んでる最中にがくっって足はずしちゃったりして・・・。つまり、その・・・人がたくさんいると、パニック起こして、玲や特授のメンバーのみんなをがっかりさせてしまうから・・・」
言い訳じみたことを玲に必死で言っていると、笑われてしまった。
「大丈夫だよ。もう唯は大学生だよ?中1のときの唯とは違う。・・・それに、俺も唯のピアノで歌いたいと思う。むしろ唯のピアノだけで歌いたい。・・・だから、ね?そんなマイナス思考に考えちゃだめだよ」
「でも・・・!そういってくれるのは、すっごく嬉しいけど・・・。絶対、間違えて・・・それで・・・」
「あんねー・・・。唯は自分の自身がなさすぎ!実言うと、唯は自分が思ってるよりずっと強いんだよ?そんな子が自分に自身持たなくでどうするんだよ」
そういいながら、玲はつんっと私のほっぺをつついた。
んもー・・・、玲のいうことは、どうして私の心の中にスッと入ってきてしまうのかなぁ・・・。
「ん・・・。がんばって、みようかな・・・」
「うん、がんばれ!俺もちゃんとサポートするから。な?」
「ありがと、玲」
教科書類を片手に持ち、玲の手にきゅっと私の手を絡ませる。
「今日は積極的だね?どうしたのさ」
「・・・玲が私に説得してくれたお礼」
「それは嬉しいな」
ふわりと甘く笑う玲。
窓からの風が、玲のチョコレート色の髪をなびかせていた。
******
放課後。
ピアノ演奏を引き受けるため、職員室に向かう。
窓から入る日差しも、もうそんなにきつくはない。
残暑もあけて、涼しい季節が近づいてるんだなぁなんて思いながら、だまって廊下を歩く。
玲には先に帰ってもらった。・・・少し、秘密にしておきたいことがあって。
「失礼します・・・」
職員室のドアがあきっぱなしだったので、そー・・・っと覗くように入ると、にゅっと少し隣から、顔が出てきた。
「うわっ?!って・・・先生でしたか・・・。驚かさないでくださいよ・・・」
「ふふ、ごめんなさいね。今日はあなたが来る気がしてたのよ」
お上品に笑う、特授の先生。
「あ、あの・・・、例のお話なんですけど・・・」
「ピアノの話ね!どう?考えてもらえたかしら!?」
キラキラとした目を向けてくる先生。
私は、ははっと空笑いをしてから、きっちと先生に向き直った。
「・・・私なんかで大丈夫なのかな・・って思いますけど、がんばりますっ・・・!」
「うん!ありがとうねっ?進藤さんならそう言ってくれると思ったわ」
「迷惑、かけちゃうと思います・・・けど・・・」
「大丈夫よ!いざとなれば、新羅君がちゃんと助けてくれるわ」
そう言ってパチリとウィンクする先生。
その可愛らしいしぐさに、頬が緩んだ。
「あ・・・あ、えっと、先生。ちょっと、相談があるんですけど・・・」
「なにかしら?あぁ、こんなところで話すのもあれだし、あっちのソファに座りましょう」
「はい」
ソファに腰掛けると、ふわふわなソファはむにゅっと沈んだ。
「わっ・・・・。あ、えっと・・・その、相談って言うのは、ですね」
「うん、なんでもいって?」
「その・・・。コンサートは、特授メンバーの人たちに演奏してもらう・・・ってことでしたよね」
「えぇ、そうね。そのために進藤さんに、楽譜製作をしてもらってるからね」
「・・・そう、ですよね・・・。あの、実は、玲が今日私に言ってくれたんです。『唯のピアノだけで歌いたい』って。・・・だから、1曲だけでもいいから、私が演奏をして、玲が歌う・・・っていうのをしたいんです。お願いします。やらせてもらえませんか?」
ソファからたって、頭を下げる。
すると、前からクスクスという笑う声が聞こえた。
「ふふっ。全然構わないわ!むしろ大歓迎!そうね、今練習してる曲で全然いいわっ」
「へ・・・?」
案外軽々と承諾されてしまった。
少しぐらい唸るだろうなと予測していたほどなのに。
って・・・それ以上に目が輝いてるのは気のせいかなぁ・・・?
「演奏者は、バンド発表でもしてもらうわ!うん、これがいい!」
「そ、そうですか・・・」
「えぇっ!もう決まり!断固決まりよ!提案してくれてありがとうねっ進藤さん」
「あ、いや、その、まっ・・・。・・・・」
「でもちゃんと玲に言ってない」とは言わせてもらえず、先生はルンルンと職員室の奥へ消えた。
「・・・決定事項になっちゃった・・・」
玲が言ってくれたことにしても・・・良いって言ってくれるかな?
先生、強引過ぎる・・・。




