第二部 第6章: 峻一と友伽の絆
数日後、浩之は友人との再会を果たした後、何となく心がすっきりとしていた。茂雄と芽維子の話を聞いたことで、自分もまた少し前進できたような気がした。それにしても、周りの人々が少しずつ変わり始めている様子を見ていると、自分自身ももっと頑張らなければならないと感じる。
その日、浩之はふと思い立って、以前から気になっていた場所に足を運んだ。それは、友伽が頻繁に通っているというアートギャラリーだった。彼女が少しずつ自己表現を学んでいるという話を聞いていたが、どんな風に変化しているのか、実際に見ることができるかもしれないと思ったからだ。
ギャラリーに足を踏み入れた瞬間、浩之は少し驚いた。ギャラリー内には、友伽が手がけた作品が展示されており、その作品一つ一つが彼女の個性を色濃く反映していた。色彩豊かで、どこか柔らかな印象を与えるその作品は、友伽が心を込めて表現したものだということが伝わってきた。
その時、浩之はふと横を見ると、友伽が静かに作品を眺めている姿が目に入った。彼女は周囲の目を気にすることなく、真剣な表情で自分の作品を見つめていた。いつもなら、他人の目を気にしていた彼女が、こんなに堂々と自分の作品に向き合っている姿を見ると、彼女が少しずつ変わってきていることを実感せずにはいられなかった。
「友伽さん。」浩之は静かに声をかけた。
友伽は驚いたように振り返り、少し顔を赤らめながら微笑んだ。「あ、浩之さん、こんなところでお会いするなんて。」
「偶然だね。でも、すごくいい展示だね。」浩之は心から賞賛の言葉を送った。
友伽は少し照れくさそうに笑いながら、「ありがとう。でも、正直、まだまだ自分の思いを表現することに不安があって…。でも、少しずつ自信を持てるようになってきたかな。」
その言葉を聞いて、浩之はふと友伽の表情をよく見つめた。以前、自己表現に恐れがあった彼女が、今では堂々と作品を展示し、少しずつ自信を持っている様子が伝わってきた。浩之は嬉しそうに微笑んだ。「その自信、素晴らしいよ。自己表現って、自分を大切にすることでもあるんだ。これからも、その自信を持って進んでいけるといいね。」
友伽はその言葉に少し頷きながら、少しだけ顔を赤らめて言った。「ありがとうございます。浩之さんのおかげで、少しずつ自分を表現する勇気が出てきました。」
その後、二人はギャラリー内でしばらく作品について話をしていた。友伽は、以前よりもずっとリラックスした様子で、自分の作品について語り、他人の意見を素直に受け入れようとしているように見えた。
その時、ギャラリーの入口のドアが開き、どこからか知らない声が聞こえてきた。「あ、いたいた、峻一!」
その声に振り返ると、そこには峻一が立っていた。彼はいつも通り真剣な顔をしていたが、その表情には、どこか穏やかな一面が見えていた。友伽はその声に驚き、振り向いた。「峻一さん、どうしてここに?」
峻一は少し照れくさそうに笑いながら答えた。「実は、君の展示を見たくて来たんだ。自分の目で見て、感じたかった。」
その言葉に友伽は少し驚いた様子であったが、やがてその顔に笑顔が広がった。「そうなんですね。ありがとうございます、嬉しいです。」
峻一はその笑顔を見て、少し照れくさそうに言った。「いや、ただ見てみたかっただけだよ。でも、すごいじゃないか。お前の作品、素敵だと思う。」
その言葉を受けて、友伽は少し顔を赤らめながら、遠慮がちに言った。「本当にそう思いますか?」
「もちろんだ。」峻一は力強く答えた。その顔には、彼の温かい気持ちが表れていた。
その瞬間、浩之は少しだけ後ろで二人のやりとりを見守りながら、心の中で感じるものがあった。峻一は以前、目標達成にばかり集中していた彼だが、今では少しずつ他者とのつながりを大切にするようになってきていた。そして、友伽もまた、自分の気持ちを素直に表現し、少しずつ自信を持って生きるようになっていた。二人の絆は、少しずつ深まっていく予感がしていた。
第二部 第6章 終




