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*第53話*

「楽譜製作、調子どう?」

駅まで歩く途中、玲が問いかけてきた。

「順調だよ。あれね、結構楽しいの」

「へぇ・・・今度、俺も一緒にやってみようかな?」

「うんっ」


それから、なんとなく学園祭の話や授業の話などしていると

駅まではあっというまについた。


「この時間帯はあまり混んでないね」

ホームにつくなり、玲が言った。

確かに、朝とか比べ物にならないほど人が少ない。

バイトに行く私達と同い年ぐらいの子がいたり、老夫婦がベンチに座っていたり...

「なんか、平和だね....?」

「そうだね」

むしろ、私達が一番平和な会話してるのは気のせい?


******


学校についたのは、2時間目が終了した直後ほどだった。

丁度3時間目は特授。

「セーフというか、丁度というかね」

「丁度が正解でしょう?」

そんなことを言いながら、教室にはいかず特別教室の方へ足を運んだ。


特別教室(音楽室)に入ると、先生が駆け寄ってきた。

「進藤さんっ」

「は、はい?!」

私は、先生がいきなり駆け寄ってきて呼ぶものだから焦ってしまった。

と、いうか・・・驚いた。

「楽譜の方はどうかしらっ?」

「あ、え、えっと、結構順調にできてますよ」

「そうなのね?よかったわぁ。あ、ところで・・・やっぱり、ピアノは使う・・・わよね?」

先生は苦しげに聞いてきた。

私は不思議に思いながらも「使いますよ」と答えると、先生は首を落とした。

「え?!なにか不具合がありましたかっ?!」

「それが___」


先生の話によると、学園祭当日、ピアノを弾ける生徒が用事でこれないらしかった。

先生じゃだめなのか聞いてみたら、先生もその日は残念ながら遠い出張に行くことになっているらしい。


「じゃ、じゃぁ・・・ピアノは誰が...?」

恐る恐る訊いてみると、先生はさっきの苦い顔から一変して、ニコッと笑った。

なによりも恐ろしい笑顔な気がするのは私だけ・・・かな?

「進藤さん、ピアノ弾けるわよね?」

・・・やっぱり、きたか・・・。

「・・・弾け、ますよ・・・」

「弾きながら歌ってもらえないかしら?」

やっぱり、その笑顔はこれのためだったのね・・・。

私は、先生の提案と笑顔に絶句した。

「ダメかしら?」

「・・・考えておきます....」

大ダメージを受けた私は玲の手を離して、傍から見れば、私の上だけ雨雲があるような状態でいつもの席に向かったのだった。

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