再会と敵
「あ、ねぇねぇ!僕さ、君のことプレくんって呼んでもいい?」
「はぁ?突然なんだよ」
あの手紙を読んだ日から一晩が明けた朝、僧侶——プレクスは勇者に陽気に声をかけた
勇者はふっと目を細め、内心で呟く
(こいつの"罪"を知るためには…仲良くならなきゃ)
僧侶は、まるでその思考の行き先まで見ていたかのように、黙って勇者を見ていた
「別にいいけど…てか、昔にもそんな名前で呼んできた奴が__」
「みーんなー!!!」
言いかけたところで甲高い声が響いた
その声の主は剣士レギナだった
「…!レギナ、無事?」
「イーオン!私は平気よ!…多分」
魔法使いが心配そうに剣士に駆け寄る
「あんたらも、心配かけちゃったでしょ?頑丈な私でごめんね〜?」
てへ、と舌を出しながら明るく振る舞う
しかし、彼女の腹にはまだ傷が残っており、無傷ではないのは確かだ
「あぁ…その、悪かった…守ってくれてありがとう」
「え?あぁ、気にしないでよ!私が守りたくて守ったんだし」
剣士が屈託のない笑みを浮かべる
その笑顔が、なぜか胸に刺さった
(あぁ、俺は結局"正しい事"ができていないじゃないか)
こんなにいい子を残して釈放されるなんて…そんなことは正しいことではないはずだ
勇者はポケットに入っている手紙に触れる
(こんなもの…無くたって平気なはずだ)
(魔王を倒せば…きっと___)
そう思考を巡らせたところでふと違和感を覚えた
「…あれ、?」
「どうかしたの〜、?プレくん」
僧侶がそう問いかける
「いや…俺たちはなんのために旅に出るのかな…と思っただけだ」
「__魔王はもう死んでいる、でしょ?」
僧侶が俺が言うよりも早くそう呟いた
「え、…!?あ、確かに…」
「"魔物"の王の事?それなら僕も習ったよ」
20年程前に「純白」と言うパーティによって討伐された。と魔法使いは語る
「そしたら今勇者を作っているのって…新しい魔王が生まれたから…?」
「いや、それは違うと思う」
俺の問いに僧侶が答える
「ま、どうせ説明されるでしょ」
そう言って僧侶は笑った
けれど、その笑みは一瞬だけ遅れて浮かんだ
(俺たちが集められた理由…俺たち「4人」である理由)
勇者は仲間達に目を向ける
共通点なんてない、ただの罪人の集まり
(俺は、どうすれば…どうにかしないと、きっと"また"…)
勇者がきゅっと顔を顰める
その時だった
「第二王子殿下の御成である!」
部屋に野太い声が響いた
「!?」
剣士が魔法使いを連れて数歩下がる
僧侶は動かずに声の主を見つめている
「やぁ、勇者パーティ諸君。私はこの国の第二王子、ベネディクトだ」
「…随分突然のご挨拶だね?」
「落ち着けよプレクス。今日は君に話に来たんじゃないんだ」
2人は少し睨み合った後ベネディクトだけがこちらに向かってくる
「勇者プレリュード、君を勇者パーティ「黄金」の勇者に任命したい。もちろん__断る理由なんてないよね?」
そういうとベネディクトはにっこりと笑みを浮かべた
その笑顔は先ほど見た「僧侶」とよく似た笑みだった




