表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これなるは旅の一座にございます。煮ても焼いても食えません  作者: 春巧@金曜更新予定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/44

第十六話の3 ソワレ

 その貴族はうわさを聞いてか、割り込むことはしなかったものの使用人を列に並ばせ、自分の番がきたと知るや「どけどけ」と観客を蹴散らしながらドスドスとやってきた。

 テーブルをはさんでヨルと向かい合うようにしてどっかと座った。


「なんだこの固い椅子は。もっとマシなものはないのか」

「ごめんね貴族さん。ショーの一角を貸してもらってるもんでさ」

 気にした風もなくヨルは言った。


「なるほど、もっと富と権力を手にしたくて相談にきたんだね」

「…わかるのか!」

 貴族の男は驚いたように目を見開いた。


「アタイの力でお見通しだよ。話は早いほうがいいからね。ではアタイたち一族に伝わる秘薬を分けてあげるよ」

 ヨルは服の袖から小さな箱を取り出した。掌に乗るサイズのその黒い箱は、角度によってはきらめいていた。


 ゆっくりとヨルが箱をあけると、少量の煙とともに、中に収められた薬瓶が見えた。

 赤い色の液体が入っているようだ。


「これを毎晩一滴ずつ飲みな。いいかい、必ず一滴ずつだ。それ以上飲むと劇薬になる」

 男がごくりとつばを飲みこむ。

 手を伸ばそうとするのを制してヨルはサッとふたを閉じた。


「買うなら20万ギルね」

「おい…! それだけの金を出す効果は本当にあるんだろうな!?」

「信じなければそれでいいよ。じゃ、次の人を」

「待て待て待て!」

 男は慌てたように手をふり、執事に何かを告げた。


 執事が早足で外に出て、すぐに戻ってきた。

 トレイの上に袋が乗っている。

「10万ギルある。残りは用意がないからしばらくして効果を確かめてから支払おう」

「いいよそれで」

 あっさりヨルはうなずき、袋を受け取った。


 中を確認してニヤリとしたあと、「注意事項としては毎晩一滴を必ず守ること。そして」

 人差し指を男の鼻に突きつける。

「この薬はうそを嫌う。誠実に生きることだね」

「フン、それくらい簡単なことだ」

 ヨルから小箱を受け取り、鼻息荒く男は出て行った。


「ごめん待たせたねー! 次の人―」

 今までのやり取りなどすっかり忘れたかのように、明るくヨルは声を張り上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ