*第28話*
ザァ___ザァ___
私は、雨の音でおきた。
「・・・今日は、雨か・・・」
どんよりした空のせいか私の体もどんより重い。
そんな体を動かして、服を着替える。
雨だから、膝丈のシフォンワンピースに薄手のカーディガンを羽織る。
どうせぬれるなら、サンダルでいいよね。
リビングに行くと、珍しく和は起きていなかった。
「学校、8時に登校だよね・・・?」
今は7時ちょっと過ぎ。
和は用意が早いから・・・20分ぐらいに起こしに行こうかな?
久しぶりに朝食を作る。
と言っても、パンにバターをぬって、適当に切れ込みをいれて
メープルシロップを塗ってトースターで焼くだけの簡単な調理法。
調理って言うほどでもないけどね。
「いただきます」
もくもくとメープルパンを食べる私。
・・・いつもなら、目の前に和がいるけど
今日はいないからなんか、変な感じがする。
やっぱりなれないなぁと思いながらも、パンを喉に通す。
食べるのが遅い私は、15分ほどかけてパンを食べ終わった。
「ごちそうさま」
時計を見ると20分丁度だった。
2階に上がって和を起こしに行く。
コンコン
「和、もう朝だよ~起きないと遅刻するよー?」
部屋の外から声をかける。
すると、ガタンッと部屋から大きな音がした。
「和?!」
驚いて、部屋に入ると・・・和が、ベットのすぐ下で倒れていた。
「どうしたの?!」
駆け寄って上半身だけ抱きかかえる。
和は荒い息で、頬が赤くなっていた。
腕を触ると、いつもなら冷たい和の腕は熱く、
額に手を当てると、やっぱり熱かった。
「風邪・・・?!和!大丈夫?!お姉ちゃんの声、聞こえる?!」
「お姉・・・ちゃん・・・熱いよ・・・苦しいよ・・・」
無理やり声を引っ張ってきて、和は言った。
「とにかく、リビングに行かなきゃ・・・。」
和を抱きかかえて、リビングに行った。
ソファーに寝かして、とりあえず体温計を咥えさせる。
「和、熱いんだよね?」
「・・・あつ・・・い・・・」
荒く息をする和。こんな和は見たことがなく、私は少しパニックになっていた。
とにかく冷蔵庫から、氷枕と冷えピタを取り出して、
急いで和の頭に引き、貼った。
あたりまえだけど、それだけじゃ和の荒い息は直らず
ソファーの背もたれの方を向いてうずくまってしまった。
体温計が鳴って、取って見ると、余裕で40度を過ぎていた。
「ど、どうしよう?!えっと・・・えっと・・・?!」
まず病院だよね?!
診察けんを見ると、病院は10時からしか空いていなかった。
「どうしよう・・・。海ちゃん、来てくれるかな・・・?!」
パニックになって、とりあえず、海ちゃんに電話した。
「出るかな・・・」
苦しそうな和を横目に私は受話器を握りしめる。
プップップップ・・・・
プルルルル プルルルル プルルルル__
『あ゛い・・・・?』
「海ちゃん!和が・・・!」
『なんだ・・・美唯かよ・・・。和がどうしたんだ?』
「熱、だして!!!」
『何度だよ?』
「41度!どうしよう?!」
『はぁ?!41?!おま・・・。美唯走らせるわけもいかねぇし・・・。
とにかく、そっち行くから待ってろ!』
そういうと、海ちゃんはブチッと電話を雑に切った。
「ハァ・・・・ハァ・・・・頭・・・痛いよ・・・」
「海ちゃん、すぐ来るから、もう少し・・・」
床に、体育座りをして、顔をうずめる私。
どうしよう・・・私、なにも分からない・・・
いつも看病されてばかりで・・・
海ちゃん・・・お願い、早くきて・・・
そう思ったとき、玄関からガタンッと言う音が聞こえた。
「美唯!」
「海ちゃん・・・」
急いでやってきたからか、赤い髪がぼさぼさになっている海ちゃん。
「大丈夫だから・・・泣くなって・・・ブラコン馬鹿・・・」
海ちゃんは軽く私を抱きしめて、背中をポンッと叩く。
そこから離れて、和の様態を調べ始める。
「和、どこがしんどい?」
「・・・頭痛い・・・熱い・・・体だるい・・・喉痛い・・・体痛い・・・」
「吐き気は?」
「・・・ない・・・」
「腹痛は?」
「・・・ない・・・」
「しんどいかもしれないけど、ソファー座れるか?」
「・・・うん・・・」
和はゆっくりと起き上がり、ソファーにぐたっと座った。
「喉見せろ。」
海ちゃんが順調に診察していく。
私は・・・ただただ、見守っているだけ。
呆然と待っていると、いつのまにか終わっていた。
「美唯、タオルケットとかあるか?後加湿器と」
「あ・・・タオルケットはあるけど・・・加湿器はないかな・・・」
「それじゃぁ、風呂に水ためて、風呂のドア開けっ放しにしてくれ。」
「わ、わかった」
私は走って用意に取り掛かろうとすると、海ちゃんに大声で
「走るな!」
と怒られてしまった。
それでも急いで用意しようとすると、海ちゃんに止められる。
「お前ら二人とも体壊したらシャレにならないのわかってるだろ?!
もう少し落ち着け!お前もう子供じゃないだろ?!」
海ちゃんの言葉に、床にペタリと座り込む。
「俺がやるから、美唯は和の面倒みてろ。・・・大学まで時間あるだろ。」
「・・・うん。タオルケットは、和の部屋にあるから・・・」
「わかった。」
このとき私は多分、自分の頼りなさに心の中で泣いていたのだろう。
孤独のなかで生きてきた和は唯一傍にいた私をいつも助けてくれた。
・・・けれど、私には玲という大切な存在が出来て、
海ちゃんや臨夢、光の存在があって、いつしか私が和を助ける事がなくなっていた。
・・・だからこんな事が起きているのだ。
きっと私は今自分勝手に思っているのだ。




