*第3話*
あれから、玲君のファンは休み時間になれば毎回Aクラスに来た。
玲君はそのたび苦い顔をして、屋上に逃げていた。
ついでに私も毎回屋上にひっぱられていて
いつしかそれが日課のようになっていた。
梅雨が明けて蒸し暑くなってきた7月上旬。
「梅雨があけると、温かいじゃなくて暑いですね」
「そうだな・・・夏服になってもそこまで暑さが軽減される事もないもんね・・・
あ、でも女の子はいいよね?スカートはいたらかなり涼しいでしょ」
「んー、男の子よりは涼しいかもですね。女の子は平均的に露出度が高めですしね・・・」
苦笑いで言うと
「女の子はそれがとりえって子もいるでしょ」
とあたりまえのように玲君は言った。
んまぁ・・・私みたいな人よりはそういう子の方が多いの、かな
「唯は露出度、少ないよね?」
「あ・・・私、細くもなく太くもなく普通過ぎて露出する意味ないんですよ」
「唯、肩だしの服とかワンピースとか着たら可愛いのにな」
「もってますけど・・・勇気ないんですよ」
「じゃぁ明日にでも着てきてよ?俺惚れちゃうかもな」
「いや!なんでそうなるんですか!」
そんな服の話をしているときだった。
『進藤美唯!!!』
いきなり廊下からたくさんの人に呼ばれてそっちを見ると
玲君ファンクラブのキラキラしてる人たちが立っていた。
・・・というか、なんで玲君ファンが私を呼ぶの??
一人の代表的な人がガツガツと教室に入り
私の前に立ちはだかった。
「な、なんです、か・・・?」
「あんた、どうして毎日毎日玲様の近くにいるわけ!?
玲様にそんな気安く近寄っていいと思ってるわけ?!」
・・・この人たちはなにを言っているんだろか。
私は、玲君の近くにいてはいけない・・・?
そりゃ、私は玲君とつりあわないってわかってるけど
玲君は友達だし・・・
「玲君と近くにいてはいけない理由はないかと・・・」
つい、ポロっと本音をこぼしてしまった。
すると、その代表的な人は顔を鬼のように真っ赤にして
「生意気なのよ!この小娘!なによ、その髪の毛!
茶色いところもつやも玲様と同じようにして、キモチワルイと思わないの!?
第一、真似なんて自分を痛い奴って思わないわけ?!
ほんと、目障り!ちょっと可愛いからっていい気になんじゃないわよ!」
・・・私は、何を言われているのかまったくわからなかった。
玲君の真似・・・?目障り・・・?可愛いからっていい気に・・・?
そんなの、私は一度も思ったことはない。
この髪の毛は元から。なにも手入れはしていない。
私は可愛くない、とことん普通。
なのに、目障り。どうして・・・?
「ちょっと聞いてんの?!」
「私は真似なんてしてません、元からこうゆう髪の毛です。
しかも私は可愛くもなんともないです、いい気になるなんてありえないです。
あなた達は何を言っているんですか?」
すごく正論を述べた。・・・はず、なのに。
相手にはそういうのは通じなかったらしくて・・・
「はぁ?嘘もほどほどにしなさい!気持ち悪い溝ネコ!」
気持ち悪い、溝ネコ・・・
そういえば、私、小さい頃にも言われた事あるっけな。
「ねぇ?君、なにか勘違いしてないかな?」
不意に、横で声がした。甘い声の主・・・玲君。
「玲様!この女は獣です!近寄ってはいけませんよ!
きっとこの女に友達になれと迫られたんですよね?」
獣・・・ね。私が獣なら世の中の変態女史たちは
どういうべきなのかな。
「・・・やっぱり君、勘違いしてるよね。
友達になってほしいって言ったのも俺だし
一番初めに声をかけたのも俺。唯はなにも悪い事をしてないよ」
「まだそいつをかばうのですか!?あなたは、甘い罠にかかっているだけで・・・!」
甘い罠・・・ね。それにかかりそうなのは私なんだけどな・・・
「・・・君達みたいな低脳でカスで雑魚に唯のよさも唯の存在もわからないのかな。
ごめんね、俺、もう低脳でカスで雑魚よ話時間はないんだ。
もう帰る時間だからね、急ぎの用事もあるんだ。唯、いこっか。」
て、ていのうで・・・かすで・・・ざこ・・・
玲君ってこんなに毒舌だったけ!?
「わっ、ちょ、玲君?!」
玲君は自分のと私のかばんをまとめてもって
教室を出て行った。私はそれを追って教室を出ると
「ちょっと溝ネコ!逃げるんじゃないわよ!」
とファンクラブは叫んだ。
すると、私の少し先にいた玲君がぴたりと止まった。
少し肩が震えてる気がしたのは気のせいかな・・・?
玲君はゆっくりこっちに振り向くと
にっこり・・・いつもと・・・違う、甘くない笑顔で笑って
こっちに近づいてきて、ファンクラブの前まで来ると笑顔をなくし
「低脳でカスで雑魚。てめぇら、いい加減にしろよ?さっきから
唯のこと溝ネコ溝ネコうっせぇんだよ。どっちが溝ネコだ。
てめぇなんてネコにも族さねぇんだよ!低脳豚!唯、行くぞ」
私の腕をつかんで、玲君はさっさととその場を立ち去った。
後ろではファン達が呆然としていた。
「れ、れいくん!ちょっと、ストップ!ストップ!」
校門をでて少しのところで玲君を止めると
ハッと我に返ったように玲君は止まって
「ごめん、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫ですよ。・・・それにしても、玲君どうしちゃったんですか?」
「あ・・・あはは・・・あれは、その気にしないで。まぁ・・・また直々に話すよ。」
「そう、ですか?・・・わかりました、また話してくださいね」
私を守ってくれた玲君は怖かったけど
すごくかっこよかったから
どうして人格が変わったのかは、今は訊かなくていいかなと私はおもった。




