*第48話*
「姉ちゃん、起きて」
「んー・・・んぅ・・・?」
和の声に、薄目を開ける私。
丁度窓側を向いていたからだろう、とてもまぶしい。
今日は晴天らしい。
「おはよう・・・和ー・・・」
まだ眠たいながらも、ふらふらと起き上がる。
すると、和が隣に座ってきた。
「ん・・・・、どうしたの?」
「姉ちゃん・・・ごめん・・・」
「え?」
いきなり謝られて、驚く。
何がごめんなんだろうか?
「・・・今日、参観日だった・・・」
和が俯く。
私は、そんな和をみて「あぁ」と思った。
私はいつも参観には絶対行くようにしている。
その日には絶対に予定を作らないようにしていた。
けど、今日はいきなりだから、と思って和は謝ったんだろう。
「ふふ、大丈夫よ。今日も行くから」
「そっか・・・よかった・・・。あ、じゃぁ、一緒に玲兄ちゃんも連れてきて!」
「え、えぇ?!」
和のいきなりの申し出に驚く私。
「どうして玲を?」
「今日、親子3人で工作しようって言う授業なんだ。だから・・・」
なるほどと納得する。
仕事でお父さんがこれない家庭はあるかもしれないけど、うちのところは例外だ。
学校にも、和のクラスにも私達に父という存在がいない事を言った事が無い。
だから、お父さんとなる人物を連れて行きたいのだろう。
私は、もともとお姉ちゃんと言うことで通っているから、母親にはなれないのだけれど・・・。
「わかった。玲にも言ってみる」
「うん・・・!ありがとうっ」
嬉しそうに笑って、部屋を出て行く和。
ふと時計を見ると、まだ6時半だった。
私に断られるかもしれないと、少し不安だったのかもしれない。
「大丈夫なのになぁ」
まだ私は、そこまで母親代わりにはなれていないわけで。
******
身支度して、ご飯を食べたら、あっという間に七時半を過ぎた。
「あ、和。今日何時から?」
「えっと・・・9時から、だったかな?一時間目だったから」
一時間目なら、玲も時間がとれるんじゃないかな?と思いながら、玲に手早く電話する事にした。
ルルル ルルル ルルル
『唯?どうしたの?』
玲が珍しく、3コールで出て驚く私。
ついでに、いきなり声が聞こえて驚く。
「あ、えっと、朝からごめんね?」
『大丈夫だよ。どうせ会うんだから』
クスクスと笑う玲。
「んもー・・・なんで笑うかなぁ?」
『ごめんね。あまりにも唯が可愛くて』
「ひ、一言多いのっ」
『本当の事だよー?あ、それで?用件なんだった?』
「あ、えっと、あのね?___」
そこから少し事情を説明して、参観に誘うと、玲はOKしてくれた。
『いいよ、参観なんで自分が子供のとき以来だし』
「ホント?ありがとうっ」
『唯と和のためなら、俺は何だってするよ?それじゃぁ、8時半ごろにそっち行くよ』
「うん分かった」
『それじゃ、また後でね』
「また後で」
プツ
「姉ちゃん、どうだった?」
「いいよって言ってくれたよ」
「ホント?!やった!!」
凄く喜ぶ和。
この頃・・・というか、大分前からかもしれないけど、和の喜ぶ姿が嬉しく感じる。
お世話かけてばかりの、唯一の家族の喜ぶ顔は、私へのとっておきのご褒美。
******
8時。
「姉ちゃん、行ってきます!」
「うん、いってらっしゃい」
元気よく家を出て行った和。
体力も、しっかり回復したみたいだった。
私と違って、回復力がいいなぁなんて思いながら、紅茶を飲んでほっこりする私だった。
8時半まで、後30分もある。
「楽譜製作しようっと」
そう思って、横においてあるかばんからファイルを取り出して、製作に手早くかかった。




