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*第35話*

電車のホームから出ると、丁度光と鉢合わせした。

「あ、光」

「よ、美唯。学校帰りか?」

「うん。そうだよ」

「体調、大丈夫?」

心配そうに言う光。

私は、笑う。

「大丈夫だよ」

そういいながら、光が押している自転車のかごにポンッと自分のかばんを入れる。

「ならよかった」

「ほんと、光は小さい頃から心配性だね?」

「・・・それはお前のせいだと思うんだけど・・・」

「そうなの?」

そんな他愛のない会話をしながら、家路を歩いた。


******


「そんじゃ、また体調崩すんじゃねーよ」

「わかってるもん。それじゃぁーねっ」

「ホント、意地っ張り」

去り際にそんなことをいう光にむくれながらも、家に入った。


リビングに行くと、海莉と望幸と玲が楽しそうに話していた。

和はソファでスヤスヤと気持ちよさそうな寝息を立てて寝ている。

「あ、おかえり。唯」

「おかえり、美唯」

「お前のせいで若干兄さんに襲われそうになったんだけど」

最後の、海莉の言葉に私は笑う。

玲の横に腰を下ろして、学園祭のメモを玲に渡した。

「これ、生演奏で使う楽器だって」

「へぇ・・・結構使うんだね。俺、楽器系とか実は全然わかんないんだよね・・・」

苦笑いする玲。

私は少しだけ胸を張った。

「それじゃぁ、楽譜は私に任せて?ベースになるものは完璧に作るから」

「任せていいの?」

「うん。お母さんが作曲とかするの、隣で見てたり、自分で作ったりしてたから」

唯一、というか・・・私の数少ない、自慢できる事だったりする。


「美唯、そろそろ勉強会始めるよ?」

「あ、うん」

望幸に声をかけられて、私はノートと教科書を準備する。

望幸は自分のかばんから、どっさりと資料の本だの何だのと机にドカンと置いた。

「こ・・・この山は何・・・?」

「資料とか。こういうの使ったほうが分かりやすいでしょ?」

「いや、まぁ・・・それはそうだけども・・・」

こんなにいるの・・・かな?

ま、まぁ、いいんだけど・・・ね?

「それじゃ、まず数学からね。さっき玲斗くんから聞いたとこによると__」


相変わらず、望幸の教え方はうまい。

なんていうか~・・・大人の教え方だなぁーって改めて思える。

まぁ、望幸って実はすっごく頭いいもんね。


そんなこんなで、勉強会が終了したのは、夜の8時ごろだった。


「はぁ・・・終わったぁ・・・」

勢いよく、和が寝ていないソファに飛び込もうとすると

海利に頭をこずかれた。

「いきなり倒れんな。眩暈起こすだろ」

そう言って、海莉は私を引っ張った。

「うわ、え?!」

引っ張られて体制を崩すと、海莉の腕の中にすっぽりとおさまっていた。

「お前ちっせーな」

ポンポンと私の頭を叩く。

なんか、幼い子供みたい・・・私・・・。

「海莉さん、そこは俺の席じゃないですか?」

「あぁ・・・すまねーな。けど、さすがに唯も限界みたいだ」

そういわれた頃には、私はうとうととしていた。


そういえば小さい頃はよく、望幸や海莉に抱っこされて

今みたいな状態で寝てたんだよね、私。

お母さんのぬくもりも好きだったけど、海莉や望幸のぬくもりも大好きだった。


・・・私は、いろんなぬくもりに抱かれて生きてきたんだよね。


「唯、ほんとに寝ちゃったね」

「今日はいろんなことあったからな」


そんな会話が聞こえたのは、私が眠りに落ちるちょっと前。


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