表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/55

*第52話*

和と別れて、私達3人は学校近くの喫茶店に入った。

テイルという、人気が少ないけどとてもいい雰囲気の、私お気に入りの喫茶。


よう君、コーヒー二つとお水一つお願いします」

「かしこまりました」

丁寧なお辞儀を見送った後、私達は席に着いた。

「あ、えっと・・・怜奈さん、コーヒーでよかった、かな・・・?」

「なんでもいいわよ。玲君と同じなら、ね?」

何か意味ありげな表情をする怜奈さん。

・・・きっと、私がお水を頼んだから何か勘違いして言っているのだろうけど・・・。

少しだけ、胸がちくっとした。

「さて、お話の続きしましょう?」

怜奈さんはニヤリと笑う。

玲はとても真剣な顔で、怜奈さんの方を見ていた。

「正直話すことなんてもうないよ。俺と君はの関係はもう友達以下ということは、認識しただろう?」

「そんなの、勝手な自論じゃない!大学に進学するから別れただけであって、私達の気持ちが離れたわけじゃないのよ?!」

怜奈さんは、玲に訴えるように言った。

「それは私の間違いだよ、怜奈。俺だって、最初は好きだった。・・・だけど、君に縛られている感じがとても耐え切れなくて、大学を境に君を振ったんだ」

「縛る・・・?私が、玲君を・・・?笑わせないでよ、あなたと私は相思相愛で、ラブラブでっ・・・」

怜奈さ「んは声をあげる。

誰もいない、静かな喫茶店に響く悲しい嘆き。

心が痛くなる。

それでも、玲はとても静かに言った。


「なにがどうであれ、今俺が惚れてる相手は唯だ。君じゃない。はきちがえてもらったら、困るよ」


その言葉の終わりには、怜奈さんの頬に涙が伝う。

「いや・・・いやよ!なんでよっ。なんで私じゃないのよっ。今からでもいいから私にしてよ!そ、そういえば聞いたわよ?この子、体弱いんですってね?そんな子といたら玲まで弱っちゃうわ。ちゃんと将来を考えて付き合ったほうがいいわ、そうよ。母親もいないでしょう?あ、体が弱いのなら、赤ちゃんも産めな___」


バチンッ


大きく響く、音。

怜奈さんは、頬を押さえる。

・・・玲が、怜奈さんを叩いたのだ。

「どうしてよ・・・なんで私が叩かれるのよ・・・」

「・・・どうして、唯は君にそんなことを言われないといけないんだよ?唯は、少し体の調子を崩しやすいだけ。弱くない、むしろ俺より強い。毎年毎年苦しみに耐えてでも、笑ってる。・・・母親がいないからなんだよ?そんなこと言ったら、俺だって親なんていない」

そこまで言って、玲はスッと息を吸った。


「赤ちゃんが産めても産めなくても、唯の綺麗さに変わりは無い。第三者に口出しされる覚えは無い」


突き破られそうな玲の眼差し。

怜奈さんと玲は、一分ほどジッとしていたけど、怜奈さんが耐え切れなくなった。


「玲君の馬鹿っ!勝手にしろっっっ!!」


怜奈さんはかばんを引っつかんで、テイルを飛び出してしまった。

「私、追いかけてくるっ」

私は、慌てて急いで立つ。

・・・と、やっぱり、眩暈が起こってしまう。

「おっと・・・危ない。大丈夫?唯」

玲が私の体を抱きかかえるように支える。

「わ、たしは、大丈夫だから・・・怜奈さん追いかけないと・・・」

そういうと、玲はとてもやさしい声で言った。

「大丈夫。・・・怜奈には、このぐらい突き放すのがいいんだ。きっと怜奈はさ、俺に依存してしまってるだけなんだよ。怜奈なら、もっといい人見つけられる。・・・根はいい子だからね、あの子」

ふわりと笑う玲。

・・・やっぱり、玲は優しい。

玲は、何でもかんでも突発的に発言してるんじゃなかった。

表では相手を傷つけてしまう言葉をたくさん言ったかもしれない。

・・・でも、裏ではしっかりその人のことを考えて話してるんだ。

「唯、ごめん。唯、すごく傷ついたよね。ほんと、ごめんね・・・」

玲が私をぎゅっと抱きしめる。

「ううん。大丈夫だよ。あのね、玲が怜奈さんに言い返したとき、私ほんとはすごく嬉しかったよ。玲、私のことすごく見てくれてるって感じた。もっと玲を好きになりたいって思ってしまった」

玲の顔を見ると、珍しく玲が頬を少し赤くしていた。

「・・・毎回毎回キュンキュンさせてくれるよ・・・唯は・・・」

「ふふ、気のせいだよー。ほら、玲!大学行こうっ」

ゆっくり立ち上がってお会計を済まして、喫茶をでる手前で止まる。

「どうした?」

玲が不思議そうに首を傾げる。

私は、玲に手を差し出した。

「手、繋いだ行こう?」

私のそんな申し出に、玲は驚いた表情。

でも、すぐ嬉しそうに笑ってくれた。

「うん、そうだね」

そう言って、私の手を握ってくれた。

私も軽く握り返して、テイルを後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ