*第31話*
AM10:30
「そろそろ大学行かないとね」
「そうだね・・・。和、大丈夫かな」
「大丈夫だ。お前ら出席日数全然とれてねーんだろ?
元気なときに行っとかねーと後々大変だぞ?まぁ、和の面倒は
俺が見とくし、安心して大学いきな。」
「そっか・・・。ありがとう海ちゃん」
「おう、ほら早く用意して行けよ。あ、兄ちゃんによろしく言っといてくれ」
「うん、それじゃぁ玲!玄関で待ってて?すぐ行くから」
「了解。海莉さん、ありがとうございました。行って来ます」
「いってらっしゃい」
海ちゃんのまれに見る柔らかい笑顔。
ほんとに綺麗に笑うよね、海ちゃんって。
昨日から用意してある荷物を持って下におりる。
珈琲を入れようと海莉はキッチンでごそごそとしていた。
「いってきます!」
「おう、いってこい」
ニシッと笑い、海莉は私をキッチンから見送る。
久しぶりの大学。
「久しぶりに見たなぁ・・・」
「そりゃそうだよね。・・・そういえば俺ら、勉強ついていけるのかな?」
「んー・・・どうだろうね?あ、でものあに頼めば大丈夫だと思うよ?」
「のあ・・・、って海莉さんのお兄さん?」
「うん、そうだよ。のあ、ここの先生なんだよ」
「え?!そうなの?」
「うん、珍しく全教科担当の先生。めったに授業には出ないけどね」
「へぇ・・・。そういえば、進藤って聞いたことあるかも・・・」
「でしょう?多分、生徒指導室に行ったらいると思うよ。荷物置いたら一緒に行こう?」
「そうだね。ついていけなくなったら困るしね」
苦笑しながら言う玲。
まぁ確かにのあにはあんまりいい印象はついてないからね・・・
ホモだけど、優しいし、紳士・・・だと思うし・・・。
あんまり自信はないけど・・・ね。
教室に行くと久しぶりに自分の机を見る。
「凄く久しぶり・・・。」
「だね、俺もだよ」
荷物を置きながら笑う玲。
私も荷物を置いて一息つく。
「よし、いこっか」
「そうだね」
生徒指導室に向かう。
実は生徒指導室は1年の教室から一番遠い教室。
行くのに5分はかかってしまう。
「そういえば最近涼しくなったかな?」
「今日は雨だからね。明日頃にはもう少し涼しくなると思うよ」
「そっか。早く涼しくなってほしいな」
笑いながら話していると、後ろから甲高い声が悲鳴とともに聞こえた。
「玲さまぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
「キャァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
「お久しぶりですぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「ちょっと!何であいつが一緒にいるの?!」
振り向くと案の定玲のファン倶楽部の皆様で
玲への視線は熱々のラブラブビームだけど
私への視線は痛い。もう背中がバチバチして痛い。
そしてバタバタッッとすごい勢いで走ってきた。
「ど、どうしよう?!」
「逃げるぞ!」
そういうと玲は私を横に抱きかかえて、走り出した。
私は一瞬驚いて「ひゃっ」と小さく声があがる。
「れ、れい!重いから・・・」
「大丈夫、重くない!後4.5キロあっても大丈夫!飛ばすよ!」
そういうと玲は一段と早く走り出した。
気付くと生徒指導室の前まで来ていた。
ぱっと下ろされて、ファンの人達が来る前に生徒指導室に転がり込む。
「ハァ・・・。セーフ」
「・・・ごめん、お疲れ様・・・」
ドアを背中に座り込む玲。
私も座り込んで前を向くと....驚いた顔をしたのあがパソコン作業の途中でぴたっと止まっていた。
「あ・・・。ごめん、のあ」
「あ・・・すいません、のあ先生」
「あ、いや、お疲れ様・・・?鬼ごっこでもしてたの?」
「誰かするの・・・そんなの」
「女の子達に追いかけられてたんです・・・。」
「あぁ、もてる男は辛いね、って奴かな?ご愁傷様です。
生徒指導室に来た理由はそれだけ?」
「そんなわけないでしょう?のあに頼みごとしにきたの」
「頼みごと?」
「Noとは言わせないよ~」
「大丈夫、よっぽどの事じゃない限りNoは言わないよ。それで?どうしたの?」
「あのね、私たちかなり大学休んでたの。それで、多分授業ついていけないと思うから
のあに教えてもらおうと思って」
「そういう事ね?・・・どうしようかなぁ」
「海莉・・・海ちゃんの事どうやってもいいから、ね?」
「ほんと?」
「うんホント。拒否ってもやっていいから」
「それじゃぁ快く引き受けるよ。・・・隣の男の子は彼氏?」
「あ、新羅玲です。よろしくお願いします。」
「よろしくね?・・・っと、美唯の彼氏だったら手、出せないね?」
「彼氏じゃなくても出しちゃいけないでしょ。」
「まぁね。けどさ__」
そういいながらのあは玲に近づき耳元で何か囁いた。
私には聞こえなかったけど....
(皆さんにだけ教えちゃいます♪byレオ)
「痛くないから安心して?美唯とやるときもそう言ってあげなよ?」
「のあ何いったの?」
「内緒。男と男の丸秘情報。ね?」
「あ、えと・・・あ、はい・・・」
頬を赤く染めて言う玲。
「・・・のあ?ほんとに何も言ってないよね?」
「言ってないよ?・・・二十歳近くの健全な男子に教えてあげただけ」
「それが怪しいのっ」
「そんな怪しいなんて。ただ痛くないよ~って言っただけ」
「ちょ、のあ先生!」
「痛くない....?何が痛くないの?」
きょとんと私は聞く。
「分からないほうがいいよ?うん、そのほうが美唯はいい」
「知らないでくれてありがとう・・・」
玲がほっとしたように言う。
「え?なんか気になるよ~・・・教え__」
教えてと言おうとしたら、玲がのあに話しかけた。
「あ、あの!補修的なのはいつが都合いいですかね!?」
「あぁ~今日の放課後にでもココに来てくれれば教えるよ~」
「どうする?唯?」
「んー・・・和の事あるし・・・。どうしよう・・・かな」
「和?なにかあったのか?」
「和羽、高熱だして、今日学校休んでるんですよ。
今は海莉さんが面倒見てくれてるんですけど・・・」
「そうかぁ・・・。あ、それじゃぁ俺結局放課後暇だし
美唯の家にお邪魔しようかな?海莉にも久しぶりに会いたいからね」
「いいの?」
「いいよ、俺暇人だからね」
にこっと綺麗に笑うのあ。
それと同時に丁度チャイムがなる。
「それじゃぁ教室戻るね」
「ありがとうございます。失礼しました」
「またいらっしゃい」
のあはやっぱり雰囲気がなんか
すごく大人だなと、改めて思った私。




