*第10話*
今日から大学が始まった。
9月1日。気温は相変わらず高い。
そして、その気温のせいで
私は初日から体調を崩していた。
これからは課題とかよりも出席日数を気にしないと・・・
「お姉ちゃん、タオル、取替えに来たよ」
額にのせていたタオルを和が取り替えてくれた。
私の体調が崩れると、和は毎回学校を休んでくれていた。
「お姉ちゃん、暑い?寒い?」
「・・・ごめんね・・・」
「気にしないで!俺はお姉ちゃんの家族だから!面倒見るのはあたりまえ!」
「ん・・・ありがとう。・・・暑いかな・・・」
「それじゃぁ氷枕とって来るね!」
和は玲を真似して最近1人自称を『俺』に変えていた。
和も大きくなったな何て思いながら毎日が流れていた。
そして、和は最近『家族』と言う事をよく言ってくれる。
多分だけど、玲と私のあの日の会話を聞いていたんだと思う。
私はあの日の玲の言葉で自分を無能なんて思わずに
努力するようにがんばっている。
・・・けど、体調は崩してしまっている・・・。
「お姉ちゃん、頭上げて」
和が部屋に戻ってきて氷枕をしいてくれる。
手馴れた手つきで色々お世話をしてくれているのは
和が小1の頃から私のお世話をしていてくれたから。
私より器用かもしれないな・・・
「ありがとう」
「いいのいいの!あ、おなかすいてない?おかゆつくろうか?」
「んー・・・今は通りそうに無いかな・・・」
「そっか・・・。あ、でも、もうすぐ薬の時間だから何か食べないと・・・」
「じゃぁ、おかゆ少しだけ食べようかな・・・」
「わかった、出来るだけのどに通りやすいようにするね!」
そういって和はまたリビングに下りていった。
それと同時ぐらいにケータイにメールが入った。
件名:大丈夫?
本題:学校来れないみたいだけど大丈夫?
byれい
玲からだった。
短いけど心配してくれてるメール。
件名:大丈夫?
本題:初日からごめんね。
連絡入れたほうがよかったかな。
休んだ原因は体調崩しちゃって・・・
心配掛けてごめんね
でも大丈夫です
みいヨリ
できるだけ元気よくメールを送った。
玲にはできるだけ心配はかけたくない。
ケータイを閉じて、目を瞑った時
窓の方からコンコンとノックする音が聞こえた。
見ると、光がベランダにいて
唇を読むと『あけろ』と言っていた。
ベットからおきて、窓を開ける。
「おはよう、光。どうしたの?」
「美唯が体調崩したって和羽に聞いてな。で?大丈夫なのか?」
今日も相変わらず黒い髪を後ろに束ねてポニーテイルにしている。
珍しいといえば眼鏡を掛けていた。
「大丈夫とはいえないけど、本気で崩している時ほどじゃないかな」
「そっか、ならいいんだけどさ。」
「心配掛けてごめんね。と言うか、光大学は?」
「俺のところは9月2日まで休みなんだよ。」
「そっか、少し長いんだね?」
「まぁ色々あるらしいね。秋の工芸作品に出展する作品とかの準備も
今のうちにやらないといけないからな」
「へぇ、大変だね」
「芸術専門ともなると仕方ないな」
光は0歳の頃からの幼馴染で
高校までは行ってるところもクラスも一緒だった。
真っ黒の髪を後ろで結んでいるのも小さい頃から変わらず
よく「女みたい」とおちょくられていた。
それでも光のムードメーカー体質がそれをイジメに発展させるわけでもなく
お笑いとしておちょくられていた。
「あぁぁっ!?うわ!うわうわうわ!」
「なに?!」
いきなり光が叫ぶものだから
びっくりして私も大きな声をだしてしまった。
「課題一個やり忘れてる!!やっべぇっ!」
「えぇ!?早くやってきなよ!」
「おぉ!それじゃ、お大事にな!うわー!」
光は叫びながらそそくさと窓から自分の部屋に戻っていった。
はぁ・・・いつも騒がしいな・・・あいつ・・・
「お姉ちゃん、おかゆできたよ」
和がおかゆを持ってきて言った。
「ん、ありがとう」
少量だけどおかゆを食べて薬をのんで寝た。
この間に和がいろんなお世話をしてくれていた事を
私は知らないでスヤスヤと寝息を立てて眠っていたらしい。




