表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/55

*第26話*

玲が帰って、久しぶりに和と私の二人になった。

とりあえず残ってる課題と用事を済ませていると

いつの間にか8時30分を過ぎていた。

和は部屋にこもってるし、久しぶりに私が夜ご飯を作る。

「何にしようかな・・・?」

考えていると、トントントンと和が階段を下りてきた。

「和、どうしたの?」

「・・・玲兄ちゃん・・・」

「帰ったよ?どうしたの?」

「・・・玲兄ちゃん、忘れ物してる・・・」

「え?!」

和は手に電気に反射して綺麗に光っているネックレスを握っていた。

「玲兄ちゃんがね、大切なものなんだって言ってて・・・」

「そっか。・・・大切な物・・・だったら、早く渡さないとね。私届けてくるね」

「俺も行く!」

「だーめ!小学生が夜出歩いたら危ないんだからね?」

そういって、和には留守番してもらう事にした。


玲はロル大の近くの『メゾフ』と言うマンションの1205号室に住んでいると聞いていた。


マンション近くにきた頃にはもう周りは真っ暗だった。

「えっと・・・メゾフ、は・・・あそこだよね」

ローマ字でMeZoHuと書いてあるマンションに入った。


メゾフは結構ハイテクなマンションで、入り口前に各部屋のインターホンがあるのだ。

部屋番号を入力しなくてもいいのだ。

「えっと・・・1205・・・あった」


ピーンポーン


『ハイ?』

「み、みいです」

『唯?!あ、開けるから入って!』

少しあわてたように玲が言った。

ロビーの入り口が開いて、中に入ると、かなり涼しかった。


部屋まで行くと、玄関で待っていてくれた。

「遅くにごめんね」

「いいよ。・・・でも、夜遅くに女の子一人は危ないよ?」

「大丈夫だよ。危ない事もなかった」

「今はね。唯は可愛いからナンパされるかもしらないでしょ?」

「・・・ないない」

「そうなの?・・・あると思うけどなぁ。まぁとりあえず、どうぞ」

「お邪魔します」

促されて玲の部屋だと思われるところに行った。

黒と白でクールに固まった部屋色が意外と玲にしっくりきた。

「その辺座って?水もってくるね」

「あ、・・・ありがとう」

ネックレスを届けただけなのに、悪いなと思った。


「はい」

「ありがとう。」

お茶と水を置いて、玲も腰を下ろす。

「えっと、なにかあった?」

「・・・えっと、あの、これ・・・」

白い紙に包んだネックレスを渡す。

「ネックレス・・・。和が、忘れてるって言ってから・・・」

「明日でもよかったのに」

「大事な物だって和に聞いて・・・迷惑だったら、ごめんなさい」

「夜まで唯に合えた事だけで嬉しいから大丈夫。」

優しく笑う玲に私は惑わされそうだった。

ふと、ベットの向こう側にある写真が目についた。

何気なく近寄ってみてみると・・・

そこには玲とそっくりな、綺麗な人と、玲とは少し違うダンディー・・・?な男の人と

まだ幼い玲の写真だった。・・・多分、お父さんとお母さんだろうな。

「お母さん、綺麗だね。さすが玲のお母さん」

「・・・そう?ありがとう。」

「お父さんはダンディーだね」

クスクスと笑いながら言う。

「そうかな。・・・俺にはただのおっさんにしか見えないよ」

目を俯かせて言う玲。

「やっぱりお父さんの事・・・嫌いなの?」

「んー・・・正直言って、あんまり父親を覚えてないんだよね、俺。

なんか・・・そのとき、いろんなことが俺の周りでごっちゃごちゃしててね・・・。

いつのまにか、父はいなくなって、理由を聞けば浮気が原因だって言われて・・・。

だから、父がどんな人だったかなんてまったく分からないんだよね」

苦笑いで答える玲。

・・・玲は、私より、家族といた時間が少ないのだと感じた。

「ごめん、なさい・・・」

「ん?あぁ、気にしなくてもいいよ。親が悪いんだから。

俺を捨てた、親が悪いんだからね」

最後は悲しそうに言った玲。

「・・・・玲は、寂しくないの?」

「何が?」

「・・・家にいればずっと一人で・・・誰もいなくて・・・」

「あぁ・・・。まぁ、最初は寂しかったのかもしれないね・・・?けど、もう今は

なにも感じなくなったよ。一人でいる事があたりまえになって、麻痺してきたのかもしれないね。

・・・唯を抱きしめたとき、久しぶりにぬくもり感じたよ。」

ふわりと笑う玲。

「・・・俺は、きっと冷たい人間になっちゃったんだろうね?」

「そんなことないよ・・・?玲は、温かい。最初、出会った時何となくだけど

玲に周りだけ、あったかい風が流れた気がしたの。・・・しかもね、すごく人見知りな私が

初めての人にしっかり話すのアレが初めてだったの。いつもは逃亡しちゃうんだけど・・・」

笑いながら言うと、玲は一息ついて


「そっか。俺、温かいんだ」


そういって、いつもの甘く優しい笑顔で笑った。


やっぱり、玲はその笑顔じゃないとね。

私ね、久しぶりだったの。


・・・人の笑顔を信じられた事。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ