*第38話*
望幸が連行(?)されて5分ほど経つと、海莉が頭をぽりぽりと掻きながら
少し面倒くさそうな表情で帰って来た。
「あ、海莉」
「なんかバタバタとすまねぇな。玲斗と相談した結果、
望幸の性教育は本気で放送禁止レベルだから美唯に聞かせるのはやめた」
若干苦笑いの海莉。
私はそんな海莉をみて、まぁ・・・なにか事情があったんだと思い諦めることにした。
「とにかく言えない事情なのね?」
「ま、そういうことだな」
そう言って、ソファへ行く通りすがりに私の髪をくしゃくしゃとした。
小さい頃から、よく海莉がやる癖。
それからすぐに玲と望幸も戻ってきた。
玲はどんよりしながら、望幸はよりいっそう晴れやかな表情で。
「れ、玲・・・?どうしたの?」
「・・・望幸先生マジでド変態。この世の正統派男子の敵・・・」
玲の口調がほんとに変わってしまった・・・!
そして、玲はとんでもない正論を望幸にぶつけるという・・・。
思考の回転が遅い私でも、望幸がとんでもないことを玲に言ったかしでかしたか・・・
ということだけはしっかり理解できた。
「まぁまぁ、玲斗君。君をいつかはこうなるんだよ?男子ってそういう生き物」
「なっ・・・!」
何を言ってるのかは不明だけど、玲は赤面して言葉を詰まらせる。
そんな玲をよそに、海莉は「兄ちゃん、いい加減やめてやれ」と
哀れみと呆れ交じりに言った。
「ちぇ。玲斗君からかうといい表情してくれるのになぁ__」
そう言って望幸が玲に近づいた。
私は何も思わずその動作を見ていたが、次の瞬間に海莉に目をふさがれた。
「海莉?!前見えない!」
「もうちょっと我慢。兄ちゃん!まじでやめろ!」
「えぇ・・・つまんないのー」
望幸がぶつぶつと何か言うのが聞こえた。
「美唯の前でなんてことしやがる」
「いやだって」
「だってじゃねーよ。なんか玲斗が完璧放心状態じゃねぇか!」
「大丈夫だって。俺が直してあげるから」
「いやいやいやいやいや!!兄ちゃんが直すとかもってのほかだから!
はやくその体制やめろってーの!美唯が本気で眩暈起こすから!」
かなり焦りながら、海莉が望幸に訴える。
私はキョトン・・・?というか、目の前が暗い事もありフラフラしながら会話を聞いていた。
途中、少ししんどくなって「海莉・・・これしんどい・・・」と訴えると
海莉は焦って「すまねぇ」と一言言って、私の目から手を離した。
「ふぅ・・・。あれ?玲と望幸は?」
「あそこ」
海莉が指差すところを見ると、ベランダというか私の家の中庭みたいなところで
望幸は正座、玲は竹刀が似合いような表情(?)でなにやら説教らしきものを繰り広げていた。
窓はしまっていて、声は聞こえないものの確実に玲がいかりに震えている事はわかった。
そんな玲と望幸にジト目を向けながら、海莉は一言
「ろくでもねぇ」
そう言って、二階に上がって行ったのだった。




