表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これなるは旅の一座にございます。煮ても焼いても食えません  作者: 春巧@金曜更新予定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/37

第十五話の2 おばちゃんと息子

「そもそもどういうことなんです?」

 木の椅子に座り、出された茶をすすりながら仮面の男は聞いた。

「僕が話すよ」

 ジャンが手を挙げてみせた。


 ジャンはこの町のギルドで雑用をこなす孤児であった。

 その身分からあからさまに馬鹿にした態度をとる人間もいたが、ジャンは一生懸命に働いていた。

 今日もギルドからこの女性──エレーヌが隣町で兵士として働いている息子クロードにあてて出した手紙を預かり、隣町にいったのだという。


 ところが。

「その、兵士になってたはずのクロードが酒場の裏でタチの悪い仲間とともにいたんだ」

「ほう」

「たまたま酒場にもっていく荷物も預かっていてね、重いからそちらを先に片付けようと立ち寄ったら、クロードたちがいた」

 

 クロードはごろつきどもに囲まれて脅されているようであった。

「いつになったら金を返すんだ!」

「この半年、1銅貨たりとも支払ってないぞ」

「奴隷として売り飛ばしてやるから覚悟しろ」


 それだけは…!と地面に頭をこすりつけて謝っているクロードは、やがてハッと顔をあげた。

「うちの家! ババアがたんまり金をため込んでいるはずだからそれで支払う!」

「はあ?」

「父親が軍人で戦死したから、その報奨金?とかいうのがあんだよ! それに遺族年金ももらってるからため込んでるはずだ」

「へえ、そんなにあるのか」

 ごろつきの一人が初めて興味を示したようだった。


 クロードはこれ以上暴力が振るわれないよう、必死にまくし立てていた。

 それを聞いたジャンはその足でこの街に駆け戻ってきたのであった。


「うちのクロードはね、月に一度うちに戻ってきては、兵士の仕事を報告してくれるんだよ。ちゃんと制服もきてるし、そりゃ給与は少ないからうちに仕送りする金はないというけどね、あたしゃそんなことは気にしなくていいといつも言ってるんだ」

 エレーヌがジャンを睨みつける。


「働いているところを見たことは?」

「兵士だからね、身内がいっても機密情報があるからとかいって会えないと言ってたね。無駄足になるのも困るし、クロードがたびたび顔を見せてくれるから信用してるよ」

「うーん…」

 仮面の男は頭を振りながらどうしたものか考えこんでいるようであった。


「ジャンさん、クロードさんがここにやってくるのはいつか聞きましたか?」

「一日も待てないから今夜来るって言ってた」

「んじゃあこうしましょう」

 仮面の男はエレーヌのほうを見て「今夜私とジャンさんは外で待っていることにします。息子さんがこなければそれでよし、きたら…その時に考えましょう」


「あんた、いいのかい。いきなり引っ張ってきちまったのに」

「ショーは明日からの予定ですから問題ないですよ」


「ところで」

 ジャンが言った。

「あんた誰」

 仮面の男は盛大にイスから転げ落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ